Narcissistic consumption | In The Groove

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a beautiful tomorrow yea

映画版『Sex and the City』が、今月いよいよ日本公開となる。超最新の映画だが、日本にはそのタイトルすら知らない人さえいるのだ。映画そのものよりも寧ろ、“ファッション”だけがひとり歩きしているようにも思えてくるのは何故だろ?


先月のNumero TOKYOのなかの、「ビッグ・ガールたちのナルシシズムな消費ライフ」といったタイトルのコラムが目に留まった。そのコラムを書いた筆者は、京都大卒のファッションに疎い(本人がコラムのなかで、“ブランドものに絶望的に無知な私”と紹介している)1963年生れの男性だ。一部抜粋して紹介したい。
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所有者の内面を他者に表現するモノを『シンボリック・メディア』と申します。鞄もクルマも、単なる“持ち物を運ぶ”“移動する”という“機能”だけでは語れないのです。もっと踏み込めば“消費=モノやサービスを買うこと”は、シンボリック・メディアを手に入れることです。つまりお買物は“自己表現”なんです。


英会話学校とかビジネススクールといった“教育”だって、おカネを払わなければ手に入らない“商品”なんです。こういうふうに、ありとあらゆるモノやサービスに価格がつき、商品として流通する社会を『高度消費社会』と申します。高度消費社会では、教育を受けることも、エルメスの鞄を買うことも“消費行為”という点では同じなのです。


もしショッピングが自己表現なら、一番大切なことは何でしょう。その商品が自分の所有物となったとき、それを所有する自分を肯定できるかどうか、です。ここで購入者であるあなたがより強い関心を持つのは“そのモノを身に付けた結果表現される自分自身”であって、商品そのものではない。最終的な関心はあくまであなた自身なのです。こういう商品の選び方を、社会経済学者の佐伯啓思という人は「ナルシシズム(自己愛)消費」と名付けました。


1980年代中期以降に初等教育を受けた世代の日本人は「人間には必ず一人一人ちがう個性がある」という“個性信仰”を学校で叩き込まれています。いま、その世代が三十~四十歳代、収入たっぷりの“消費盛り”の年齢に達している。


だから、みなさん個性を表現しようと一生懸命ショッピングする。「自分の個性を表現しなくてはならん」「他人と同じではいかん」というオブセッションに取り憑かれているわけです。でも、この高度消費社会では、限られた既製品の範囲内で「個性を表現」するしかない。つまり、みんな選んでいるようで選んでいない。これは決して解決することのないジレンマです。


この傾向は女性に特に顕著です。いつぞや本欄でも書きましたが「日本の企業社会は成人男子しかお手本を用意してこなかった」からです。日本女性にはまだ“標準的ライフスタイル”が確立していない。だから企業はありとあらゆる手段を使って「これがあなたの個性です。どうぞわが社の製品でそれを表現してください」と誘ってきます。お手本のない女性は「おお、こっちか」「いや、あっちだ」と右往左往するしかありません。それはまるでおもちゃ売場ではしゃぎ回る子供のようでもありますが、“自己愛消費=個性表現”という無限地獄に落ちてもがいているようにも見える。

見苦しくないですか、ビッグ・ガールのみなさん?
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ファッションに疎い筆者が、ファッションについて語るのも可笑しな話だが、「選んでいるようで選んでいない」と断言しているのにも関わらず、具体的なブランド名が出ていないよね。“ブランドものに絶望的に無知な私”とあえて前置きして、逃げているのかな(笑)。とはいえ、30代の俺は、学校で「個性信仰」なんて受けた記憶はないのだが!? 確かに、いまの日本の消費を支えているのは、「30~40歳代の層」と「富裕層」だとは思うが・・・。
ところで、4月30日のブログ“The New Face of PRADA”のなかで、プラダが2008-2009秋冬の広告でリンダを起用すると取り上げた。また、ブログのなかで「プラダの秋冬の広告が、モード誌を賑わせるようになった頃に、改めてこのテーマは取り上げます。」と綴ったので、本日のブログで取り上げてみます。

本日(8月4日)発売のWWD最新号では、「スーパーモデル復活祭の夏」なんて活字が躍っていた。

プラダのキャンペーンがリンダ・エヴァンジェリスタ、YSLがナオミ・キャンベル、ロエベがステファニー・シーモア・・・・・・と今秋冬は90年代のスーパーモデルが大復活というわけで、今月は彼女たちをフィーチャーのモード誌が続々。伊「ヴォーグ」(6月号)にはリンダ、スティーヴン・マイゼルの撮影で、彼女をウォリス・シンプソンに見立てたストーリー、と紹介されていた。

スーパーモデルのなかでも
ひときわ“個性”を放ち続ける
リンダ・エヴァンジェリスタって、
本当に“トーターリー・クール”だよね
・・・最高ッ。

Good Night!!

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