Sparking Your Creativity and Imagination | In The Groove

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a beautiful tomorrow yea

 
アビド社は最近、世界各国の成人の5000人にインタヴューし、クリエイティビティの世界的動向に関する調査を行った。その結果、クリエイティブな都市の第一位に東京が選ばれた。だがここで興味深いのは、この調査でクリエイティブな国として挙げられた国の中で、唯一日本人だけが、自分たちの国や都市―日本や東京―をクリエイティブな場所だと考えていない点だ。その代わりに日本人は、アメリカ、ドイツ、フランスといった国を挙げている。

クリスチャン・スタディール著『Sparking Your Creativity and Imagination』より

 

クリスチャン・スタディールの著書

 

デンマークフレデリック皇太子同妃両殿下が26日(木)に来日された。3月15日付ブログ“The dots will somehow connect in our future.”において、デンマークに注目したばかりだ。

 
本題に入るが、18日(水)に来日したデンマーク人<クリスチャン・スタディール>著『世界で最もクリエイティブな国デンマークに学ぶ発想力の鍛え方(原題: Sparking Your Creativity and Imagination)』を先日読了した。
 
1971年生まれのクリスチャン・スタディール(43歳)
は、トアニコグループの御曹司であり、
 
デンマーク発スポーツブランド<ヒュンメル>社の
CEOとしても有名な人物だ。
   
  

同書には、デンマーク発のクリエイティビティの一例として、『noma』(世界一のレストラン)、『hummel』(スポーツ衣料)、『LEGO』(ブロック玩具)、『ロイヤル・コペンハーゲン』(陶器)、『ジョージ・ジェンセン』(宝飾品)、映画『ニンフォマニアック』、アンデルセン童話、LETT法律事務所、哲学者キルケゴールなどなどの名が挙げられていた。

 

先述した一例は、『noma』『LETT法律事務所』『映画ニンフォマニアック』『哲学者キルケゴール』を除けば、他は日本人の多くが知っているものばかりで、敢えてここで言及するつもりはない。同書は、難しい本ではなく、シャンパン片手に楽しく読め、クリエイティブを高め、そしてそれを達成していくためのヒントが散りばめられた1冊だとも言えよう。とりわけ、オススメもしないが、面白い本であるのは確かだろう。

 

それらのヒントはともかく、同書を要約した一節を、以下一部抜粋して紹介したい。

 

クリエイティビティを高めることは、政治の優先課題でもあり、21世紀の経済に欠かせないテーマでもあり、近年の学校改革の目標でもある。ジェラード・プッチオ、マリー・マンス、メアリー・マードックの共著『創造的リーダーシップ』には、曖昧のない口調でこう記されている。新世紀の変化に対応するには、創造的なリーダーシップが必要だ、と。

 

つまり、クリエイティビティを避けて通ることはできなくなった、ということだ。現代においては、国や地域にかかわらず、持続的な成長を確保する新たな方法が求められている。それを見つけるためには、新たなものを構想するスキル想像力がなければならないし、代わりとなる製品、代わりとなるライフスタイルを生み出さなければならない。未来を想像するだけでは不十分だ。新たなアイデアを見事実現するためには、そのアイデアを形にすべく行動する必要がある

 

デンマーク発のクリエイティビティの一例はさておき、このブログで過去最も多く取り上げてきた、世界的にも、クリエイティビティ(創造性)を十二分に発揮した代表例は、他でもない「ジョルジオ・アルマーニのファッション」であったり、「デヴィッド・ボウイの音楽」だろうか。それぞれに、情熱をカタチにした人物だ。

 

他にも数えきれない程、過去にも取り上げてきたと思うが、昨今の流行(インターネット登場以降)はといえば、「カルヴィン・ハリス」に代表されるような<ハウスミュージック>(最近では「EDM」と一括りにされている音楽のジャンルだ)だろうか。

 

また今年は、建築家「安藤忠雄」氏をはじめ、建築家ユニット「SANAA(妹島和世×西沢立衛)」、料理人「松久信幸(NOBU」氏にも注目した。フランスの映画監督「ジャン=リュック・ゴダール」然り。要は、それぞれの分野において成功し、世界的にも名が知れた人物だと言えば、分かり易いはずだ。スポーツで言えばメジャーリーガーの「イチロー」、文学で言えば「村上春樹」がその最たる例だろうか。

 

リチャード・フロリダの著書

 

リチャード・フロリダ著『The Rise of the Creative Class』がアメリカで刊行されたのは、今から13年前となる2002年まで遡るが、同氏による『クリエイティブ・クラス』という言葉が、ここ日本において、一般的に知れ渡るようになったのは2005年頃だったように思う。

 

2005年12月6日付ブログ“Beautiful Stranger”では、マドンナの来日について綴ったが、当時のブログで俺は「クリエイティブ・クラス」について、少しばかり言及していたので、以下一部抜粋して紹介したい。

 

今月の雑誌「Esquire」 の特集は、「クリエイティブ・クラスが通うBARセレクション」。

 

クリエイティブ・クラス”とは、何か?

 

アメリカの大学教授であるリチャード・フロリダが次のように説明していた。

ひと口にクリエイティビティといっても、アーティスティックなもの、テクニカルなもの、そして経済的なものに分けられます。その3分野を社会の中でうまく統合させていくことで、クリエイティブ経済が出来上がるのです。

 

このクラスに属する職業とは、

1アーティスト、デザイナー、建築家、エンターテイナー等のクリエイター。

2科学者やエンジニア及び医師、弁護士、教育者等の伝統的な知識階級。

3企業家や企業の管理職。

他には、ワーキングクラスとサービスクラス、農業・漁業従事者に区分けしているらしい。

 

俺の職業も「クリエイティブ・クラス」に分類されるが、今回読了した<リチャード・フロリダ>著『新クリエイティブ資本論 才能が経済と都市の主役となる』(/ダイヤモンド社/2014年12月発行)は、2008年にダイヤモンド社より発行された『クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭』の改訂版だ。したがって、「クリエイティビティ」や「新しい資本論」について深く知りたい人には、先述したクリスチャン・スタディールの著書よりは、こちらのほうがオススメだ。

 

ヒルサイドテラス物語

 

そして、もう1冊が<前田礼>著『ヒルサイドテラス物語 朝倉家と代官山のまちづくり』(現代企画室/2002年発行)だ。先述した2冊とは全く異なる本だと前置きしておくが、3月15日付ブログ“The dots will somehow connect in our future.”において、デンマークに注目した際、デンマーク大使館が位置する代官山エリアを取り上げたのを憶えているだろうか。

 
当時のブログで、代官山エリアを地図で説明したが、同地図にそれぞれの開業年を加えてみたので、代官山の変遷が分かるかと思う。俺が渋谷の松濤に住んでいた当時、代官山に頻繁に足を運ぶようになった理由のひとつは、旧山手通りに面したデンマーク大使館隣に、1997年にオープンした高級イタリアン『リストランテASO』の存在が大きい。

 

付け加えるならば、グローバル・ダイニング系列のフレンチ『タブローズ』が代官山にオープンしたのが1992年、そして同系列のカフェ『モンスーンカフェ』が旧山手通りにオープンしたのが1995年、そして『タブローズ』内にシガーバーが併設されたのが1997年だ。要は、俺が20代だった90年代後半によく利用したのが、旧山手通りに面した『リストランテASO』をはじめ、『モンスーンカフェ』、そして代官山の『タブローズ』だったのだ。代官山好きのミック・ジャガーが足を運ぶ店としても、『タブローズは有名だった(過去形)。彼は何処にでも現れる男だけど、ね(笑)。

 

もう近年では、グローバル・ダイニング系列の店に足を運ぶことはなくなったが、同系列店に、俺が最後に足を運んだのは、西麻布交差点角に2001年にオープンした居酒屋『権八』だろうか。同店は2002年2月、小泉首相とブッシュ米大統領が会食し、政治の舞台になった場所に他ならないが、今改めて振り返ると、グローバル・ダイニングのピークはあの頃だったようにも思う。尚、現在も私的によく利用するのは『リストランテASO』で有名な<株式会社ひらまつ>系列の店だ。この系列店の選択はほぼ間違いがない。

 
話を戻すが、代官山エリアは今でこそ洗練された街の代名詞のひとつになっているが、その始まりは、同書には、朝倉家と日本を代表する建築家のひとり<槇文彦>氏との出会いが1968年(昭和43年)だったと説明されていた。俺が生まれる以前から、この代官山再開発プロジェクトは進行していたのだ。

 

そして、代官山ヒルサイドテラスのF棟、G棟、N棟が完成した1992年の翌年、槇文彦氏は、ハーヴァード大学大学院デザイン・スクールから「第3回プリンス・オブ・ウェールズ都市デザイン賞」を授与されたのだ。付け加えると、「芸術選奨文部大臣賞」を1973年に、「日本芸術大賞」を1980年にそれぞれ受賞している。

 

プリンス・オブ・ウェールズ都市デザイン賞」とは、一建築物というよりも広い地域の都市デザインプロジェクトに与えられるものであり、私的な70年代の代官山の記憶はないが、80年代、90年代、2000年開業の複合施設「代官山アドレス」、2011年開業の書店を中心とした商業施設「代官山T-SITE」をリアルタイムで知る俺にとって、代官山という街は、渋谷、広尾、六本木、西麻布、麻布十番、銀座などと並ぶ、俺が青春時代を過ごした、生涯忘れることがないであろう、身近な場所でもあるのだ。庭みたいな聖地だとも言えよう。

 

同書の中から、私的に印象に残った一節を以下、一部抜粋して紹介したい。

 

思えば、武蔵野の土のにおいのする住宅地だった代官山に、商業的・業務的要素を最初に持ち込んだのは、ヒルサイドテラスだった。しかし、閑静な住宅地が商業地となり、住みにくくなってしまったことを嘆き、怒りながらも、住民たちは、35年前の代官山に戻ってほしいとは決して言わない。それは何よりも、ヒルサイドテラスを核としてつくられてきた代官山という街の素晴らしさを理解し、誇りに思い、愛しているからである。

 
最後になるが、が訪れたここ東京では尚、2020年の東京五輪開催に向け、あらゆる場所で再開発が同時進行中だが、
 
デヴィッド・ボウイ
が歌う“
Changes”の「奇妙な魅力は僕を虜にする。変化は僕が通り抜けてきた速度でやってくる。変化だ。変化だ。もうすぐ君も歳を取る。時は僕を変えるだろう」の歌詞が、この時期に頭をよぎったのは俺だけだろうか。

 
そして今週末28日(土)には、代官山からも徒歩圏内の恵比寿ガーデンプレイス内のミニシアター「恵比寿ガーデンシネマ」(1994年開館~2011年閉館)跡地に、「YEBISU GARDEN CINEMA with UNITED CINEMAS」が新たに開業する。

 
Have a nice weekend!