electrochoc | In The Groove

In The Groove

a beautiful tomorrow yea

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1987
年の春の、いつものような雨の夜、ウィットウォース・ストリートの罹災した地区のはずれへ足を運ぶと、数十年ものあいだ工場からの煙と滝のような雨によって色褪せた赤レンガ色の一軒のビル、<ハシェンダ>があった。

―ロラン・ガルニエ著『エレクトロショック』より



ロラン・ガルニエの自伝本、『エレクトロショック』の邦訳版(河出書房新社/¥3,200)が出版されたのは、もうかれこれ7年前の2006秋頃まで遡る。当時、同書を初めて目にしたのは、HMV渋谷店(現在は、FOREVER21の店舗)の書籍を取り扱う上のフロアの音楽関連書籍コーナーだった。俺はすぐさま同書を手に取り、レジで会計を済ませ、エスカレーターで、ハウスミュージックが陳列してある下のフロアへと向かい、色んな新譜CDの視聴をした。そこで、その日に何を購入したかまでは、さすがに憶えていないので、あしからず。



その411頁にも及ぶロラン・ガルニエの自伝本を読み終えたのが、いつ頃だったのかは憶えていないが、同書については、20061121()付ブログ“I'll House you ”の中で取り上げた。



その後、ロラン・ガルニエが同年12月、(かつて存在した)伝説のクラブ『西麻布Space Lab YELLOW 15周年記念パーティのため、来日を果たしたのだ。勿論、俺は同パーティに足を運んだわけだが、その感想については、20061217()付ブログ“You give me something I can feel ”の中で記した。



そう、2006頃の東京ナイトシーンは、今思えば、2000年代以降で最も熱く、輝いていた時代だったように思う。1980年代後半の記憶、あのバブル期のナイトシーン、ファッションも、流行りの音楽もすべて、趣を異にしたゼロ年代ではあったが、それぞれに楽しい夜だったね。



ブログ冒頭の引用は、ロラン・ガルニエ自伝本『エレクトロショック』のチャプター1:「僕があなたをハウスしよう」からの一節だ。同書を購入した2006年当時から、現在に至るまでの間、斜め読みだとはいえ、3、4回は再読したんじゃないのかな!?



なぜなら、彼が18歳で、故国であるフランスから英国へと渡る場面からはじまり、テクノの冒険旅行について書かれた同書は、とても興味深い内容だからだ。その異国での話(日本の話もある)がとても面白く、想像力を掻き立てるのだ。とにかく面白いので、オススメ!



そして、もう1冊。以前のブログでも取り上げた、湯山玲子著『クラブカルチャー!』(毎日新聞社/¥1,600)の中から、一部抜粋して紹介したい。



80年代以降、インターネット格安航空券によって推進された、移動ネットワークの大変化、グローバリゼーションの欲求は、クラブカルチャーの推進力となった。DJバッグ一つを手に、世界中のクラブを行き来するDJたちのライフスタイルは、「世界を舞台に活動したい」という若者に遍在するの実現であり、クラブミュージックで踊ることは、そのまま世界のユースカルチャーとダイレクトに繋がっている証となる。



アルチュール・ランボーが今の時代に生きていたら、彼はアートの道を捨てて、貿易商になるという選択をする必要はなかった。DJなら、その両方が可能なのだから!



クラブ体験はまた、旅の目的にもなる。地中海の島一つが、サマーシーズンに一大ダンスアイスランドと化すイビザなどは、その代表例である。また、ディカプリオ主演の映画『ビーチ』に描かれたように、ヒッピー以来のトラベラー文化は、先進国の若者のイニシエーションとして今に引き継がれているが、それに添い遂げるように、世界各地で行われる野外パーティも、その一つの現れだろう。このように、クラブカルチャーは、今や世界の若者の共通言語だと言える。

―湯山玲子著『クラブカルチャー!』より
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1987
の春から26年が経過し、66年生まれのロラン・ガルニエ(写真:上)は47となった一方、60年生まれの湯山玲子氏は53だ。付け加えると、俺は70年代生まれ故、俺が知らない少し前の時代を知るには、彼らの書籍はとても貴重であり、興味深いのだ。80年代末以降のクラブカルチャーに関しては、東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、香港他で夜遊びの体験をしてきたので、記憶や経験から、深く語れるレヴェルではあるが、10代の学生時代に夜遊びをはじめる以前の世界については、(当たり前だが)知らないのだ。とはいえ、ここ20数年の間に、海外雑誌『Esquire』『GQ』や、国内外のスターDJパーティピープルの話などから、色々と知り得たことは多いけれど。



ところで今、世界で最も夜遊び好きで、(スーパー)モデル好きで、パーティ好きな、モテモテの男は、他でもないハリウッドスター<レオナルド・ディカプリオ>その人なのだろうが、38歳のレオ君に比べると、かなり年上の世代にあたる、60年代、70年代、80年代のかつてのプレイヤーたちニューヨークの夜の社交界の主役たちデヴィッド・ボウイミック・ジャガーアンディ・ウォーホルなどに比べると、彼がお子ちゃまのように映るのは仕方がない話だろう。



ガルニエの話に戻すが、デヴィッド・ボウイの音楽を子供の頃に聴いていたロラン・ガルニエは、或る意味、デヴィッド・ボウイ・チルドレンだとも形容できるわけで、オスカー・ワイルドの書物を読んで成長したボウイは、オスカー・ワイルド・チルドレンだとも形容できるはずだ。また、アート関係であれば、アンディ・ウォーホル・チルドレンが現在、この世には多数存在するはずだ。



そんなガルニエだけれど、近年は毎年のように来日を果たし、今年は、渋谷<SOUND MUSEUM VISION >に426日(金)に登場する。そのことについては、昨日ツイートしたばかりだ。昨年は、“Our Futur Tour”の最終日211日(土)に、同クラブにおいて、彼がDJを務めたため、俺も足を運び、20120212()付ブログ“I wanna DANCE with somebody ”の中で、詳細に記したとはいえ、当時、その夜は、プラダを着て出掛け、シャンパンを飲み過ぎたことだけは今でも鮮明に記憶している(笑)。当時のブログでは、来日していた知り合いの外国人モデルの女の子たちも合流したが、そのことには一切触れていないが、もうあれから1年か―。
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ところで本日8日(パリ時間7日)、パリの老舗クラブ<REX >では、ロラン・ガルニエがプレイするが、パリ時間で23時半スタートなので、日本時間では、本日の朝7時半スタートということになる。



以前に比べると、俺自身、最近では、クラブ(ディスコ)に足を運ぶ機会はめっきり減ったとはいえ、ブルーノート東京をはじめ、ビルボードライブ東京など、都心に位置するジャズ中心のライヴイヴェントを行うホールにはよく足を運んでいる。一方で、フジロックサマソニなど地方開催の野外フェスからは遠ざかり、近年足を運んだ記憶が一切ない。海外旅行を除いて、そもそも都心から、外に出る機会がほとんどない(出る理由も目的も見つからないけれど)。



そう、40年代生まれのボウイ(66歳)に比べれば、60年代生まれのロラン・ガルニエ(47歳)や、70年代生まれの俺は、もっともっとエネルギッシュに生きるべきなのだろう。が、パリでこれから始まる『Laurent Garnier all night long at Rex Club』のタイトルじゃないが、“All night long”で夜遊びするほど、俺も若くないというのは確かだ(笑)。肉体的にも何ら問題なく、変わらずダンス・ミュージック(ハウスミュージック)が大好きなのだが、10代、20代の頃のように、夜通し躍るといった、そういう年齢じゃなくなった、というのが本音なのかなぁ。正直、ビミョウな心境だろうか(笑)。



2013年は、デヴィッド・ボウイのニューアルバムの話題で、世界は、時代は、躍っているが、本日のブログは久々に、テーマを「遊び人のお薦めイベント」で徒然と綴ってみた。こういうのも悪くないね、きっと。



昨日、ツイッター上では、ニューヨークに来年開業する『バカラホテル&レジデンス 』と、ロンドンの超高級ホテル<クラリッジズ>内の高級フレンチ『ゴードン・ラムゼイ』が今年6月にクローズすること等について触れたので、本日のブログは、ロンドンやニューヨークについて、気まぐれに書くつもりでいたが、それについては次回以降のブログで、気が向けば綴ろうかと思う。しばらくは、今も尚、時代の先端を走る<デヴィッド・ボウイ>の話題が多くなるかと思う。このブログの隠れテーマは、「最先端」だから、ね。



いずれにせよ、ロラン・ガルニエ来日の話題は、エッジが効いていて、トーキョーにおける最先端の話題のひとつには変わりないと思う。彼のジャンルは、「テクノ」中心だ。私的には、テクノやトランスよりも、ハウスがお気に入りだけれど。



最後になるが、ロラン・ガルニエの言葉で締めくくりたい。




パーティは続く。




Bonne journée!