写真付小説 【東京空区】 1-5
【 東京空区 】
第1話-第5話
◆出演◆ 高山猛久 / 増田修一朗 / 西沢仁太 / 若林謙
◆脚本◆ 増田修一朗
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この世には
なにもないと思っていた。
毎日が退屈で仕方がない。
ただ、バイトに明け暮れる毎日。
世間でいう 【 ニート 】 という存在だ。
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今から三年前、
環境の変化を求めて東京に出てきた二人。
それは余りにも非現実的で
夢の中にいる様な感覚であった。
自分たちの未来は一気に膨らんで、
【 期待感 】 【 心の高揚 】 が止まらなかった。
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![IMG_1736small](https://stat.ameba.jp/user_images/ef/7a/10092018077_s.jpg?caw=800)
そんな三年前の夢は今は簡単に打ち砕かれ、
高校を卒業と共に、
【 東京進出 】 と二人で胸を張り、
地元の友人に自慢気に言って出てきたものの、
二人を待っている現実が
彼らの希望を失わせるのに、
そう時間はかからなかった。
ここで僕らの自己紹介をしよう。
これが僕!
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僕の名前は 遠藤佑二、24歳。
今は居酒屋で
バイトの日々に明け暮れている。
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田舎には両親と兄がいる。
兄はもう結婚していて、
父の仕事の ' 跡継ぎ ' として将来は決まっている。
僕は
" そんなレールの上に乗っかった人生はつまらない " と、
親に反抗して意気がって東京に出てきたものの、
この有様。
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兄の様に、
素直に自分の人生に向き合い、
全うして生きていくのも選択の中にあったと思うが、
そこが ' 長男 ' と ' 二男 ' の違いであるのかもしれない。
僕は未だに定職にも就かず、
親に心配をかけている。
心の隅で
' いずれは・・・・・' と思いながら、
未だにバイト以外何もしていない。
何かをしなければならない事を
わかっておきながら。
そして
僕の隣にいるのが
勇猛果敢に理由なき反抗、根拠なき自身を抱え、
' 東京に行く ' と言って付いて来てくれた、 横山一也、24歳。
僕とは幼馴染だ。
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![IMG_1752small](https://stat.ameba.jp/user_images/b8/26/10092019467_s.jpg?caw=800)
家が近かった事から、
何をするのも一緒だった。
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![IMG_1732small](https://stat.ameba.jp/user_images/33/fa/10092019470_s.jpg?caw=800)
お互い知らない事は無いくらいだ。
彼も定職には就かず、
日々の時間のほとんどを
バイトに使っている。
東京に出てきたばかりの頃、
彼は ' イラストレーター ' になりたいと
仕切りに言っていた。
確かに一也は、
昔から絵を描いたりするのが好きだった。
授業中などには
よく教科書の隅っこに漫画みたいなものを
描いては僕に見せてくれていた。
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僕は、
一也の描いた絵を見るのが好きだった。
小学生とは思えないレベルの絵を、
ものの数分でスラスラ描く様は、
子供の頃の僕には魔法の様に思えた。
僕が好きな漫画のキャラクターを
一也に描いてみてよと授業中に頼むと、
彼は黙々とドリルの裏に描いて、
ドリルごと僕にその絵をくれたりしていた。
そんな時、
彼がビックリするくらい優しい表情を見せるのを、
クラスで僕だけが知っていた。
しかし、
どこか引っ込みがちな彼は無口で、
学校の休み時間などは外で遊ばず、
一人で絵を描いたりして、
本を読んだりしていた。
そんなある日、
一也を苛める連中が現れた。
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クラスのリーダー格の奴が、
一也がノートに描いた漫画に
いたずら書きをしたり、
教科書をビリビリに破いたのだ。
僕はそれが許せなかった。
それを見た瞬間、
頭の中は真っ白になり、
僕はキレた!!
『 うわーーー!!!』 っと
リーダーの男子に突っ込んだ。
その時だった。
同時に一也も、
『 うわーーーー-!!!』 っと叫んで
彼に突っ込んで行ったのだ。
一也のそんな表情を見るのは
その時が初めてだった。
正直その顔を見たとき、
僕は驚いて尻込みしそうになったが、
僕が出そうとしている右ストレートは止まらなかった。
よく見ると、
一也も左ストレートを繰り出そうとしている。
次の瞬間……
2つの拳が、
リーダー男子の顔面にクリーンヒットし、
そのままそいつはぶっ倒れた。
周りにいたいじめっ子連中は
ただ啞然としていた。
予想外余りにも予想外の
出来事が起きたからだ。
その止まった時間を僕は動かした。
『 ヨッシャー! 』 と大きな声で叫び、
一也にハイタッチを求めると、
彼も、
『 ヨッシャー!! 』 と、
左手を何のためらいもなく
僕の右手にぶつけてきた。
一也の本当の笑顔を見たのは、
あの時が初めてだった。
それ以来、
僕と一也はどこに行くのも一緒だった。
苛められる事も無く、
むしろクラスの中心に僕たち二人がいた。
一也も明るくなった。
その後、
中学に進学した僕らは、
地元ではちょっと有名な不良になった。
【 二中の佑二一也 】 と聞いて知らない奴はいない、
いわゆる青春時代を送った。
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![IMG_1767small](https://stat.ameba.jp/user_images/b6/c2/10093164600_s.jpg?caw=800)
あの頃の自分たちの 【 夢 】 は無限だった。
形のない未来が
輝いている様に思えた。
それが今はどうだ。
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夢!? 希望!?
ないない!!
現実を見ろって!?
あまりに無力……。
![IMG_1777small](https://stat.ameba.jp/user_images/e3/a5/10093164604_s.jpg?caw=800)
ところがどっこい、
そんな退屈な僕の人生は、
今日という日を最後に
終わりを迎える事になる。
・・・to be continued