【保護活動を始めたい方へ】 | 東京わんにゃん保護っ子日記 都会の真中の小さなシェルターで暮らす家族になりたいシッポたち

東京わんにゃん保護っ子日記 都会の真中の小さなシェルターで暮らす家族になりたいシッポたち

東京で保健所や虐待現場などからレスキューされ、新しい家族を待っている保護っ子犬&猫たちの様子を発信しています。
ペットを家族に迎えようと考えてらっしゃる方は、是非覗いていらして下さい。
ご縁があれば嬉しいです


安定してパックの中で、他の犬仲間と過ごす時間は犬の心も安定させる。


同じパックの仲間と一緒に休憩中。



例えば、中型犬を1頭保護したら、どんなことが必要だと思いますか?

何が必要か事前に考えてからレスキュー実行してますか?

まず医療費がかかります。
健康診断して、最低でも一般的な血液検査とフィラリア検査をして、シコリなどが見つかればやはりもう少し詳しい検査も必要になります。
そして検便、ノミダニ駆除、内部寄生虫駆除、これは基本中の基本です。

さらに体力に問題がなければ、混合ワクチンも打つことになります。特にすでに別の犬猫が、その子を飼育する予定の場所にいる場合には双方に混合ワクチンが原則必須です。

そして、もし不妊去勢手術が済んでいないなら、
オス犬とメス犬は絶対に同じスペースにおいてはいけません。
お家がどんなに狭くても、です。
理由は
繁殖してしまう可能性があるから。

こんな基本的な事を書くのは、ボランティアを名乗りながら、この当たり前が出来ていない方が意外なほどおられるからです。
そして、当然ですが体調が整い次第、できるだけ早急に不妊去勢手術を済ませる必要があります。
また、新たなルールとして決まったマイクロチップの装着も必要です。

そして、これは法的な義務ですので、狂犬病予防接種も行う必要があります。もちろん登録もです。

病院によって違うと思いますが、だいたいここまでで、初診料も入れると¥50,000+消費税くらいはかかります。
保護動物だからと安くしてくださる先生もおられますが、それでも、これはかなり安い例です。
ですので、余裕を見るなら最低でも、パッと医療費で¥10万くらいかけられる経済力がある方が良いと思います。

次にどんなレスキューかによって違って来ますが、その子が家庭犬として暮らせるように、慣らしたり躾けたりしていく必要があります。
保護の経緯によって犬達にはいくつかの特徴があります。

例えば、野犬出身の犬達は人慣れしていない事がほとんどなので、まず人に慣れてもらう努力が必要になります。首輪もリーシュも着けられた事がないので、パニックになって肛門膿を撒き散らしたりします。
そこで、こんなはずじゃなかった、と思う人は保護活動には不向きです。
でも野犬の子達はおトイレが上手な子が多いのはメリットです。

それに対して、繁殖屋出身のとりわけ、狭いケージに閉じ込められて来た子達はおトイレが下手な子が多い傾向があります。本来、犬や猫は綺麗好きなので、自分の眠る場所と排泄する場所は分けたいのです。でも狭いケージに閉じ込められている子達には、それは叶いません。
不快でも毎日、そこにいるしかない日々の中で彼らの健全な衛生感覚は破壊されてしまうのです。だから、自分のベッドの上で排泄をして、更にその上で眠る事もするようになります。
ですから、繁殖出身の子達には、この部分を癒して本来持っている衛生的な欲求をアクティベートしてあげる必要があります。

飼育放棄の犬達はまちまちですが、暴力による虐待を受けていた子は人の手や足を怖がります。下手に早い動きをすれば噛まれたりしますので、それを理解した上で犬を安心させ、信頼を獲得する必要があります。
ある意味、最初に人を恐れて攻撃性を見せるタイプの野犬の子達に近いかも知れません。

こうして犬達を保護して自身の管理下で飼養している間は、そのQOLの維持も保護しているボランティアの責任です。
社会性の高い犬という生き物の心と体を満たす、つまり動物福祉に配慮された生活をさせなければなりません。具体的にいえば、毎日、お散歩に行ったり、保護下の犬達の生活を犬の習性である、「何かを噛む」「掘る」「追いかける」「壊す」「探す」「走る」などの行為を訓練や遊びに取り入れる設計する事で、犬が犬らしく幸せな暮らしを提供する、という義務があります。

犬達が人に慣れて、人と暮らすのに必要なルールを覚えて、人との関係性が育まれて来るのと並行して、新しい家族を探す作業も必要になります。

その子の良さが伝わるような写真を撮り、その子について責任のある文章で里親募集を行います。ご応募があれば、それからしっかりとした面接やその方のご自宅にお伺いしての飼育環境確認なども行う必要があります。
譲渡に際してはその動物の習性や行動分析学的な見地からのアドバイスやで適正飼育、動物福祉についての知識をレクチャーが必要な場合もあります。
記録を残すことも必須ですので、譲渡契約書も作る事をお勧めします。
この新しい家族とのマッチングから譲渡までが、恐らく保護活動の中で、1番大変な部分になります。

譲渡後の動物たちが幸せになれるのか?否か?それはその行き先を決める保護ボランティアの肩に全てがかかっているからです。

気楽な譲渡をした結果、逃がされたり、ネグレクトされたり、約束を破って外に繋いで飼われたり、いろいろな事がSNSに日々上がって来ます。そうならないように、確実に幸せにしてくれる人を見つけて、選んであげる必要があるのです。
正直、私も「もう嫌だ‼️」何度そう思ったか知れません。とにかく、経済的にも体力的にも精神的にもキツい疲れる活動です。

もちろん、心を開いて信頼してくれた犬達の愛情や忠誠心や最高に幸せな瞬間はたくさんあります。でも、それは私はあくまでも副産物だと思っています。

これはHow toを書いているのでなくて、このように保護した後はやる事がてんこ盛りだと言う事を、事前に理解した上で、それに本気で取り組む、必要なお金や時間や体力や労力を提供する覚悟のある方だけ、保護活動に足を踏み入れて欲しいのです。

昨今、SNSの普及によって保護活動を身近に見る機会が増えました。一見、誰でもできそうに見える投稿をする方も多くおられます。
だからこそ、私は多くの方に夢だけでなく実態を知った上で、保護活動に参加して頂きたいのです。

保護活動が身近で日常になるのは良い事です。でもそれは全ての保護活動家が責任のある活動をする場合、という前提があります。
憧れだけでは続かない世界です。

バンドやってみたいな→やってみたら結構大変だな→やっぱ辞めた
などの場合には、買ってしまったギターが無駄になるだけですが、レスキューしたら、そこに命がいるのです。
やっぱり面倒くさいから、やーめた!とは出来ません‼️

SNSで活躍するボランティア達をみて、気楽に保護を始めてしまい、活動のクロージングである里親さんを見つける部分に手を付けず、レスキューした後に、シェルターや自宅で暮らす間のQOLが著しく低かったり、ただただ保護動物の数を増やすばかりで譲渡しなければ、当然それは多頭飼育崩壊に繋がります。
何とか崩壊が起きる前に、別の保護ボランティアが問題のある団体や個人から引き出したり、
保護ボラを名乗る誰かが起こしてしまった多頭飼育崩壊現場に入るなど、レスキューや譲渡されたはずの動物たちを再度レスキューする事になるケースが、この7〜8年で本当に増えてしまいました。これを2次レスキューと言います。

2次レスキュー。
あまりにもお粗末な事態です。

すでに幸せになったはずの動物たちが、人知れずレスキューや譲渡された先で、引き続き、或いは以前にもまして不幸になっている。
こんな悲惨な出来事を回避して、減らしていくためにも、保護活動をしたい方、どうか始める前にきちんとご自分のキャパ、リソースを精査して下さい。

そして、自分が誰にも迷惑をかけないでできる範囲の活動を責任を持って行う
という事を忘れないで下さい。
くれぐれも
目立ちたいから、認められたいから、
などという邪な気持ちで手を出さないこと。

心ある皆さんの活動が
意味のあるものとなりますように。


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じゅり ♀  ビビリだけど可愛いシニア犬の女の子




なると ♂  10ヶ月くらいの大きな仔犬

ビビリのくせに好奇心旺盛なわんぱく坊主。


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