Caramel | In The Groove

In The Groove

a beautiful tomorrow yea

 
人間は誰しも、人生が直線的でも論理的なものでもないということを学ぶ必要があります。

ジュリア・ロバーツ

 

コナン・モカシン

 

最近、の夜長のBGMはジャズではなく、(今月リリースされたばかりの)コナン・モカシンの2ndアルバム『キャラメル』をヘヴィーローテーションで、夢見心地で聴いている。とはいえ、デヴィッド・ボウイの『ザ・ネクスト・デイ』に関しては、今年3月にリリースされて以降、自宅での再生回数はかれこれ500回を数えるかと思う。ここ9カ月(約270日)でいうと、1日平均2回くらい聴いている計算だろうか。

 

俺が2013年に購入したCDの枚数は、ここ20数年のそれと変わらず、100枚を超える。このブログで、今年オススメしたアルバムは、デヴィッド・ボウイの『ザ・ネクスト・デイ』を筆頭に、10枚程だと思うが、先日ツイッター上で、デヴィッド・ボウイに多大に影響を受けたというコナン・モカシンについて、いくつかツイートしたが、このアルバムの心地良さを説明するのはとても難しい。
 

 

先ずは、彼がカヴァーしたデヴィッド・ボウイの名曲“Ashes to Ashes”(1980)は、彼独特の歌い方をはじめ、俺をキラキラした80年代にトリップさせてくれるくらい、強烈で、魅力的で、無敵に素敵だ。尚、先日ブログで取り上げたジェームズ・マーフィーのリミックスによるボウイの“Love Is Lost (Hello Steve Reich Mix by James Murphy for the DFA)”も、ボウイの同曲を取り入れたことにより、過去を意識させる。

 
そんなボウイに影響を受けたコナン・モカシンは、ニュージーランド出身のミュージシャンであり、現在はロンドンで活動中だが、先日ニューヨークのあるパーティの席で、デヴィッド・ボウイと写真に収まった17歳の高校生シンガーソングライター<ロード>について少しばかり触れたように、彼女もニュージーランドの出身なのだ。

 

そして、昨年の秋、ニューヨークにリニューアルオープンしたエンポリオ・アルマーニの旗艦店をブログで取り上げた際、インストア・イヴェントでパフォーマンスを行ったミュージシャンが、人気のスカイラー・グレイをはじめ、レディホークだったのだ。レディホークもまた、ニュージーランド出身のシンガーソングライターなのだ。

 

要するに、近年、最先端の、“”を感じられる音楽<ハウスミュージック>に傾倒していた俺にとって、珍しくも、ニュージーランド出身のシンガーソングライターたちが、或る意味、“イット”な存在に変わりつつあったのは確かなのだから。貴重な存在だとも言えよう。

 

2000年前後だったのかな、当時の俺は、オーストラリア出身やニュージーランド出身のモデルの女の子と一時期付き合っていたこともあり、あの開放的で明るい彼女たちの性格が、同国のイメージでもあった一方、(コナン・モカシンは男性ではあるが)彼の創り出すサイケデリックな音楽は、俺の感性を良い意味で、心地良く刺激してくれたのだ。同国は英語圏だとはいえ、ニュージーランドのロックも、悪くないな、とね。

 

また、彼がツイッターでフォローしている面々は、エロル・アルカン、エジプシャン・ヒップ・ホップ、レディホーク、レオナルド・ディカプリオ、レディオヘッド、トム・ヨーク、オスカー・ワイルドのボット等々で、それらは俺の趣味嗜好と重なる部分もあり、コナン・モカシンという人物が、俺の好奇心を掻き立てたのは確かだ。

 

とはいえ、アメリカの雑誌『Interview』を読む限り、彼のお気に入りの映画は、サーフィン映画『エンドレスサマー2』を除いては、俺のそれとは大きく異なるので、ホッとしたような・・・俺のほうが洗練されていると、ね(笑)。

 
尚、彼のセカンド・アルバムは、英国的な香りが漂っているようにも思えるが、東京でレコーディングされていたことが一番の驚きでもあった。同アルバムには、日本人の女の子の囁き声も含まれているので、注意が必要だ(笑)。付け加えると、俺が一番好きなデヴィッド・ボウイのアルバムは、他でもない『ハンキー・ドリー』(1971)だ。オススメ!!

 

クーリエ・ジャポン

 

ところで、『クーリエ・ジャポン』という雑誌をご存じだろうか。

 

今でこそ有名となった国内雑誌のひとつではあるが、8年前の2005年12月1日に創刊された同誌を、当時のブログでいち早く取り上げたが、同誌の提携誌クーリエ・アンテルナショナル編集局長は、創刊号発行に際し、「好奇心と知識欲を掻き立てるような誌面作りを心掛けている」と説明していた。

 

尚、クーリエ・アンテルナショナルの読者層について、彼は次のように答えていたが、当時の俺は、それを見て「なるほど」と思ったものだ(笑)。

 

35歳 読者の平均年齢層、ほとんどが都市生活者。

80% 管理職、もしくはエグゼクティヴ。

72% 「自分は仕事とプライヴェートの両方で成功している」と考えている。

56% 過去1年間で海外でヴァカンスを過ごしている。

48% 社会活動や文化活動に携わることが非常に大切だと考えている。

46% グラン・クリュのワインを楽しむ。

 

ハーバード・ビジネス・レビュー

 

そしてもう一冊、『ハーバード・ビジネス・レビュー』というビジネス誌をご存じだろうか。

 

同月刊誌についても、過去何度か、ブログで取り上げているが、例えば、2010年9月20日付ブログ“Just for you, Julia”では、ジュリア・ロバーツ主演の映画『食べて、祈って、恋をして(原題: EAT, PRAY, LOVE)』についての感想を述べた際、同誌に掲載されたマイケル・J.シルバースタインのコラム“The Female Economy”を紹介し、オスカー・ワイルドの言葉で締めくくった。当時のブログから一部抜粋して紹介したい。

 

探究」はここ数年、最も強まっている感情スペースだ。自分の存在を豊かにし、新たな体験が得られ、好奇心を満たし、肉体的・精神的な刺激冒険興奮をもたらし、生活に目新しさエキゾチックな趣向を加味してくれる商品やサービスが、ここでは重要となってくる。

 

旅行は「探究」にとって重要なカテゴリーだが、それほど活動的でないものも数多くある。たとえば、食べることを一種の「探究」と捉える人は多く、彼らは新しい味やレストランを積極的に試す。

 

「探究」とは、世界に飛び出し、新たな体験をし、自分の可能性を押し広げることでもある。なかでも旅行は、その最も人気の高い方法だ。調査でも、回答者の72%が「旅行が好きだ」と答えているし、アメリカ人旅行者の数は、ヨーロッパやアジアを中心に、かつてないほど増えている。

 

ただし、「探究」が重視されるようになったことで、旅行の性質も変化している。ニューラグジュアリー消費者が求めているのは、単なる休息やくつろぎ以上のものを与えてくれる旅行なのだ。調査回答者の70%は、「知識は最大の贅沢だ」とも述べている。彼らは旅行を、知識の収集や新たなスキルの習得、思い出になる体験と一体化させたがっている。

マイケル・J.シルバースタイン

 

ラグジュアリーは変われるか?

 

ハーバード・ビジネス・レビューのウェブサイトで、1984年生まれの29歳の男性コラムニストが、「ラグジュアリーは変われるか?」といったテーマで、現時点でコラムを3回掲載している。11月20日付コラム“開かれる高級ホテル ドアマンが守るロビーから、フリーWi-Fiが飛ぶロビーへ”では、ニューヨークのデザイナーズホテルを取り上げているので、興味のある方はどうぞ。その内容は、ニューヨークの高級ホテル事情を知らない人にとっては、とても面白いはずだ。

 

とはいえ、ここ20数年、ヴァカンス目的で、ニューヨークに毎年足を運び、ラグジュアリーホテル及び最先端のデザイナーズホテルに数多く宿泊し、高級レストランで食事し、高級デパート高級ブティックで買物し、ラグジュアリーブランドの服を身に纏ってきた俺の感覚から言わせてもらうと、善かれ悪かれ、「ラグジュアリー論」って、実際に、ラグジュアリーな、「ホテル」「レストラン」「ファッション(モード)を知らず(体験せず)とも、20代でもなりを読んで、知った情報を整理して、うまく書けるものだな、と妙に納得した。時代は明らかに変わったな、と。

 

先に引用したマイケル・J.シルバースタインの「探究とは、世界に飛び出し、新たな体験をし、自分の可能性を押し広げることでもある」という言葉が、的を射ているのは事実なのだが、インターネットが普及した21世紀の社会においては、俺のようにお金(例えば、大量の音楽CDの購入や、新しいラグジュアリーホテルでの宿泊)をかけずとも、先述した20代のコラムニストのように、知ったような気になれるといった点では、便利な世の中なのだろう。彼が生まれた1984年のアナログな世界では考えられないようなスピードで、時代が、過去が過ぎ去っているのも事実であり、皮肉にも思える。

 
最後になるが、の夜長に、コナン・モカシンのニューアルバムをBGMに、最近よく口にするフレデリック・カッセルの新作の高級ショコラに限らずとも、コンビニやスーパーで売られているような安物のキャラメルでもまた、甘い記憶を呼び覚ましてくれるように、彼の新作はそんなキャラメルのような甘い雰囲気が漂っており、個性的で、サイケデリックなロックが、今不思議と新しいような気がする。

 

時代も変われば、ロックも変わるのか。

 

Have a nice weekend!