応援のかたちは一つじゃない 神宮大会応援編 | YELL Onlineβ

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テスト版です

高校、大学共に応援を見るのも全国大会の楽しみの一つです。


大学も、ちゃんとした応援組織がないところは、いわゆる「高校野球応援」。「紅」「アフリカンシンフォニー」「さくらんぼ」「We Will Rock You」に加え、今年は「サンバ・デ・ジャネイロ(アゲアゲホイホイ)」「ダイナミック琉球」はほとんどのチームが使っていましたね。
応援を聞いていたら、どっちがどっちだかわからない、という感じ……。

 

オリジナル曲である必要はないけれど、オリジナリティは欲しいと思うのですが、今の子は、「あれかっこいい、あれを俺たちもやろう」という感じなのでしょうか。

 

高校では国士舘が、地元ということもあり、ブラバンも来て、しっかり応援していました。選曲も、今聴くと逆に新しいと思うものもあって良かったです。試合前後に応援席から内野席に向かって挨拶をして全員で丁寧なお辞儀をしていました。好印象です。


大学では、東日本国際大もオリジナリティという点でも好感が持てます。

 

しかし何といっても圧倒的な存在感を示したのは、環太平洋大学(IPU)ですね。
スーザフォン8~10本!
音量だけでなく、演奏も素晴らしい。
去年の神宮大会のIPUは、あそこまでの編成ではなかったので、知識としては聞いてたけれど、圧倒された人も多かったと思います。

 

法政も、おそらく他の六大学ファンが駆けつけてくれたのでしょう。応援席を埋め尽くすくらいの人が来てくれ伝統の六大学の応援を見せてくれました。試合開始前のエール交換も、OKサインになかなか気づいてもらえず、焦れたと思いますが、しっかり待ってエール交換をしていましたし、頑張っていました。しかし残念ながら1試合しかできませんでした。

 

IPUはまさに神宮のスタンドがステージと化していました。写真や動画を撮っているお客さんの多かったこと。
でも、単なる「ショー」ではありません。
男女混合のチア(チアリーダーというよりはチアガール、チアボーイと言いたくなる)の振りや掛け声が、どこか昭和的でほほえましかったです。でも、それも野球部を後押しする立派な「応援」です。
また準決勝はマーチングバンド部が、マツダスタジアムでの日米野球オープニングセレモニー出演のため来られず、高校(創志学園)のマーチングバンドが助っ人で来るなど、神宮応援を軽視しない学園側の姿勢も素晴らしい。決勝は特に全校応援か? という大人数でした。
敢えて言うなら、オリジナルの曲、せめて出塁時のファンファーレだけでもオリジナルがあれば、もっといいのになあと思いましたが。

 

近大は、初戦の土曜日は応援部が来ていたようですが(私はこの日はテレビ観戦)、準々決勝、準決勝は、控え部員もほとんどいない状態で、寂しい限りでした。決勝になったら来ただろうとは思いますが。準決勝ではあのIPUと対戦。何人かいた野球部員と思われる青年たちが、途中からいろんな扮装で、リーダー台に立って応援パフォーマンスを行っていました。あれを良しとしない応援ファンもいるかもしれませんが、IPUに負けずに何とか盛り上げて応援しようとした結果だと思うので、私は否定しません。

 

立正大学は、リーダーのテクも見られ、「BURN」で始まる応援曲もなかなか良かったです。一部野球部員が音頭を取る回もあり、応援部主体の応援といい感じで融合している感じでした。特に野球部員が、IPUの攻撃時の音楽に乗ったり、9回、神保選手と激突した平田選手が倒れていた時にアカペラで応援の歌を歌っていたのもいい光景でした。                                                         
決勝戦、人数では負けていましたが、IPUと渡り合っていたという感じでした。
リーダー部員は現在3名とのこと。途絶えないことを祈ります。

 


最後に、環太平洋大学応援団の団長さんについて書かせていただきます。


決勝の試合前、白い袴の応援団長さんが、スタンドの通路(それぞれの出入り口のある高さの通路)を歩いて行っていたので、目で追っていました。すると、試合前でそれほどはお客さんはいなかったのですが、通路の上の最前列に人が座っているところは、必ず前かがみになって、視線の邪魔にならないようにして歩いていました。そして前に人が詰まって進めない時も、決して無理に抜かしたりせず、タイミングを伺って声をかけながら抜かしていっているようでした。
そして立正大応援席で袴を着たリーダー(応援指導部主将さん?)に話しかけ、握手、挨拶し、そして同じ通路を戻ってきましたが、やはり同じように、人が座っている前を通る時は必ず前かがみになって、配慮しながら戻って来ていました。

 

たったそれだけのことですが、私は感動しました。

 

普段神宮に通っていますが、試合中、インプレー中でも何も考えず歩いていく大人のなんと多いことか。

 

六大学では、普段応援団(部)は下の通路を通るので、こういう光景はないわけなので比べようもありませんが、応援団も野球部も学生さんは、それぞれ仕事(役割)があって動いていることが多く、目の前の人の対応や仕事にだけ目が行って、「周りが見えてないのかな」と思うことも、正直あります。が、それは温かく見守ってはいますが。
しかし大人の関係者、つまり一般のお客さんではない立場の人でも、そこまで他のお客さんに配慮している人は、もちろん全くいないわけではありませんが、残念ながらそんなにはいません。

 

でも、IPUの団長さんはやっています。

 

もちろん、応援団の袴姿だったから、より一層配慮したということもあるでしょうが、きっと普段から目配り、気配りができているのだろうと思いました。

 

そして試合中、2点差を追う9回二死。立正のレフト神野選手とセンター平田選手が激突し、三塁打となりチャンスを迎え、IPU側は盛り上がります。が、センターの平田選手がうずくまって動かないでいるのを見て、すかさず、団長さんは振り返って合図を出し、応援をとめました。気づかなかったバンドが一瞬演奏しかけましたが、すぐまた合図を出してとめました。

 

これも、特別なことでない、当たり前のことかもしれません。

ですが、六大学のリーグ戦で、プレー中ケガ人が出た時、チャンパを止めるのに時間がかかったりしたことが(止めなかったことも)ありました。

 

IPUは、団長さんも、白ランを着た応援団員も、テクを見せつけるわけではありません。
マーチングバンド、チア、野球部員、一般学生その他・・・別々の組織がいくつも応援席にいる場合、それを一つにまとめることが必要です。状況判断をして指示を出す。それが団長の大事な役目なんだと気づかされました。

IPUの応援はこれからもっと進化していくと思うので、今後も注目していきたいと思います。