「戦前の評価65点の及第点」「道義・神聖国家論」 | けいきちゃんのブログ

🌸教養としての戦前2

 

 ☆新しい国民的物語のために


道義国家論と神聖国家論
 ☆日本は明治維新により、近代的な国民国家となった

 *国民国家となると、日本はなんとも貧弱な存在にすぎない

 *日本という国民国家は、ほかに比べて優れており

 *そのためならば命を投げ出してもいいというような理由が欲しかった

 *その需要に応じたのが国体論だった
 *国体とは、万世一系の天皇をいただく、日本独自の国のありかた

 ☆諸外国で、連綿として続く王室をもつところはない

 *これこそ日本の卓越する点というわけだ
 ☆国体のすばらしさを説明する2回路存在する
  ①日本は君臣の努力で、万世一系の皇統を守ってきたからエライ考え

  ➁日本は神々によって天皇の君臨を保証されているからエライ考え

 *①後期水戸学系、➁国学系といえる

 ☆日本が自明にエライという宿命論(神聖国家論)が力を増してくる

 *日本の国体に対しての努力論と宿命論は循環する
 *民開発の八紘一宇が国是と称された
 *道義国家論と神聖国家論の奇妙な融合だった

 ☆文部省が編んだ「国体の本義」では、国体論の総体をとらえられない

 *記念碑や軍歌など、幅広くカルチャーを取り上げなければならない

 ☆全体主義的なイデオロギー国家

 *国家的なイデオロギーが国のあり方を体系的に示す

 *民間の活力が盛んな日本はそれと同一には論じられない

⛳実証なき物語は妄想、物語なき実証は空虚
 ☆広義の国家神道論

 *国家神道の範囲をできるだけ広く捉えようとする

 *伊勢神宮や靖国神社などの神社神道のみならず

 *皇室祭祀、教育勅語、「君が代」、休日の設定なども含む

 *戦前の国家神道は神社だけみても仕方がないという主張だ

 ☆狭義の国家神道論

 *国家神道をできるだけ狭く捉え、もっばら神社神道に限定する
 *その背後には、政治的な意図が見え隠れする

 ☆国家神道が広義とすれば

 *「君が代」や建国記念の日なども宗教的なものになりかねず

 *廃止しなければならない

 *広義の国家神道論は、左派と親和性が高い
 ☆国家神道を神社神道に狭く捉えれば

 *「君が代」や建国記念の日などは日本国憲法と両立できる

 *狭義の国家神道論は、右派と親和性が高い

 ☆歴史は、大きな枠組みと細かい資料調査の往還で成り立っている

 *イデオロギーにもとづいて事実を歪める歴史修正主義は困るが

 *細かいことだけやっていればいいという素朴実証主義も困る

 ☆実証なき物語は妄想だが、物語なき実証は空虚だ

 *その中間を取ろうというのが筆者の考えである

神話国家の興亡としての「戦前」

 ☆戦前の国家神道をめぐる議論
 *「上からの統制」にいささか注目が集まりすぎている
 *政府や軍部が神社を支配下し、プロパガングをほしいままにしていた

 *長らく神社を管掌する行政機構は脆弱だったし、予算も少なかった

 *神話をネタ元にした記念碑やレコードなどの続出

 *国家の統制だけでは説明できず

 *「下からの参加」も考慮に入れられなければならない

 *企業の時局便乗や民衆のナショナリズムなどがこれにあたる

 ☆戦前でも、神社参拝はすべて強制されたものではなかった

 *企業・消費者による「下からの参加」も考慮するのが必要

 ☆戦前における神話の受容

 *当初は、「上からの統制」が大きかった

 *途中から「下からの参加」が加わった

 *国体論というネタがベタになり、政府をも拘束するようになった
 ☆神話国家の興亡こそ、戦前の正体だったというのが本書の見立だ

⛳戦前の物語をあえて採点する
 ☆戦前の物語に点数をつけてみたい

 *結論からいえば、65点である

 ☆日本の近代史をめぐる評価

 *日本は正しいことばかりをやってきた

 *非西洋ではじめて近代化を達成し、アジアを解放した

 *大東亜戦争は聖戦で、日本には一点の曇りもない

 ☆日本の問題点ばかりあげつらうのが正しいわけではない

 *ゼロ点史観は、満点史観の逆張りにすぎない

 ☆日本悪玉論に立つ人間、共産主義の失敗から目をそらすなど

 *別の脆弱な物語にしがみついていたりする
 ☆現実的には、日本は6割5分位でよくやったというところ

 ☆戦前の物語にはいくらでも欠点が指摘できる

 *だがそれで植民地化の危機をまぬかれることができたのだ

 *一定の評価は与えられてしかるべきだろう

 ☆戦前とは、言い換えれば国民的な物語で及第点を出した時代である

                   (敬称略)

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⛳出典、『「戦前」の正体』

 

 

 

「戦前の評価65点の及第点」「道義・神聖国家論」

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