千石寿司@東十条 いつもの場所から | 東京ホルモンズの中身のある話

東京ホルモンズの中身のある話

どっちかっていうと魚だね

東京ホルモンズの中身のある話-horumons.01

 

我々東京ホルモンズは、シワの深さと愛情の深さは比例すると考えるB食家集団である。



 

千石寿司@東十条 いつもの場所からの話。

 


 

オレはきっと

おばあちゃんに飢えているのかもしれない。

 

 

生まれた時から家には爺ちゃん婆ちゃんが居た

学校から帰っておやつを用意してくれているのは婆ちゃんだった。

夕方相撲中継を一緒に観て

その後一緒に風呂に入るのは爺ちゃんとの日課だった。

 

 

何か頂き物をしたら

どんなものでもまずお仏壇にお供え。

ご先祖様が食べ終わった頃に仏壇から下げ

ようやくクチにできるのだ。

 

 

供えている10分程度の時間が長くってね。

仏壇の前でじっと待つのだけれど

その頂き物が草団子やみたらし団子だったときは

爺ちゃんの

 

「よーし、食べよう。」

 

の一言がいつもより早いんだ。

誰より爺ちゃんが早く食べたかったんだろう。

食後のデザートにおはぎを食うような甘党だったもんね。


 

活動的な爺ちゃんに対して

婆ちゃんはいつも目を閉じてしゃがんでた。

縁側の日当たりのよい定位置で。

 

たまに動き出したと思ったら

顎で地面を削りながら進んでるんじゃないかってくらい

曲がった腰でゆっくり、ゆっくり移動した。

 

 

移動に時間がかかるから

オレが学校から帰る頃を見計らって

早めに動き始め、帰ってすぐにおやつを食べれるように

配慮をしてくれていたんだと思う。


 

爺ちゃんは戦争に二回も行って

戻って来てからは農業一筋。

体力には自信があったのだろう。

実際亡くなる少し前まで活発に動き回っていた。

最後の半年くらいまでは

日課だった日本酒一合の晩酌と

おやつの甘いものとハイライトは欠かさなかった。

晩酌は風邪を引いても一合ピッタリ。

どこか宴席に呼ばれても一合ピッタリ。


 

365日毎日一合の酒を何十年と飲み続けてきたのだろう。

夏は常温だけど冬は燗をつけた。

徳利を温めるのがオレの仕事だった。

燗がついたら祖父ちゃんを居間に読んで

最初の一杯だけお酌をしてやる。

「○○くんについでもらって嬉しいな。」

毎日欠かさず同じ一言を言って

同じ表情で美味しいそうに飲む。

その一言を言ってもらいたくて毎日酒をつけた。


 

婆ちゃんは酒もタバコもやらなかった。

いや養命酒は飲んでたな(笑)

好物は何だったのだろうと

今になって思い返してみたが

全く思い出せない。

趣味がある訳でもない。

旅行に行く訳でもない。

病院に薬を貰いに行く以外は

365日ただ縁側の日当たりの良い定位置で座ってる。

そこにはせんべいもお茶もない。

ただ座って目を閉じていた。

 

 

そんな置物の様な婆ちゃんが

急に動き出す時があった。

オレや弟が風邪をひいた時だ。

 

深夜に寝ずの看病をしてくれたのは

オヤジでもオフクロでもなく

腰の曲がった婆ちゃんだった。

 

いつもの定位置をオレの枕元に移し

昼夜を問わずオデコに冷たい手拭いをあててくれた。

風邪が胃腸にきたときなんかは

ずーっと背中をさすってくれた。

 

「代われるもんなら代わってやりたい。」

 

そう言い続けながらさすってくれた。

 

 

オヤジが末っ子って事もあり

オレが幼少期の段階で共に70を超えていたと思う。

老いた体で寝ずの看病をしてくれた事を

今でもしっかり記憶しているし、深く感謝している。


爺ちゃんが94、婆ちゃんが89でなくなったのだが

共に大病する事なく、言うなれば大往生だった。

 

爺ちゃん婆ちゃんが死んで

10年程して

母方の爺ちゃん婆ちゃんも相次いで亡くなった。

 

母の実家は地元の名家で

代々政治家だった。

父方が地味な百姓の家だったのに対して

母の実家はお手伝いさんがいる様な家だった。

朝から晩までひっきりなしに来客があった。

 

母方の祖父は所謂天然キャラで

ヒトにペースを合わせる事が出来ない

我が道を行くタイプだった。

多少その血を受け継いでいると自分でもわかっている。 

 

対して祖母は良妻賢母だった。

子供たちを銀行に就職させたり、医者にしたり

夫や義父の政治活動のサポートをしたりした。

家業の経営者として手腕も振るった。

 

選挙の時、祖父の街頭演説に祖母も同行することが多々あった。

祖父のスピーチの後、祖母がマイクを握るのだが

候補者より大きな拍手が沸く様なカリスマ婆さんだった。

 

 

義父、夫、息子と親子三代、政治家を世に送り出し

しまいには地元出身の代議士の応援にまで手を貸し

選挙請負人的な扱いで人気者だった。

 

四人の祖父母から愛情を受け

若干?横道にそれたりもしたが、なんとかココまで生きてきた。

あの人たちから受けた恩と教えは今でも心に刻まれている。

 

小ジャイアン、小ジャイ子も祖父母の愛情を受けながら

これから成長していくことになる。


 

甘やかし過ぎから

多少ワガママに育つことはやむを得ないと考えている。

 

それよりも

命の大切さであったり

年長者を敬う気持ちであったり

弱者を思いやる心であったり

 

そういう事を学ぶことの方が

より大切な事なんだと思う訳なのだ。

 

老人と暮らす環境が少なくなった昨今において

それが彼らの人間形成にとって良い経験となることを信じて。


 

こうして千石寿司に来るもの

超激美味しい太巻きが理由ではあるけれど

 

きっと

ココを定位置にしている女将さんと

死んだ婆ちゃんを重ねているのかもしれない。

 

 

 

 

東京ホルモンズの中身のある話-東京ホルモンズ

 

玉リングからのサウザンストーン!最高ですな!

 

 

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店名 千石寿司

場所 東十条

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