Autumn has come. | In The Groove

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a beautiful tomorrow yea

ロバート・グラスパーのはじまり

 

7月31日(日)付ブログ“Summer has begun!”(テーマ: ビューティー)で、「今週28日(木)、東京は平年よりも7日遅く、昨年よりも18日遅い梅雨明けが気象庁より発表され、本格的な夏がようやくはじまった。今週は、ロバート・グラスパー(現代の最先端ジャズ)が25日(月)から3日間、マリーナ・ショウ(古き良き時代のジャズ)が28日(木)から3日間、東京ミッドタウン内のビルボードライヴ東京でそれぞれライヴを行い、俺は全6日間すべての公演に足を運びたかったというのが本音なのだが、前者に2夜連続、後者に1夜、計3公演を鑑賞し、俺の夏ははじまった」と綴ってから早1か月、暦では夏は終わり、東京都心では残暑がまだ続いているとはいえ、季節はを迎えた。

 

ファッションの秋”を先取りするかのように、先週末26日(金)の夜は、有楽町の男性向け高級百貨店「阪急メンズ東京」で、開業5周年を祝う<オータム・ナイト>パーティが招待客を集め、19時から22時までの3時間開催された。「ファッションショー」をはじめ、「ザ・ビートルズ来日50周年記念スペシャルトークショー」、映画「ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK – The Touring Years」(9月22日~)公開記念のパネル展及びフォトブースなどなど様々なイヴェントが用意され、プレミアム・イヴェントとして、レベッカのNOKKOがライヴが行い、各フロアでは数種類の高級ウィスキーなどが振る舞われたのだ。とはいえ、同日夜は銀座で会食だったため、俺は足を運ぶことができなかった。

 

ビートルズの初来日が1966年、俺が生まれたのが1970年代、レベッカのデビューが1984年シェイクスピアは「すべての人生には歴史がある」「私たちは時の家来だ」「若さとは、長くは続かぬものだ」等など数多くの名言を残したが、今年★となったロックスター<デヴィッド・ボウイ>(1947-2016/享年69歳)に関して、シェイクスピアの言葉を借りれば、正に「失ったものを賞讃すると、思い出がいっそう辛くなる」のだが、「どんなに長くても、夜はいつか明ける」のも確かだろう。 

俺にとって、今年の夏は、ロバート・グラスパーのライヴで本格的に始ったと書いたが、今月16日(金)には、早くも彼のニューアルバム『ArtScience(アートサイエンス)』が世界同時リリースされる。正確に言えば、今回は「ロバート・グラスパー・エクスペリメント」名義でのリリースゆえ、前作『BLACK RADIO 2』(2013年10月)以来、約3年ぶりとなる。したがって、先に「早くも彼の・・・」と書いた理由は、「ロバート・グラスパー」名義でのカヴァーアルバム『COVERED』(2015年6月)及びマイルス・デイヴィスの楽曲を“Reimagined”(再創造)したアルバム『EVERYTHING’S BEAUTIFUL』(2016年5月)に続く新作だからだ。 

そんな世界待望のロバート・グラスパーの新作アートサイエンス』が待ち遠しい今日この頃でもあるが、彼(ピアノ)は今冬には、ヴィセンテ・アーチャー(ベース)とダミオン・リード(ドラムス)と共にトリオで、ブルーノート東京において、12月18日(日)から22日(木)までの5日間(10ステージ)、来日公演が決定した。彼は、俺に日本の季節の移り変わりを教えてくれるかのように頻繁に来日しているが、今年何度来日を果たしたのだろうか? そう、ビルボードライヴ東京での7月公演の感想をまだ綴っていなかった。劇場鑑賞した映画の感想然り。

 

ロバート・グラスパーも才能を認めた、

黒人ミュージシャン<フランク・オーシャン>の

お気に入りの50曲

 

2000年以降にデビューしたミュージシャンの中で、このブログでいち早く取り上げ、オススメしたアーティスト(当時はごくごく一部の洋楽好きの間でしか知られていない存在だった)は現在、その全員が世界的に成功を収めた(今では誰もが知るビッグネームにまで成長した)が、その筆頭がリアーナ(ダンスミュージック)であり、カニエ・ウェスト(ヒップホップ)であり、ジェームス・ブレイク(ハウスミュージック/EDM)であり、カルヴィン・ハリス(ハウスミュージック/EDM)であり、カスケイド(ハウスミュージック/EDM)であり、そしてロバート・グラスパー(ジャズ)なのだが、彼らの来日公演には過去何度も足を運んだ。

 

2000年以降、彼らはミュージックシーンの最先端を走ってきたアーティストだとはいえ、カニエ・ウェストだけはもう過去の人なのかもしれないが、リアーナはファッション・アイコンでもあり、正に「VOGUE」な存在の歌姫だとも言えよう。

 

一方、ブログ内でオススメはしたが、唯一足を運べていない(来日公演なし)アーティストが、ラナ・デル・レイ(ハリウッド・ポップ/サッドコア)とフランク・オーシャン(R&B)の2人なのだ。また、バンクス(R&B)の初単独来日公演に関しては、2015年2月13日(金)付ブログ“I’m already falling”(テーマ: 音楽)の中で、特別に、詳細に綴ったので、興味がある方はどうぞ。 

本題に入るが、ニューアルバム『Blond』をリリースしたばかりのフランク・オーシャンだが、彼はフリーマガジン『Boys Don't Cry』を発行し、同誌の中で、お気に入りの音楽(50曲)が紹介されたゆえ、本日のブログでは、彼が選んだ50曲に注目してみたい。

 

“Crosstown Traffic”, Jimi Hendrix

“How Insensitive”, Frank Sinatra

“Scarborough Fair”, Simon & Garfunkel

“Alina”, Arvo Part

“I Feel Love”, Donna Summer

“To The Last Whale”, Crosby & Nash

“Prints Tie”, Bobby Hutcherson

“Jardim Dos Deuses”, Joyce Moreno

“Fade Into You”, Mazzy Star

“No More Shall We Part”, Nick Cave & The Bad Seeds

 

“I Never Learnt To Share”, James Blake

“One Mo Gin”, D'Angelo

“The Last One To Be Loved”, Gabor Szabo

“Shadows”, Lonnie Liston Smith & The Cosmic Echoes

“Images Live In 1964”, Nina Simone

“The First Time Ever I Saw Your Face”, Roberta Flack

“It’s Gonna Rain”, Steve Reich

“Stardust”, Willie Nelson

“Nós e o mar”, Tamba Trio

“$”, D.R.A.M.

 

“When I Die”, Goldlink

“The Man-Machine”, Kraftwerk

“Asiko”, Tony Allen

“Earth Bound Hearts”, John Mclaughlin feat. John Surman

“Simply Beautiful”, Al Green

“Mr. Bojangles”, Nina Simone

“Flamingo”, Todd Rundgren

“The Medley Of Praise”, Daryl Coley

“Claire De Lune”, Isao Tomita

 

 

“Calls”, Robert Glasper feat. Jill Scott

 

“Your Smile”, Chaka Khan and Rufus

“Bitch Please”, Death Grips

“Anthrax”, Gang Of Four

“I Am The Walrus”, The Beatles

“Jesus Children Of America”, Stevie Wonder

“Garden Of Linmiri”, Caustic Window

“Home (YouTube Rip)”, Kim Burrell

“Vibrate”, OutKast

“12 Aisatsana”, Aphex Twin

“Mis”, Alex G

 

“Right Down The Line”, Gerry Rafferty

“Anytime”, Ray J

“Jesus”, Curtis Mayfield

“Something About Us”, Daft Punk

“Your Daddy Loves You”, Gil Scott Heron

“Portrait Of Tracy”, Jaco Pastorius

“Rusholme Ruffians”, The Smiths

“When U Were Mine”, Prince

“Road To Nowhere”, Talking Heads

“Boys Don’t Cry”, The Cure

 

先述した50曲は、彼が自らのセンスで選んだそれだと思う一方、彼が他のメディアで選んだお気に入りの映画100本は、明らかにアメリカの著名な映画評論家などが選んだ名作リストや本などを参考にして、選んだ感は否めず、現在28歳の彼がそれらを全部鑑賞しているとは思えないそれだった。なぜなら、28歳の割には洗練されたセレクションだったからだ、ただそれだけ。映画好きの俺は、子供の頃からビデオで、90年代はLDで、それ以降はDVDで、トータル5000本以上は鑑賞してきたが、彼が鑑賞した映画の本数は、年齢的(彼のデビューは2012年であり、経済的成功はそれ以降)なそれから考慮すれば、限定されるからだ。

 

音楽に関しては、彼の本業であり、インスピレーションの源なのだろうから、その範囲ではないが、音楽好きならば、誰もが知る有名なミュージシャンの名前ばかりが並んでおり、曲目に関しては、なぜそれを選んだのかは甚だ疑問が残ったとはいえ、私的にはとても興味深いそれだった。

 

俺のお気に入りの米国の黒人女性ジャズシンガー<ニーナ・シモン>をはじめ、英国の<ビートルズ><ジェイムス・ブレイク><エイフェックス・ツイン><ザ・スミス><ザ・キュアー>、(デヴィッド・ボウイも影響を受けた)ドイツの<クラフトワーク>、フランスの<ダフトパンク>、今年他界した日本の<冨田勲>、そして今年急逝した米国の<プリンス>、同じく同国の<ロバート・グラスパー><スティーヴ・ライヒ><カーティス・メイフィールド><ロバータ・フラック><フランク・シナトラ><トーキング・ヘッズ>等などの名前が目に留まった。

 

全部は書かないが、他にも、サイモン&ガーファンクルをはじめ、ドナ・サマー、スティーヴィー・ワンダー、チャカ・カーン、アル・グリーン、ディアンジェロ、アウトキャスト、トッド・ラングレン等々、アメリカ人であれば、誰もが知る有名なミュージシャンばかりだ。

 

結論、28歳のフランク・オーシャンが選んだ50曲は、全部が全部、洗練されているとは言えないそれなのだが、ジャズ、R&B、ヒップホップ、ロック、フォークと多種多様なのも特徴のひとつであり、ニーナ・シモンをはじめ、ジェイムス・ブレイク、ダフトパンク、ロバート・グラスパー、プリンス等々の名前が挙がっているように、彼の音楽の趣味は、俺ととてもよく似通っているのは明らかだ。とはいえ、同50曲のリストには、天才作曲家<モーツァルト>の名前も、天才ピアニスト<グレン・グールド>の名前も挙がっていない(ロバート・グラスパーは黒人ジャズピアニストである)ことから推測できるのは、彼は黒人の音楽とも形容できるジャズやヒップホップ、R&Bなどを中心に強い影響を受けたことが窺い知れるのと同時に、米国のロックよりも寧ろ、英国のロックに影響を受けながら、ヨーロッパの電子音楽(ハウスミュージック他)にも関心があったのか、と俺は読み取ったのだ。また、デヴィッド・ボウイの名前は、アルバムに貢献してくれた(要は、フランク・オーシャンが影響を受けたという意味合いで)クレジットされているが、先述した50曲の中に、ボウイの曲が含まれていないのは意味不明だ。

 

付け加えるならば、彼が選んだお気に入りの映画100本に関しては、次回のブログで取り上げる予定だが、もうひとつ、俺が知りたいのは彼のお気に入りの小説や作家の名前だろうか。彼がシェイクスピアオスカー・ワイルドのそれを読んだことがあるのか否かは知らないが、意外にも、彼のお気に入り小説が、ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』だったら、或る意味、面白いと考えたのは俺だけではないはずだ。彼がストレートなのか、それともゲイなのかバイセクシャルなのか、それは大した問題ではないけれど・・・。彼のニューアルバム『ブロンド』は、俺が過度に期待したほどの面白いアルバムではなかったが、彼のまた違う一面を知るにはとてもよい機会だった。なお、音楽専門サイト<NME>のサイトでは、同アルバムの全曲レヴューが掲載されている。

 

 

最後になるが、フランク・オーシャンのデビューアルバムChannel Orange』(2012年)収録曲“Bad Religion”を耳にする度、特に理由はないが、今は亡きプリンスをふと思い出すのは俺だけだろうか。

 

Have a nice day!