イスラム教の国マレーシア | 東京Crew倶楽部 ~客室乗務員(CA)の世界~

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フライトにまつわることからCAたちのプライベートまで♪ 元ベテランチーフパーサーが語っています

イスラム教徒が大半の国マレーシア

 

この国に住み

乗務していたCAリエさんからの

ラマダーン(断食期間)体験レポートです

 

 

食事サービスを開始して

「みなさ~ん、お昼ご飯の時間ですよ~」


あれ、おかしい

こんなに食べることが好きな人たちが、

食事を抜くなんて・・・


そういえば、さっき配ったジュースも

おつまみも拒否していましたっけ

まさか!?

ギャレーに戻ったリエは

本国人CAに尋ねます


「もしかしてラマダーンが始まった?」
「そうだよ、昨日からね!

     僕も断食中だから、今日は食べない!」

・・・ついに

今年もラマダーンが始まってしまった

 

断食の期間はおよそ1ヶ月

 

その間、何も食べないかといえば

そうではなくて

 

『日が出ている間は何も食べてはいけない』

ということらしい

 

日が出ている間は、食べてはいけない

ということは、裏を返せば

太陽が沈んでいる間ならば

いくら食べても構わない

ということと同義である


この期間

イスラム教徒の人たちは

昼間はタマシイが抜けてしまった

ようになっている

 

だけど、夜になるともっぱら元気になる


昼間

あふれかえるほどに走っていたタクシーが

夜になると、ばたりと姿を消してしまう

 

これは、イスラム教徒のタクシー運転手が

そろってどこかに食事に行ってしまうため

 

 

先日は

友達と待合せして食事することになっていた

 

出かけようと思ったら

ちょうど断食明けの時間

タクシーが見つからず

 

車で5分のレストランに行くのに

1時間も遅刻する羽目になりました

レストランでは

アチコチに座っているイスラム教徒らしき家族

涎(よだれ)を垂らさんばかりのまなざしで

大量に注文した料理に魅入り

お預けを食らったように

断食明けのアナウンスを待っている


さらに車の渋滞

断食明けの時間が迫ると

レストランへ向かうイスラム教徒の車があふれ

あっちこっちで渋滞が発生する



機内では、何が起こるのかというと・・・

 

フライトが断食の始まる時間にあたった場合

イスラム教徒の旅客は

一般客の食事時間とは別になる

 

断食が始まる前に食べさせなければいけない

夜明けの時間(←断食開始時間)の

1時間ほど前に

食事サービスをすることになる


私が、毎年毎年、苦労するのは

イスラム教徒の人を見分けること

 

自分から、「私は断食していますよ」と

申告してくれると楽なのだけれど

 

満席フライトで

『断食のお客様を見つけてこい!』

と言われると、非常に困るのです

 

この会社で働くようになって

以前よりは目利きになったとは思うのですが

それでも見逃してしまう場合がある


満席フライトで断食者が多い時

食事トレイの上げ下げが二度手間で

延々と仕事をし続けることになるのです

日本人CAの私に

「断食開始時刻/断食明け(終了時刻)は何時なのか」

「食事はいつなのか」

 

聞かれても・・・

私は本国人クルーに聞くしかないのです


中には

「自分は、断食中なので機内食を食べることができない。だから、包んでくれ」

 

という人もいます

 

イスラム教徒が多い本国人CAたちは

ホットミール以外のものを

ビニール袋に入れて

お持ち帰り用にしてあげています

 

私も見習ってやるのですが

これも10人、20人となってくると

さすがにちょっと大変


初めて断食に出くわしたフライトで

着陸時間と断食明けの時間が

ちょうど重なったのです

 

それまでにミールチョイスは聞いてあるけれど

どうするのかなぁ?

と、思っていたのも束の間

 

着陸して、地上走行が始まるや否や

「行くわよっ!」

というシニアークルーのかけ声と共に

まさかのサービス開始

 

飛行機がゲートへ到着するまでの間に

お客様はミールを平らげるのでした

 

こんなことは本来ならば許されるはずはない

と、思うのですが

どうやら、それがこの会社でいう

『思いやりの精神』だそうです

 

「外資CAの生活日記」~断食期間~より抜粋

 

 

                   T・K  ♂

 

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