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a beautiful tomorrow yea

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鬱陶しい、気まぐれな天気が続く6月も、残すところ11日ほどだ。



本日のブログは、カナダ人、アトム・エゴヤン監督作『クロエ 』について。



彼の作品を劇場まで足を運んで観たのは、2005年に公開となった作品『秘密のかけら』以来となるだろうか。映画の原題は、“Where the Truth Lies”だ。



あれから6年、時は飛ぶように過ぎて行った。そう、(このブログに2004年末から目を通している)皆は、それぞれに年老いたのか、それとも若返ったのか・・・。



本作のイントロダクションとして、パンフレットには次のように紹介されている。 

すれ違う夫婦関係、親離れしていく息子、忍び寄る老いの恐怖・・・・・・。



何不自由のない理想的な家庭の裏側で、一人の女性を苛む孤独と焦燥。



として、として、として、自信を失いつつあった彼女の前に浮かび上がる、愛する夫の浮気の疑惑。



そのとき彼女は、一線を踏み越え、取り返しのつかない愛と欲望の罠に落ちていく・・・・・・。



家族を愛しながら満たされない一人の女性が、ある魔性の娘と出会ったことから始まるセクシャルな妄想禁断の冒険を赤裸々に描いて世界中でセンセーションを巻き起こした、危険な誘惑と官能のサスペンス。


取り急ぎ、感想を述べる前に、この作品は、エマニュエル・ベアール主演作『恍惚』(2003年/フランス)のリメイク版なのだが、俺自身、当時『恍惚』を観たときの印象が薄れてしまった感は否めず、時間があれば、もう一度観直してみたい。
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この作品のメインキャストは4人。



■医者であり、息子がひとりいる妻<キャサリン>役・・・ジュリアン・ムーア

■魔性の女とも形容できる娼婦<クロエ>役・・・アマンダ・セイフライド

■大学教授で、ジュリアン・ムーアの夫<デヴィッド>役・・・リーアム・ニーソン

■デヴィッドとキャサリンの息子<マイケル>役・・・マックス・シエリオット



感想はといえば、洗練された映像、(シンプルでいて)男女間の永遠のテーマにもなりつつある問題を取り上げた点、ジュリアン・ムーアとアマンダ・セイフライドのヌードなどなど、私的には興味深く、面白い作品だったように思う。



1960年生まれのジュリアン(今年51歳)と、1985年生まれのアマンダ(今年26歳)は、誕生日が共に12月3日のようだ。



映画の舞台となった冬のトロントの街並をはじめ、エンドクレジットで目に留まった「グレン・グールド・スクール」の文字、カフェ・ディプロマティコやザ・リヴォーリといったレストラン、ウィンザーアームズやフェアモント・ロイヤル・ヨークといったホテル、フランク・ゲーリーがデザインしたオンタリオ美術館などなど、俺の眼にはすべてがクールに映ったのだ。とはいえ、トロントといえば、フォーシーズンズ・ホテルでしょ?



この作品を観終えてから、内容はともかく、以前のブログで取り上げた2作品、『彼が二度愛したS 』(2008年11月14日のブログ)と、『セックスと嘘とビデオテープ 』(2007年1月15日のブログ)を思い出したのは俺だけだろうか。



パンフレットには、アトム・エゴヤン監督のインタヴュー記事が掲載されていたので、一部抜粋して紹介したい。 

―クロエとはどんな映画でしょうか。



この映画は、何よりもまずを描いた作品だ。そして、我々が人間関係の中に求めるものを描いた作品でもある。



人は相手を知りたいと思う。そして自分自身を見て欲しいと願う。さらに相手の個人としての権利も守りたい、孤独も守りたいと思う。



詩人リルケが書いたように、それは相手の孤独を守るパートナーとしての役割なんだ。だがそれをするために誰かを失うかもしれない。僕にとってはそれがこの映画で描きたいことだった。



自分自身をどう心に思い描き、それを人間関係の中にどう溶け込ませていくのか。愛情が関わる人間関係において、人は思い込んでしまうことがある。



だけど、相手の明白な意図に気づかないと、そのひずみがとても危険なものになり、時に爆発する。



この映画は、結婚に対するとらわれた考え方、そして互いにわかっていると思い込んでいるものを求め合ってしまう、どこか予測不可能な夫婦の関係、その両方を描いているんだ。



キャサリンは自分の人生をコントロールできると思っているが、やがて、それが崩れ始めるのを知る。彼女は自分が夫にとってもはや魅力のない人間だと考えてしまう。



夫がそれを否定したとき、彼女は夫を誘惑するために若い女性を雇い、自分に報告させようと思い立つ。だが、その女性クロエが語る夫とのロマンチックな出会いの物語に、彼女は思わず深く心を奪われてしまう。



僕の映画はすべて、人間が自分の人生を考え直していく過程を描いているが、この映画はさらに、空想が人をどう変えていくのかについての素晴らしい検証でもある。


なるほど、「クロエが語る夫とのロマンチックな出会いの物語」、か(笑)。ブログ冒頭で記したように、同監督作『秘密のかけら』の原題は、“Where the Truth Lies”だ。今作のタイトル『クロエ』の原題は“Chloe”なのだが、“Where the Truth Lies”であっても違和感ないので、偶然なのか、不思議な巡り合わせだ。



また、本作品に、さらに「洗練」を加えるとするならば、映画のエンディングに、デヴィッド・ボウイの1997年作で、当時ダウンロードのみで入手可能だったドラムンベース曲“Telling Lies”を使用すれば完璧だろうか。
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アマンダ・セイフライドちゃん(写真:上)曰く、



クロエは男性が必要とするものを与え、ただ立ち去り、想い出になるなんて強烈だわ。ある意味、キャサリン(ジュリアン・ムーア)は自分の強烈な存在感をクロエに投影するの。キャサリンが探していたものが突然、確かな形で目の前に現れるの。



あなたを満足させれば

私はあなたの中で夢のようになって生き続ける

そうなれば私は消えたって構わないわ

―クロエ
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ああ、夢想家。

だろ?アマンダちゃん。


You're the future

You're tomorrow

You're the end



映画の冒頭シーンであれば、デヴィッド・ボウイの2003年作の“Never get old”は、クールな選択だろうね。



永遠に

空の隙間からどんよりと赤い頭蓋骨が現れ

全てが終わってしまったと俺はうなだれる



どんなに金があっても満足することはない

ドラッグがいくらあっても飽き足りることはない

そして俺は永遠に歳をとらない



どんなに弾丸があっても争いは尽きない

セックスに飽き足りることはない

そして俺は永遠に歳をとらない



だから俺はハイになることも絶対にない

落ち込むことも絶対にない



自分を大事にしたほうがいい

月が地の果てまで浮かび続けるのは

君がいるから



何度も何度も

光の時代を僕は悟り

君の為にそこで生き続ける



―デヴィッド・ボウイ“Never get old”より


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俺がジュリアン・ムーアをスクリーンで観るのは、映画シングルマン以来だけど、ああいう顔も、好きだなぁ。美人だから? 2人の対照的ともいえるファッションも悪くなかった。


Good night!