東京Crew倶楽部 ~客室乗務員(CA)の世界~

東京Crew倶楽部 ~客室乗務員(CA)の世界~

フライトにまつわることからCAたちのプライベートまで♪ 元ベテランCAが語っています

乗務にまつわるお話や海外体験、航空業界について語っていきます。CA・元CAからの投稿も掲載しています。

当ブログには個人的な見解も含まれています。具体的内容が変更になっていることもあります。








皆さんはどうでしょう

おかしなお辞儀が増えていると思いませんか

 

 

もうだいぶ以前(90年代初め)のことであるが

 

CA訓練の専任教官をしていたころ

CA採用試験の1次、2次面接

その面接官にも携わっていた

 

面接室に応募者が入ってくる

そして挨拶とともにお辞儀

 

でも、そのお辞儀がなにか変

 

お腹に手をあてて頭を下げている

お腹でも痛いのかな

人呼んで「腹痛ポーズ」(はらいたポーズ)

 

ああ、この受験生

CAスクールに通っていたな

すぐ分かった

 

何校かでこのお辞儀の仕方を教えていた

スクールで教えていのは元CA

だれがこんなお辞儀を教えているのだろう

 

当時は、バブルの余韻が残っていた

スクールは儲かる

総会屋(当時)さんまでもが参入

表の顔は元CAが学院長というのもあった

そんな時代だった

 

腹痛ポーズだと

脇があき、ひじが張ってしまう

 

自分たちが教えていたのは

 

腕は自然と降ろして

脇があかないように締める

 

そのうち

スーパーのレジカウンターで

見るようになった

カウンターがあるので手が見えない

あえてこのポーズにしているのかな

 

動画が盛んな時代になった

マナー講師たちも

お辞儀の仕方を動画配信

 

腹痛ポーズでお辞儀している

片足を少し前に出してお腹をおさえているのもある

 

 

マナープロトコールを推進している協会

そこが作成した動画

小笠原流宗家を名乗る女性が監修した動画

そこでも腹痛ポーズのお辞儀

 

それは日本のお辞儀ではないだろ

 

大炎上

変なお辞儀画像ページ

さすがに動画をすぐ削除

 

女性が写真をとるときとか

モデルさんがポーズをとるとき

このスタイルをとることはあるかもしれない

でも、そのポーズのままお辞儀をしないでほしい

 

一方で、マナー講師が

本来のお辞儀を教えようとすると

お腹に手を当てるのがうちの方針

その方針で教えてくれという会社もあるとも聞く

 

 

T・K  ♂

 

以前のブログ

「挨拶とヨーロッパ人CA訓練生」

 

世間には、マナー講師があふれている

CAもマナー講師になる人が多い

 

リーマンショックのあと

日本の景気も悪化

JALが経営破綻

他の航空会社も人員削減

 

そこで講師養成講座に通ったり

自分で勉強したり

マナー講師をめざす人が増えた

 

CAだけでなくホテルや旅行関係や

一般企業の人もマナー講師の勉強

 

 

CAマナー講師の誕生は

1970年代後半から80年代ごろ

 

それまでは

スチュワーデス(当時)自身も

訓練で茶道を習ったり

日本の作法を習ったり

 

併せて、折に触れて教官から

欧米のマナー・エチケットを習ったり

 

戦後、混乱した中で

社会も、礼儀作法どころではない

 

それが1960年代後半になると

経済成長に向かいはじめる

社会も落ち着いてきて

礼儀作法が必要になる場面も増加

 

そのような中

茶道家の塩月弥栄子さんが

「冠婚葬祭入門」を出版(1960年代)

多くの人々がこの本を参考にした

 

当時は、茶道家や華道家がリード

嫁入り前の女性たちは

お茶やお花のお稽古に通い

礼儀作法を身に着けていた

 

客室訓練部でさえ、これらの本で

接客・接遇時の作法を研究

教官たちもお茶の師範のところへ

お茶の作法だけでなく

茶懐石のいただき方の作法も

 

機内では着物サービスもあり

着付けの授業も

着物着用時のサービスの仕方や歩き方や振る舞いも

 

 

70年代、80年代の経済成長

 

日本も海外とのビジネスも盛んになってきた

海外転勤や海外出張も増えていった

海外への団体旅行も盛んになってきた

 

でも海外でどう振る舞えばいいの?

 

握手では、相手の目を見るのが向こうのやり方、でもついついお辞儀してしまう

テーブル上のカタラリー(Cutleryナイフやフォークなど) をどうやって使えばいいの?

ホテルの使い方はどうすればいいの?

 

団体旅行の人たちがホテルのロビーでわいわい

部屋に忘れものをしたといってはロビーを走ってしまう

ロビーはホテルの顔

ホテル側がいつも大切にしているところ

 

バスルームの使い方が分からない

バスタブのカーテンを外側にしたままでシャワー

バスルームが水浸し

ヨーロッパのホテルにあるビデ(Videt)

これって何するの?

 

日本人はなんでも触れるのが好き

博物館では展示してある像を触ってしまう

写真撮影禁止の展示物なのに撮ってしまう

 

ひんしゅくを買うことも多かった

 

そういう私たちも

若手のころは、知らないことだらけ

先輩に注意されながら学んでいく

 

ファーストクラスに搭乗している

企業の社長さんたちでさえ

聞くと、海外に行くのは初めてという

海外に出る緊張と期待でいっぱい

 

せっかくの海外、観光もしたいらしい

ほとんどが長めの日程

これを外遊と呼んでいた

 

商談のあとは食事会やパーティ

 

ワインやシャンペンにも詳しくない

キャビアとかフォアグラって何?

 

国際線客室乗務員たちは

各国にひんぱんに滞在

ホテルやレストランにも慣れている

 

自分たちもファーストクラスで

サービスを行なっている

扱うのはシャトーマルゴーなど一流ワイン

 

 

客室訓練部に

企業から依頼が入ってくる

海外出張する社員たちに

エチケット・マナーを教えてほしい

 

ベテランスチュワーデス(といっても20代)を

各企業に派遣

そのうち訓練部に教えるノウハウが蓄積

 

塩月弥栄子さんは「冠婚葬祭」

スチュワーデスたちは「エチケット・マナー」

 

客室訓練部主導で

企業へ派遣する講師の組織を設立

 

時代がどんどん変わり

今や日本人の海外旅行者数は年間2000万人(2019年)

 

だれでも

ホテルの使い方

レストランでの食事の仕方

海外のこと

なんでも知っている

 

ワイン通も多い

 

 

エチケット・マナー講師の役割も終わり

教える内容も変化

ビジネスマナーや社会人教育に移っている

 

マナー講師の世界も競争激化

今では、よほど勉強していないと

生き残るのが大変

 

昔は、スチュワーデスが

海外の話をしただけで

尊敬のまなざしで聴いてくれた

一目おかれる存在だった

 

T・K  ♂

 

1年前のブログ

「中国便全便を運休にしないの?」

 

海外旅行好きな読者におすすめの一冊

「世界比較文化事典-60ヶ国」 

T・モリスン W・A・コナウェイ著 邦訳版 

マクミラン ランゲージハウス出版

 

①各国の概要(歴史、政体、宗教、人口統計)、
②文化的特徴(考え方、判断基準、価値観)、
③ビジネス慣行(アポイントメント、商談、接待時間)、
④儀礼(挨拶、名前の呼び方、身振り言語、プレゼント、服装)

 

これらがよくまとめられていて

とても役に立つおもしろい本です

 

教え子のイギリス人CAが

教えてくれたことだが・・・・

 

子供が友だちの家に遊びに行くとき

親は子供に

"Mind your P's and Q's"

"Mind your manners"

といって送り出す

 

意味は、「行儀よくしていなさいね」

PはPlease、QはThank youを表している

複数形になっているのは

「何度も、PleaseやThank youを言いなさい」

 

もうひとつの”Mind your manners”は

「マナーを忘れないようにね」

やはり意味は、「行儀よくしていなさい」となる

ここでもマナー(Manners)は複数形

 

家の中で子供たちが

飛んだり跳ねたり、悪さしたり

 

そのとき、親は

"John Smith、behave yourself"

自分の姓と名を呼ばれたら

叱られるときなのだ

John Smithと言われただけで

神妙になる

 

そうやって子供をしつけていく

 

そうするとレストランに行っても

大きな声をあげたり騒いだりしない

 

子供と犬はしつけが必要

そう考えているイギリス人は多い

 

 

私がCA訓練の教官をしていた当時

新人CAにもファーストクラスサービスを

教えていた 

 

モックアップでの実技訓練で

ワゴン上にある和食の前菜を

お客様の目の前でお皿に盛り付ける実技

 

お箸をちゃんと使えない訓練生がいた

 

「そんな箸の使い方でサービスしたら、お客様がビックリするぞ。おたくのCAは箸の使い方も知らないのかって」

「おまえさんの親は、注意しなかったのか」

 

何日かたって、その訓練生が寄ってきた

「教官、私の箸の持ち方がちゃんとしているのを見て、両親がビックリしていました。いままで何度言っても直さなかったのに・・・と」

 

ちゃんとした箸の持ち方ができない

それは、恥ずかしいことだと知って

必死になって練習したのだろう

 

箸づかいができるようになった

 

ここまでは行儀の域

その次に来るのが礼儀(作法)

 

お茶事、お見合い、公式な宴席など

箸置きから箸をとり上げるとき

正式なやり式を知っておく

 

箸の持ち方ではなく、とり上げ方

人はそこも見ている

 

 

今や、TV東京の「ワールドビジネスサテライト(WBC)」のメインキャスターになっている大江麻理子さん

 

新人アナウンサーの頃は

さまぁ~ずの2人と街歩き

誰もが知っている「モヤモヤさまぁ~ず」

 

町歩きの途中で

食堂や喫茶店に入って

たいてい食事をする

 

彼女はいつも正しい箸のとり上げ方

右手で持ち上げ、左手で支え

次に右手に持ち換える

それをさりげなくやっている

 

たぶん一事が万事そうなんだろう

大学時代は中国留学

この娘は伸びていくだろうな

 

「モヤモヤさまぁ~ず」を卒業

若手なのに、ニューヨーク支局へ転勤

ニューヨークから経済レポート

すごいなと思っていたら

WBCのメインキャスターに抜擢

 

 

まずは行儀(作法)、そして礼儀(作法)

まずはマナー、そしてエチケット

 

よい悪いで判断するのが行儀やマナー

そして時に、しつけが伴う

 

知らないとできないのが礼儀やエチケット

 

訓練部の壁にかかっていた額縁を思い出す

「知っていても、やらなければ、知らないのと一緒である」

 

そんな思いでいる今日このごろ

 

T・K  ♂

 

 

 

いつも分からなくなるのが

マナーとエチケット

 

日本には、「マナー本」があふれている

現役時代、ロンドンやニューヨークで本屋に行ってみた

欧米の書店で売っているのは「エチケット本」ばかり

 

エミリー・ポストの「Etiquette」は有名な本

 

アメリカや英国での動画で

テーブルマナーを教えているものを見てみた

タイトルが「Table Manners and Etiquette」とか

「Dining Etiquette」となっている

 

「テーブル・マナー」一辺倒ではない

大きな声やげっぷを出すのはマナー違反

ナイフ・フォークの使い方やワイングラスのステムを持つのはエチケット

 

通勤電車での強い香水のにおいや携帯での大きな声でのやりとり

 

このときは、マナーが悪いという

 

葬式でのお焼香のやり方

食事でのナイフとフォークの使い方

 

それらがちゃんとできているとき

エチケットを知っている

エチケットにかなっているという

 

いろいろなサイトで

マナーとエチケットの違いについて

解説している

でも、なにが違うのか、どこが違うのか

解説を読んでいて

いつもごちゃごちゃしてしまう

 

 

マナーは「よい」「悪い」で評価

エチケットはその知識があり

それにそって行動できているかどうかで評価

 

「マナーがよい(悪い)」

「エチケットを知っている(かなっている)」

 

「エチケットがよい」とは言わない

そして、知らないとできないのがエチケット

 

英国の女王が英連邦の国の貴族を

晩さん会に招待

食事の途中、ディナーテーブルには

フィンガボールが用意された

 

フルーツなどは自分で皮をむき

じかに手にとって食べるものがある

そして、食べ物で手が汚れたら

フィンガーボウルの水で手をゆすぐ

 

くだんの貴族はそのことを知らなかった

ちょうど水が飲みたいところだったので

飲んでしまった

女王のお付きの人たちはびっくり

 

だってそれは飲むのもではない

 

さすがマナーの国、英国の女王

相手の無知を指摘して

恥をかかせることはしない

彼女も、一緒に飲んであげた

 

皆さんも、どこかでこの話を

聞いたことがあるかもしれない

ビクトリア女王説とエリザベス女王説がある

相手に恥をかかさせない、思いやる心

マナーの神髄を説いた伝説となっている

 

でも、その貴族はエチケットを知らなかった

本来は恥をかくところだったのだ

 

「エチケットの文化史」で著者の春山行夫氏は古代から近代にいたるまでのエチケットの歴史やエチケットに関わる書物を紹介している

 

エチケットを勉強するのに欠かせない本となっている

 

その本で一つだけマナーの本を紹介している

「少年のための作法書」

1500年代はじめに

オランダの哲学者エラスムスが書いた

子供たち向けのしつけの本となっていて

全ヨーロッパで読まれた

 

人に迷惑をかけないなど

まわりの人たちへの気遣い

子供のころからしつけを受けながら育っていった

 

エミリーポストが次のように書いている

 

「エチケットは、社交上の型、人づきあいをなめらかにするための常識的なルール・技術」

 

ルールにのっとって行なうのがエチケット

 

「マナーは社交上の心、相手に対して自分が取るべき態度・処置

 

自分がとるべき態度や処置は

そのときどきによってちがう

だから本にするのはむずかしい

 

結婚式、晩さん会、夜会、パーティ、葬儀

それぞれのドレスコードとか

席順、テーブル上の作法とか

招待状や手紙の書き方などのルールは

本として書ける

 

なぜか日本では、それが「マナーの本」となっている

 

もう一つ

マナーは英語では「Manners」と複数形になる

 

マナーモードという英語はない

それをいうなら「Silent Mode」となる

 

エチケットブラシという日本語もある

ますます分からなくなる

 

T・K  ♂

 

 

 

CAの実技訓練に入る前に

私がいた会社では

「サービスマナー」という授業があった

 

何かの用事で旅客と接するとき

とか、食事をサービスするとき

CAはどの位置に立つのか

 

お客様の正面(礼の位置)に立ち

対応するのが本来の姿

 

ところが機内の座席の関係で

お客様の正面には立てない

通路側からアプローチすることになる

 

そこでお客様の顔を

ちゃんと見ることができる位置に立ち

サービスしたりお話をするように言われる

 

一番やってはいけないのは

お客様の肩越しにサービスすること

お客様の背後から声をかけること

 

なぜなら背後は見えないので

人が一番守りにくい所だから

 

恐れの位置            

    男性トイレ  情の位置(左側も同じ)

   (正面)

礼の位置

 

情の位置もCAにとっては大切な場所

お客様と機内会話をする

話の内容によって、お客様の横に位置し

お客様と同じ方向を向いて

ちょっとしゃがんで話す

 

この位置は情の位置であると同時に

「同調の位置」とも呼ばれる

お客様が話しやすくなる位置なのだ

 

 

そして、マナーとして

大切になってくるのは「表情」

常に微笑みの表情を保つ

 

愛想のない表情や怒った顔をしていれば

お客様は、なにか自分がいけないことをしているのか

落ち着かなくなる

 

今接しているお客様に

お尻を向けてはいけない

これも実技訓練をしていて注意されることのひとつ

 

なぜお尻を向けてはいけないのか

男性をニタニタさせてしまうからではない

背中側は身体の陰の部分だから

 

身体の前面は「陽」、背中側は「陰」

手のひらは「陽」、甲の部分は「陰」

腕の内側は「陽」、ひじ側は「陰」

 

陰陽の観点からでは

CAは自分の陽の部分を見せるように習う

 

手のひらも大切

 

欧米社会でもVサインはチョキ

手のひら側を相手に見せている

もし手の甲を見せてVサインをしたら

中指を立てての「くそくらえ」と同じ意味になってしまう

 

サービスマナーの授業の前には

身だしなみを整える授業もある

うす暗い機内で明るい印象になるメイク法

うつくしい歩き方も習う

 

他には

話し方もしょっちゅう注意される

声のトーン、スピード、丁寧な言葉づかい

 

最初に注意されたことを

今でも覚えている

授業中に教官から指されて

「僕は・・・」

とたんに、担任教官(男性)に怒られた

「社会に出たら、”わたくし”だろが・・・」

「機内で”ぼく”なんていうなよ」

 

女性たちも「あたし」「わたし」

と言っては怒られていた

 

空港でも機内でも

いつでも旅客によい印象を与える

それがCAたちのサービスマナーとなっている

 

皆さん、「マナー」を日本語にしたら

どのような日本語を充てますか

 

T・K  ♂

 

1年前のブログ

「おつかれさん・・・救援機乗務員」