エンジンがかからない・・・出発遅延 | 東京Crew倶楽部 ~客室乗務員(CA)の世界~

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フライトにまつわることからCAたちのプライベートまで♪ 元ベテランチーフパーサーが語っています

飛行機が到着すると

パイロットは整備さんに引き継ぎを行う

エンジンの調子とか計器のこととか

無線やレーダーのこととか

 

いつもと調子が違っていたら

記録(Log Book)に残し

口頭でニュアンスを伝える

引き継ぎを受けた整備士は

必要に応じて整備したり、微調整したりする

 

 

そのフライトはバンコク発成田行の深夜便

前のフライトで、飛行機は順調にバンコクまで飛んできていた 

 

 

お客様の搭乗も終わり、ドアーが閉められる

ボーディングブリッジが外され

トーイングカー(牽引車Towing Car)でプッシュバック

 

飛行機は自力でバックできないので

トーイングカーが誘導路まで押していく

 

 

トーイングカーが外され

そこでエンジンをスタートさせる

いつもは4,5分でエンジンがスタート

それから自力で滑走路に向かう

 

なんかおかしい 

 

いつまで経っても、エンジンがスタートしない

窓から下を見ると、整備士たちが動き回っている

  

コックピット(操縦室)に連絡してみる

 

  私「エンジンスタートに時間がかかっているようですが・・・」

 

 

機長「そうなんだ、エンジンがかからないんだ」

   「もうちょっと待ってくれ」

 

   私「了解しました。アナウンスを入れておきます」

 

機長「よろしく」  

 

 

 

「ご搭乗の皆さま、この飛行機は出発準備が整い、誘導路まで来てエンジンをスタートさせているところです。

 

今日は、少しエンジンの機嫌が悪いらしく、

スタートに時間を要しています。 

 

パイロットと整備士が必死にやっています。もう少し時間がかかる見込みです。エンジンがスタート次第、滑走路に向かいます」

 

20分くらい経ったころ、エンジン音が聞こえてきた 

パイロットから出発すると連絡が入った

 

「ああ、よかった」(心の内)

 

さっそくアナウンスを入れる

 

「皆さま、エンジンの機嫌が直りました。出発いたします。離陸いたしましたら、飲み物と軽いお食事をご用意しています」

 

「飛行機は、いったんエンジンがかかりましたら、途中で止まることはありません。深夜ですので、お食のあとはご安心して、ごゆっくりお休みください」

 

 

そして、そのあとは、

何事もなかったように成田に到着

 

 

でも、イレギュラーアナウンスはむずかしいと、いつも思う

 

お客様は情報が入ってこないとイライラし始める

状況や事実が分り次第、早め早めに知らせる

そして安心していただく

 

イレギュラー時のアナウンスは

チーフパーサーの腕の見せどころ

だけど、新人チーフのときは、どぎまぎしていた

 

それに、英語でもアナウンスしなければならないし・・・

 

                    T・K  ♂