時折傘を外して小雨のシャワーを浴びるかのように天を仰ぎ、水溜まりを避けるどころか、「ケン ケン パ」みたいに、好んで水溜まりを歩いている様にさえ映る不思議少女が、大きな提灯を指差して質問してくる。
「何っ?」
ぶっきらぼうに俺は答えた。
「ちょうちん。」
「お好み焼き。」
不思議そうに店内を覗いた「ナナコ」が、漫画の目みたいにキラキラさせた瞳を、パチパチさせて言った。
「食べてみたーい!」
食べてみたいって、お好み焼き食べたことないのかよ。高校生がぁ?
「駄目だよ。知らないおじさんと...」
「て、ゆーか、お母さん、ごはんしたはったら悪いだろ?」
「お母さんは、いません。」
「じゃ、お父さんや、お婆ちゃんが、ごはんの支度したはったら悪いじゃないか?」
「誰もいないよ。」
「ひとりぼっち。」
え。もしかして孤児か?
親類縁者一人もなし?天涯孤独というやつかあ?
もし、本当なら、かわいそうだ。
で、お夕飯は、その「水」だけかよ...
んー....。
「何っ?」
ぶっきらぼうに俺は答えた。
「ちょうちん。」
「お好み焼き。」
不思議そうに店内を覗いた「ナナコ」が、漫画の目みたいにキラキラさせた瞳を、パチパチさせて言った。
「食べてみたーい!」
食べてみたいって、お好み焼き食べたことないのかよ。高校生がぁ?
「駄目だよ。知らないおじさんと...」
「て、ゆーか、お母さん、ごはんしたはったら悪いだろ?」
「お母さんは、いません。」
「じゃ、お父さんや、お婆ちゃんが、ごはんの支度したはったら悪いじゃないか?」
「誰もいないよ。」
「ひとりぼっち。」
え。もしかして孤児か?
親類縁者一人もなし?天涯孤独というやつかあ?
もし、本当なら、かわいそうだ。
で、お夕飯は、その「水」だけかよ...
んー....。
こうして俺は、鉄板より先に俺の仏心に火を付けたナナコと、お好み焼き「やばな」の暖簾をくぐった。
「さ。かけて」
もし自分に子供が居たとしたら、このくらいの年齢であろう、最年少の「ガールフレンド」を、つい癖で、上座にホストする俺だ。
物珍しそうにキョロキョロと店内に視線を泳がせるナナコと同年代くらいの店員さんが、注文を聞きに来た。
「ご注文をお伺いします」
「ありがとう。グラスビールをお願いします」
「君は?」
「水。」
おい。おい。
水って、今持って来てくれたじゃないか。
「あ。この子はスパークリングウォーターで!」
「かしこまりました」
「グラスビールとスパークリングウォーターですね」
「少々お待ちくださいませ」
クスッと笑顔を置いてけぼりに、店員さんの頭の上に「ポワンポワンポワン」と浮かんだ雲のような物に刻まれた文字が俺には見えた。
と同時に「ルパン三世」のタイプライターの効果音が俺の耳にこだまする...
「え」「ん」「こ」「う」「で」「す」「か」