昨日、プロレスリング・SUNの新木場1stリング大会に逝ってきました。


プロレスリング・SUNは私がかつて推していたナナラッカこと高橋奈苗さんが代表を務める女子プロレスの団体です。詳しい経緯は知りませんが、ナナラッカが元々所属していた全日本女子プロレスが解散した後、燻りが残っていたナナラッカ本人が立ち上げた団体らしいです。私がこの団体の存在を知ったのはつい先日のこと。相棒のモモラッチが引退した後も元気に現役を続けてるナナラッカを見て、何だかとても安心しました。現在は月イチペースの自主興行のほか、ゼロワンMAXのリングにも上がっているようです。


この団体、所属選手が4名しかいません。その数少ない所属選手の中に懐かしい顔をハケーンしました。彼女の名前は、前村早紀・・・


前村早紀(以下、早紀タソ)は、今は亡き全日本女子プロレスに所属していたときから気になる存在でした。身長150センチそこそこの小さな身体で、怪物のような先輩レスラーに立ち向かっていく様は悲壮感を漂わせ、見る者の涙を誘いました。しかし、あまりのヨワヨワぶりに、彼女には「全女のミニモニ。」という、レスラーとして非常に不名誉なキャッチコピーがつけられてしまったのです。

私が全女の試合をよく見に逝ってたのは4、5年ほど前なんですがね。当時の早紀タソは本当に弱かった。必殺技はたしかドロップキックだったかと思います。ドロップキックが必殺技だなんて何ともお粗末に思われるかもしれませんが、当時の彼女にはそれしか技が無かったのです。でも、私が早紀タソのドロップキックを見ることはほとんどありませんでした。と言うより、早紀タソが技を繰り出す場面を見ることすらなかったと言っても過言ではないでしょう。なぜなら、彼女は全女のミニモニ。対戦相手の攻撃を必死に耐えるだけで、自分から攻めることはありませんでした。いや、弱すぎて攻めることが出来なかったのです。その激ヨワぶりは尋常ではなく、一般人と戦っても負けてしまうのではないかと思わせるほどでした。


あれから数年。早紀タソは全女の解散後も懸命な姿勢でリングに上がっていました。
私は数年ぶりに見る早紀タソの雄姿に胸が躍りました。いったいどんなファイトを見せてくれるのだろう・・・
が、そこは早紀タソ。しょっぱなから魅せてくれます。音響機器の調子が悪くて入場曲が鳴らず、いきなりの「干され」スタート。やはり「サキ」の名はダテじゃない!
肝心の試合のほうですが、早紀タソは驚くほどの成長ぶりでした。格上の先輩レスラー相手にもまったく怯むことなく、序盤は互角の戦い。中盤では得意の花マルどっかんで流れをつかみ、さき花マルであわや3カウントを奪いそうになりました。その後もジャーマンスープレックスを放つなどの奮闘ぶり。早紀タソがジャーマンを打つなんて、数年前では想像も出来ないことでした。あんなに弱かった早紀タソがここまで成長するとは・・・ そこには「全女のミニモニ。」の面影はもうありません。気がつくと、私の目からは熱いモノがこぼれていました。何度ぬぐっても、溢れ出てくる涙。この感動は他の格闘技では決して味わうことは出来ないでしょう。女子プロレスならではの、推しレスラーの成長を目の当たりにしたときの感動なのです。


試合は結局、ノーザンライトボム2連発を喰らった早紀タソが3カウントを入れられて負けてしまいました。試合では負けましたが、プロレスに勝ったのは早紀タソです。なぜかと言うと、早紀タソは相手に女子プロレスでは危険な技の部類に入るノーザンライトボムを使わせました。この時点で、プロレスでは早紀タソの勝ちなのです。弱い相手には受身の取りづらいノーザンライトボムは使えませんからね。


久々に観戦した女子プロレス。言い得ぬ満足感と余韻に浸り、新木場1stリングを後にしました。


http://www.sun-sun-sun.jp/profile/maemura.php