今年11月に侍ジャパンが予定している大リーグ選抜との強化試合にヤンキースの田中将大投手(25)が出場する可能性があることが27日、分かった。強化試合は国内で5~7試合を予定している。来日チームは大リーグ機構(MLB)による人選になるが、日本側は大リーグ選抜の一員として田中の出場を要請する方針。1年目の成績次第となるが、メジャーの舞台で成長を遂げた田中の凱旋は大きな話題となりそうだ。
【写真】投球練習後、ロスチャイルド投手コーチ(左)、セルベリ捕手(右から2人目)らと談笑する田中
ピンストライプ姿の田中が日本のマウンドに立つ。今秋にもそれが実現する。日本野球機構(NPB)と全日本野球協会(BFJ)で組織する侍ジャパンマネジメント委員会の関係者は「田中が大リーグ選抜で投げれば日本選手の刺激になる。主催者も希望するでしょう」と明かした。
06年以来、8年ぶりの開催となる日米野球は、11月に大リーグ選抜を侍ジャパンが迎え撃つ形で予定している。既に東京ドームなど数球場を確保しており、5~7試合で調整中。この日、東京都千代田区の日本記者クラブで会見した熊崎勝彦コミッショナーも「11月に日米決戦を企画しており、日本は侍ジャパンが出る。力比べしようじゃないかということ」と明言した。試合数などが決まった段階で、NPB、MLB双方から正式発表される運びとなっている。
その目玉となるのが、田中の凱旋登板だ。過去の日米野球でも、96年に野茂英雄(当時ドジャース)、02年にはイチロー(当時マリナーズ)らが、大リーグ選抜の一員に名を連ねた。昨季、楽天で24勝無敗の成績でチームを初の日本一に導いた田中は、破格の7年総額1億5500万ドル(約158億1000万円)で、ヤンキースに移籍。今季のメジャーでは最大の関心事となっている。大リーグ選抜の選考はMLBが行うが、田中が額面通りの成績を残せば選ばれるのは確実で、興行的な盛り上がりも期待できる。
一方、小久保監督が率いる侍ジャパンは、日米野球を17年に開催予定の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた試金石と位置づける。今回は国内組の編成となる方針。大リーグ選抜には田中のほか、今やメジャーを代表する投手となったレンジャーズのダルビッシュや、マリナーズの岩隈、ロイヤルズの青木らの侍ジャパン経験者も候補に名を連ねる可能性は高い。国内組にとっては、「世界」と戦える貴重な経験の場となる。
大リーグ選抜のメンバー発表は、ポストシーズンとの兼ね合いなどから来日直前となる見込み。田中の凱旋には、球団の承認なども必要となるが、実現すれば大きな話題となるのは間違いない。2度のWBCに出場した右腕が、今度は「ヤンキースの田中」として侍ジャパンの前に立ちはだかる。
◇日米野球での日本人メジャー選手の凱旋
☆96年 ドジャース・野茂が第2戦に先発、イチロー、松井秀、清原、古田らと対戦して3回無失点。第6戦は地元の甲子園で先発して4回4失点だった。
☆00年 マリナーズ・佐々木が第1戦の9回、3者凡退に抑えてセーブを記録。第8戦でも9回に登板、無失点に抑えてセーブを挙げた。
☆02年 マリナーズ・イチローは第7戦で4打数4安打して同戦のMVP、全7試合に出場して31打数11安打。エクスポズ・大家は第3、7戦の2試合に登板した。
☆04年 ドジャース・石井が第3戦に先発して5回1失点、第7戦にも先発して2回無失点。パドレス・大塚は第1、3、7戦に救援登板した。
☆06年 マリナーズ・城島は第3、5戦に出場、第5戦で右前適時打。ホワイトソックス・井口は第2、5戦に出場、第2戦で2点二塁打、第5戦も安打を放った。
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