小さな駐車場の小さな物語61 イチゴ一会 | 今がその時

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 麻偽です。現在、FC2に移って活動してますので、どうぞコチラ から。

 さて、よく見たら、半年ぶりですね。

 まぁ、僕とマッケイと黒蜜以外、ブログを辞めちゃったんで。

 それにしても、ヤクルトがダルビッシュに負けて、くやしいなぁ、くやしいなぁ。


 ところで、今日は久しぶりやから、チヨのおさらいコーナーから入るで!!

 ウチは、目黒チヨ。ポジションは、みんなのマドンナってとこやな。

 って、そんなんはええねん。ウチらは、仲のいい友人と一緒に、廃駐車場を改造して、みんなの溜まり場として使ってるんや。

 カッコよくて何でも天才肌のシュンがいたり…ベタ褒めしてるみたいやけど、好きとかとちゃうねんで!!!気弱で泣き虫なミコトさんがいたり、ツッコミ担当の俊明がいたり、超超超超ウザい佐々岡ってのがいたりで、なかなかバル、バリュ、バリエーションに飛んだ?そんな楽しい仲間が集まる場所なんや。えっ、和田祐?そんなヒモな人はおらんかったと思うけど…。

 ということで、お話スタート!!なんやけど…。

 今日、ウチら出えへんねん…。


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「あっ!!」

公民館の傘立ての前で、私、紗枝子はポケットに穴が開いていることに気付いた。ここの、傘立てはカギが付いていて、そのカギを右ポケットに入れたのだが…やられたぁ…。

 私は、11番に刺さった自分の傘を見た。小学生らしい柄物ではなく、500円のビニール傘で、別に愛着があるわけでもない。

「イチゴ一会って言うし、この傘との縁はここまでだったのね。」

さっきまで大降りだった雨は、少し収まってきた感じがする。

「今だ!!」

私は、ランドセルのポジションを直すと、全力疾走で駆けた。まさか、スタートしてすぐに、雨の威力が戻ってくるなんて思わずにいた。


 それとは入れ違いに、びしょ濡れの少年が公民館に入ってきた。

 彼は、さっきの紗枝子とクラスメイトの有という小学5年生。彼が、何故びしょ濡れかと言うと、いわゆるイジメっ子である翔に傘を取られてしまったからだ。それで、通学路の途中にあり、母親が勤めている公民館に足を運んだのだ。

 だが、母親の対応は厳しいものだった、

「取られたなら、取り返しなさい!!そんなことで泣いてどうすんの、そんなんじゃ一生いじめられるわよ!!」

 結局、傘は借りられなかった。

 途方に暮れた彼の足に、コツンという感覚を覚えた。見ると、それは11番と書かれたカギだった。そう、それは、さっき紗枝子が落としたカギである。

 彼は、悪いことだと思いながら、傘立てまで来てしまった。本当は、職員に預けて、自分は濡れて帰るのが筋の通ったやり方というものなのだろう。だが、翔にやられたストレスや、それが500円ビニール傘で盗ってもバレないだろうという事情もあった。

「すいません。」

 彼は11番の傘立てを解錠すると、急ぎ足で雨降る帰路へと入っていった。


 まだ、有の罪悪感が心臓を高鳴らせている。

「ちょっと、有!!」

誰かが彼を大声で呼んで、彼のビクビクは最高潮に達した。本当に、ショック死していないのが奇跡だ。

「有、その反応はひどい!!」

「…すいません。」

声の主は紗枝子だった。彼女が公民館を出発してすぐに雨が強くなったので、ガレージが閉まった店のひさしの下で待つしかなかったのだ。

「で、頼みなんだけど、傘を落としちゃって帰れないから入れてくれない?」

「えっ…。」

いわゆる相合傘だ、有の顔が赤くなる。

「嫌なら、有がここに残って、私が一人で帰ってもいいのよ。ね、入れてくれるでしょ?」

こんなもの、選択肢がない。

「…落としたってどういうこと?」

すると、紗枝子の顔が赤くなる。

「と、とある事情で消えちゃったってことよ。追求したら、傘、奪うわよ。」

「は、はい…。」

質問した当本人は気付いていない。その消えた傘が、自分の持っている傘であることを。そして、紗枝子も気付いていない。今、彼女が入っていった傘が、本当は自分のものであったということに。



 イチゴ一会、いや、一期一会とは言うけれど、実は目の前の人との初対面の前から、実はその人の影響を受け続けてきたのかもしれない。何年も出会っていない人が実は、今でも現在進行形で自分に影響を与えているのかもしれない。もちろん、互いの知らないところで。


 だって、そうでしょ。

 人は、のべ何億人もの人から、直接的にも間接的にも影響を受けているけど、日本人なんてせいぜい1億人しかいないじゃん。


 紗枝子は、2人の間にいるビニール傘とは初対面だけど、本当は初対面じゃないんだ。



















 そんな小学生2人の一部始終を、ニヤニヤしながら見続けている和田祐であった。





 このロリコンめが!!


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 和田祐、最低~。


 さて、また、連載が再開するといいな。

 黒蜜にでも書かせるか。