超格差社会のテニス界に新風を吹き込んだ超新星<大坂なおみ>
女子プロテニスの4大大会(グランドスラム)に次ぐWTAの最高峰「プレミア・マンダトリー」4大会(インディアン・ウェルズ→マイアミ→マドリッド→北京)のひとつ<マイアミ・オープン>(女子)が始まった。なお、男子のそれは、ATPの最高峰「マスターズ1000」8大会(インディアン・ウェルズ→マイアミ→マドリッド→ローマ→トロント→シンシナティ→上海→パリ)のひとつに該当する。
日本時間の今週19日(月)に、カリフォルニア州のインディアン・ウェルズで「BNPパリバ・オープン」決勝が行われてからまだ数日しか経過していない中、場所をカリフォルニアからフロリダへ移し、「マイアミ・オープン」が始まり、予選(1回戦及び2回戦)が本日終わり、そして本戦1回戦に突入した。
今年1月に開催されたグランドスラム「全豪オープン」で優勝を飾った世界ランキング2位(元同1位)の<ウォズニアッキ(スポンサー料を除いて、過去の獲得賞金だけで30億円を超えているスタープレーヤー)>ちゃんが、「BNPPO」4回戦でロシア20歳の超新星<ダリア・カサトキナ>に今年2度目の敗戦を喫したのは、あまりに衝撃的で正直驚きを隠せなかった。その後、新婚の彼女はプライヴェート・ジェットでマイアミへと移動した。
プロテニスのスケジュールの過密さとその移動距離は、プロスポーツの中で最も過酷なそれであり、世界ランキング100位以内をキープしないと、グランドスラムやプレミア・マンダトリー(男子はATP1000)に予選から出場しないといけないルール(本戦へ出場できる主催者推薦は除く)で、それに全て勝ち続けていかないと、前へ進めない世界なのだ。もし、世界ランキング100位以内をキープできれば、4大大会すべて1回戦で負けたとしても、理論上では約1600万円が手に入るシステムだが、選手(莫大なスポンサー収入が入る数名のトップ選手は除く)はその中から、航空券、宿泊費、食費、コーチ料等々の諸経費を差し引くと、手元に一体いくら残るのだろうか? テニスへの情熱と類まれな才能、そして努力を継続する強いハートがなければ、テニスで生計を立てるというそれは夢物語に終わってしまうはずだ。
アメリカ社会のように、テニス界においても、トップ選手(富裕層)と下位選手(低所得者層)の格差は広がるばかりで、この「超格差社会」を悲観しても何も始まらないが、そんな超格差社会において、突然目覚めた20歳の超新星が大坂なおみちゃんだ。死にかけていた日本テニス界の救世主とも言えるライジング・スター<大坂なおみ>の覚醒は、「過去の日本人のテニスは一体何だったのか?」と我々に問いかけるかのように、
BNPPOでは、1回戦で「シャラポワ(元世界ランキング1位)」を、2回戦で「ラドワンスカ(元同2位)」を、3回戦で「米の新星サチア・ビケリー(ムグルサを2回戦で撃破)」を、4回戦で「(ココ・バンダウェイに完勝した)マリア・サッカリ」を、準々決勝で「ハレプ(現同1位)」を、そして決勝で「ロシアの超新星ダリア・カサトキナ(注: ライヴ中継で外国人アナウンサーは“カサキナ”と発音していた)」を破り、初優勝を飾ったのだ。それも圧勝劇という、過去に誰も体感したことがないようなパワーテニスで勝利を収めたのだ。これは、錦織くんが18歳でプロデビューして現在に至る11年間で一度も達成出来なかった、日本人初の快挙なのだ。「GRIT=やり抜く力」だけではできないそれかもしれない。
大坂なおみの“世代交代”という物語の序章は今月始まったばかりだが、マイアミ・オープン1回戦の相手が、マイアミ・オープンV8を誇る36歳のセリーナ・ウィリアムズに決定したのだ。ノーシードで、この新旧の怪物同士の初顔合わせとなる初戦は、まるで物語がエンディングからオープニングへと逆回転していくような驚きと新鮮さに満ちており、テニスファンに限らずとも、心躍るような、そんな刺激的な対戦だとも言える。
ウィリアムズ妹にはストレートで勝利できると信じているが、2回戦の相手は世界ランキング4位のウクライナのエリナ・スビトリナ(今年の戦績は15勝3敗、勝率.833)であり、今年すでにもう2勝している強者だ。過去の対戦成績は2勝2敗と互角で、先月開催された「ドバイ選手権」準々決勝ではスビトリナが勝利しているが、覚醒後の大坂なおみのほうが有利だと俺は楽観視している。これから果てなく続く、大坂なおみのテニス・ストーリーがとても楽しみで、これほど“期待”で心が躍るのは、デヴィッド・ボウイの新作リリースが決定した時と同じくらいかもしれない。彼はもう★になってしまったけど、ね。
マイアミ・オープン
ドローその1
BNPパリバ・オープンが始まる前まで、大坂なおみちゃんが覚醒(2、3年後くらいの覚醒を期待していた。予感もあったのは確かであり、ブログの新たなテーマに「テニス」を加えた)するとは正直考えていなかったが、同大会での彼女の全試合を観た今では、マイアミ・オープンは彼女の優勝以外イメージできないのだ。
したがって、本命は大坂なおみであり、その対抗を選ぶとすれば、ハレプとプリスコバ妹の2人だけだ。私的に注目しているのは、BNPPO同様、アメリカ18歳の新星CiCiベリスちゃんであり、ワイルドカード(主催者推薦)でアザレンカが選ばれ、彼女の初戦の相手に決定している。
付け加えるならば、2回戦で登場するハレプの相手となる、1回戦の予選通過者が入る予定の枠に、予選の2試合目(対アリソン・リスク)を途中棄権したフランスのオセアヌ・ドダンが、抽選とはいえ、ラッキールーザーとして組み込まれているのは謎すぎる(笑)。これに気付いた人はほとんどいないだろうが、海外ツイートの中には数名見かけた。
ドローその2
このグループでは、ムグルサにもうあまり期待はできず、対抗はケルバーだけだろうね。メキシコ・オープン優勝のツレンコにも注目していたが、本日1回戦で敗退。
付け加えるならば、BNPPOで4回戦まで勝ち進んだ米16歳の超新星<アマンダ・エイニシモバ>ちゃんは要注目であり、すでに初戦では勝利を収めており、次戦の相手がムグルサという、この対戦は、新旧交代とは言わないが、少しばかり胸躍るそれだとも言えよう。
ドローその3
このグループは「死のグループ」であり、日本時間の明日早朝に行われる初戦の「大坂なおみVSセリーナ・ウィリアムズ」がとても待ち遠しい。
対抗は、スビトリナを筆頭に、クビトバ、そしてカサトキナだ。大坂なおみが2回戦でスビトリナに勝利し、その次の次の4回戦の相手は「クビトバVSカサトキナ」の勝者が予想されるため、タフなドローであるのは間違いない。とはいえ、優勝を期待しているのは俺だけではないはずだ。
そう、少しばかり気がかりなのは、昨年全仏オープンを優勝したにもかかわらず、今年パッとしない20歳のシード枠<オスタペンコ>ちゃんであり、初戦(2回戦)は突破してほしいと切に願うよ。
ドローその4
このグループは、対抗はウォズニアッキしか正直思い浮かばないが、BNPPOで準決勝まで勝ち進んだウィリアムズ姉がそれに続く感じか。私的に期待しているのは、ベルギー22歳の新星<エリス・メルテンス>ちゃんだ。
なお、このドロー表は「マイアミ・オープン」公式サイト掲載のドローをコピーしたものだが、メルテンスのランキングが[22]とあるが、彼女の最新ランキングは21位なので付け加えておきたい。要は、毎年、テニスの試合が11月までエンドレスに毎週続くため、運営サイトも主催者も追いついていないのだ。選手が誰と対戦するのか、半日前まで分からないというこの過密なスケジュールには呆れるばかりだ。
最後に
昨夜はシャンパン片手に、同公式サイトのドローを楽しく眺めていたのだが、本戦が始まる前日に対戦相手がまだ決まっていないケースもあり、選手たちは大変だなぁ、と。マイアミ・オープンが終われば、クレーシーズンが6月まで続くので、ヨーロッパに選手は移動するが、ヨーロッパ間の移動であれば、移動距離も時差もほとんどなく、問題ないはずだ。ナダルも戻ってくるはずだ。
ところで、BNPPOの決勝は、チケットが一人当たり数十万もするため、今年も富裕層ばかりが集まっていた大会(会場内に美女の姿が目立った)のように俺の眼には映ったが、前回のブログに張り付けたシングルマザーの道を選んだスーパーモデル<アレッサンドラ・アンブロジオ>ちゃんのツイートだが、
その写真からも分かるように、会場内の高級和食レストラン「NOBU」でシャンパンでもいただきながら、強い日差しを避け、ナイト・セッションの試合を観戦するのが理想だと確信した。で、アンブロジオちゃんが子供と座った席からでは、ほとんどテニスは見えないはずだ。そこに子供と一緒にいたという、美しい思い出になるであろうストーリーが欲しいなら、話は別だけどね。
そう、久々にこのミュージック・ヴィデオが観たくなったよ。エキストラとして、ジョコビッチとモンフィスが登場する。初見の方には、ジョコビッチの演技も含め、とても新鮮に映るはずだ。
Naomi begins!