写真付小説 【東京散歩】 1-5
【 東京散歩 】
第1話~第5話
◆出演◆ 高山猛久 / 増田修一朗 / 西沢仁太 / 若林謙 (以上 東京深夜舞台)
◆脚本◆ 一雫ライオン (東京深夜舞台)
俺の名前は浦無一輝、28歳。あと14年で厄年。
名前の通り・・・占い師だ。
おっと、ただの占い師と一緒にされちゃ困るぜ。
テレビやマスメディアを賑わす、カ・リ・ス・マ占い師だ。
俺に見えないものは何もない。
君の将来、君の夢の叶え方、そして君の心に今もなお深く残っている恋の傷痕、
そして前世・・・ふっ、俺には全てが見える。
この広い大都会東京だって、俺の千里眼にかかれば全てを動かせる気さえする。
現に、みんなが聞いたら驚く様な某有名政治家や芸能人、超有名企業社長・・・
困るといつも俺のもとにやってくる。
俺の名前は浦無一輝、28歳。あと14年で厄年。
怖いものはは何も無い、カリスマ占い師・・・・・のはずだった。
しかし・・・・・。
近ごろ未来が何ーにも~見えない!!!
つーかまじでやばい!!!
ほんとに何にも見えない!!!
・・・もうお客さんに聞かれても困る!
だってお客さんの悩みの答えが全ーーー然解んないんだもん。
そう、いつから未来も過去も見えなくなったかというと・・・
それは突然だった。
ある良く晴れた朝、目が覚めて、いつも通り心の神様に語りかけた。
ちなみに俺の心の中の神様は木村カエラに似ている。
はっきりいってめちゃくちゃ可愛い。ベリーグッドな神様だ。
カリスマ占い師に憑いている神様は、そんじょそこらの神様と一味違う。
おしゃれ度が違う。
いけてる感が違う。
何か週刊ポストとメンズエッグ位違う。
メンズエッグがいけてるかどうかは別にして、俺は心の神様に語りかけた。
『 さ~て、今日も世の中を占いまくってやりますか~!』
『 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 』
『 ・・ 今日も世の中を占いまくってやりますか~ ・・ 』
『 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 』
『・・・ノーーーー!!!オーマイゴッド!!ホウェアー、マイ、ゴッド!!!』
神様はいなくなっていた。 俺の神様。 カエラ似の神様。
ある朝突然に。
どうやら神様も人間も女性の別れ方はいつも突然のようだ。
『 新しい男でも出来たか? 』
なんて舘ひろしさんの様にクールぶっている場合じゃない!
舘ひろしさんが怖くて、【 さん 】 づけしている場合でもない!
ちなみに舘ひろしさんがクールスとゆうバンドをやっていたがそれとも全く関係は
ない!
俺の神様がいなくなったんだ!・・・とゆう事は・・・
おれ、な~んにも見えねぇ。
あなたの未来も過去も、
おれ、な~んにも解らねぇ。
カリスマ占い師、浦無一輝、28歳。
廃業決定。
つーか・・・今日からどーやって飯食ってくの?・・・俺?・・・・・・。
続く!!
俺の名前は浦無一輝、28歳。
厄年まであと14年のカリスマ・・・いや、元カリスマ占い師だ・・・。
【元】 ・・ こうなったらもう 【元】 を付けるしかない。
だって、未来も過去も見えないんだもの。
でも 【 元 】 を付けたって、モト冬樹さんのように生きていける訳でもない。
だって俺歌えないもの! モノマネできないもの! 料理の上手な相方だって
いないんだもの。
困った・・・俺は占い師。
占うしか能がない男。
でも今は占えない。
だって木村カエラ似の俺の神様の声が聞こえなくなった瞬間から、
いつもは空に浮かぶ雲の向こうに見えていた運命のイメージってやつを感じないんだもの。
誤解されちゃ困る。
そこら辺のインチキ占い師と一緒にしないでくれ。
本当に俺は見えていたんだ。
物心ついたその時から。
いわゆる、見えないものが見え、知りたくない事までわかってしまった。
予知能力、千里眼、生まれているはずもない過去の記憶・・・・・。
そんなものが、ポテトチップを食べるよりも手軽に俺の心にはいつもあった。
最初は半信半疑だった俺の両親も、度重なる予知能力の結果に認めざる
負えなかった。
当の俺?嫌、あの頃は僕か・・・あの頃の僕はそんな自分の事を、
『 僕は普通の人には無い能力があるんだな。 きっとこの能力を活かした仕事をするんだろうな。 』
なんて恐ろしく冷静に受け止めていた。
だって聞こえていたんだもの。
生まれた時から。
心の声が。
勝手に見えていたんだもの。
僕の神様が。
木村カエラ似の、ベリーグッドな神様が・・・
今はもう、どこかへ消えてしまった神様が・・・
そんな風に、俺の神様に導かれるように生きてきた俺。
自然と占い師の道へと歩いて行った。
もちろん勉強もした。高島易、四柱推命、エトセトラ・・・。
占いに関わることは、時代も国境も問わず学び、吸収した。
俺はこの能力を使って、悪いことをしてお金を儲けて、エッヘヘヘ・・・!!!
なんて下品な人生は全く考えなかったし、やらなかった。
きっと俺の、カエラ似の神様の教育が良かったのだろう、
彼女は良く僕にこう囁いた。
『 この能力は人の為に使いなさい!いつも驕らずに。
そして人様の人生を決めてしまっては駄目!導くきっかけをあげるのよ。
だから占い師位がちょうど良いの!
本物の占い師になってね!・・・♪忘れないで、見つめる事を~・・♪忘れないで、
感じることを~・・あなた次第で~、リ~ル~ハ・・・・・ 』
おぅっといけない!
いくら木村カエラに似ているからって、
俺の神様は 【 リルラ リルハ 】 は歌ってない!!
しかも電車の中で熱唱している場合でもない!!
なんやかんやで混乱してるぜ俺ったら!
少し落ち着こう・・・あの少し頭の禿げているバーコードおじさんの頭に集中して・・・
ふぅ・・落ち着いてきた。
なぜか昔から、禿げているおじさんのバーコード頭を見ると安心する。
・・・よし、もう大丈夫、ありがとうおじさん!
これでいつものクレバー一輝の復活だ!
未来と過去が見えなくなった以外は・・・。
まぁ、とにかくそんな事を、俺の神様に言われ続け、導かれ続けて28年。
俺は立派なカリスマ占い師になった訳だ。
なぜ急にこの能力が無くなったのか、その理由は解らない。
ある朝突然運命が見えなくなった事だけが真実。
きっとそれは、テレビやマスコミに騒がれて、有頂天になっていた俺への神からの
罰なのかもしれないし、俺の能力の限界がしょせんここまでだったのかもしれない。
カムバック細木数子。
俺は大殺界じゃないはずだ。
教えておくれ、俺の神様がいなくなった理由を。
あなたの力がいまだ健在なら。
あんたにだって見えてたはずだ、いろんな事が。
それとも何かい?
あなたももう、何も見えなくなってるのかい?
カムバック俺の神様。
カエラ似の素敵な僕の神様・・・。
いかん!いかん!いかん!俺とした事が!
思いっきりネガティブシンキングになってしまった。
その結果、おセンチな詩人みたいになってしまった。
ごめんね俺! 何が、
『 ・・・教えておくれ、俺の神様がいなくなった理由を・・・ 』 だ!!!
消えやがれネガティブセンチメンタル浦無一輝!
例え占う能力がなくなったって、俺は元カリスマ占い師、浦無一輝だ!
どんなに困難な状況でも、冷静に、現実をとらえてこそ元占い師だ!
いーぞ!いつもの調子に戻ってきたぜ!
まずは、この先どう生きてゆくかを考えよう。
こうゆう時は物事シンプルに考えた方が良い。
まずは現在の状況から。
ケース①
氏名・・・・・・浦無一輝 様。
生年月日・・1979年7月16日 ロマンチックな蟹座の28歳。A型。
職業・・・・・・元占い師。
( お悩み )
ある朝起きたら突然、心の中の神様(女性、年齢不詳、木村カエラ似)がいなくなってしまって、幼い頃から持っていた予知能力、千里眼、未来や過去が見えるといった、カリスマ占い師の必須条件をひとつ残らず失ってしまった。
よって、何ひとつ占う事が困難となり、マスコミから持て囃されるどころか、いち占い師としても生きて行けない。
( 備考 )
占えなくなったので、この先予約が入っている偉い政治家や芸能人の方たちにお断りをしなくてはいけないのだが、あの人達は非常に自己中心的なので、こちらの事情も聞かず、ぐちぐちと文句をたれられた挙句、ややこしい圧力を掛けてくるといったおそれ在り。
う~ん・・・我ながら非常に面倒くさい事態になったものだ。
対処法はというと・・・
パターン①
占う能力がなくなった事は隠し続けて、このままカリスマ占い師として生きる。
当然、占いは外れるだろうが、そこを突っ込まれても笑顔で乗り切る。
パターン②
占う能力がなくなったのだから、潔く占い師を辞めて、皆さんにお詫びと別れを告げ、別の生きる道を探す。
その際くれぐれも田舎に行って、『 俺東京でカリスマ占い師だったんだぜ~ 』 とか言わない事。
又は急にサーファーとかを目指さない事。
パターン③
いつ帰って来るかも解らない、木村カエラ似の神様を待ち続ける。
う~ん、シンキング 考えろ、考えるんだ浦無一輝・・・。
一休のように、一休さんのように・・・
to be continue・・・
■重要なお知らせ■
7/2(水)・3(木)
'渋谷RUIDOK2'にて、
第2回舞台公演決定!
・OPEN 22:00
・START 22:30
(~23:30終了予定)
すべて当日券のみ。
¥2,000(1ドリンク込)
皆さま、是非お越し下さい!
詳細はPCトップページよりご覧頂けます。。