きょうだい児とは、障がいのある兄弟姉妹をもつ子のことです。

自分が生まれた時、もしくは障がいのある弟や妹が生まれた時から、きょうだい児としての生活が始まります。

 

 

前回の記事は、こちらです。

 

 

 

きょうだい児は、自己評価が低い傾向にあります。

その理由としては、以下のことが挙げられます。

 

 

・期待に応えようと頑張るが空回りする

・ストレスを抱えやすく、発散するのが苦手

・自分の行動に自信を持てない

・他の人と比べてしまい、落ち込む

・悪いことが起こったら、自分のせいだと思ってしまう

・過去の悪い出来事を引きずってしまう

・自分に厳しい

 

 

どんなに、家族や周りの人から「よく出来たね」「えらいね」と言われても、言葉のまま受け取ることができず、その言葉の裏の意味を探ってしまう。

 

 

例えば、学習発表会。

限られた時間の中で、自分の役割を全うしようと、みんなと一緒に取り組む。

 

 

・長いセリフを暗記して練習に臨む・

 

でも、途中でセリフを忘れてしまい、一時中断してしまう。

”長いんだから仕方がないよ。もう一回やってみよう。”

という言葉をかけられる。

 

その言葉を聞くか聞かないか、頭の中では

・暗記したのにセリフが言えなかった、ダメな自分

・みんなに迷惑をかけている

・本当は呆れてしまっているけど、傷つけないようにしているんだ

 

 

このように変換されてしまいます。

 

その他にも、

 

 

・上手く物事が進まない状況にイライラしている人がいる・

 

誰のせいでもなく、上手く物事が進まない時ってありますよね。

そして、その状況に対して、どこにもぶつけられないイライラを態度に表す人が出てきます。

”もう少ししたらできるようになるでしょ。また後でやろう。”

 

そんな時には、

・上手くいかないのは、自分が根回しできていなかったからだ

・あの時もう少しちゃんとやっていたら、こんなことにならなかったはずだ

・どうして、ここまで悪くなる前に気がつけなかったんだ

・イライラしている人は、わたしに対してイライラしているんだ

・悪いのはわたしができなかったからだ

 

 

 

誰にも、何も言われていないのに、このように感じてしまい、一人で落ち込んでいきます。

 

ひどい時には、その場にいなかったのに、悪い出来事などが起きたことを聞いただけで、

・自分がしっかりしていなかったからだ

・こんなことが起こるはずないのに

・どうしていつもダメなんだろう

 

 

と勝手に考えてしまいます。

 

 

 

”あなたは何も悪くない”

”むしろ、人よりも一番頑張っている”

”一生懸命やっている姿は、みんなの励みになっている”

 

 

周囲の人からは、このように言われます。

 

でも、人と比べたら、まだまだ未熟

わたしよりもできている人はたくさんいる

もっと頑張らないといけない

わたしなんか誰よりもできていない

 

 

他人の全てを知っているわけではないけれど、とある一部分のみで人を判断してしまい、自分と比べてしまう。

一つでも劣っていることがあると、その瞬間に”自分はこの人よりはできない人”と決めつけてしまいます。

できていることが当たり前すぎて、それを上回る人が出てきたら、”わたしは何もできない”と考えます。

 

そのようになってしまったら、いくらポジティブな言葉や励ましの言葉を言われても、素直に受け取ることができません。

 

・そんなに励まされないといけないくらい、できていないんだ

・落ち込まないように、みんなが気を遣ってくれているんだ

・自分なんかいない方がマシなのかもしれない

 

 

自分の言動や行動に自信が持てないので、ありとあらゆることがマイナス評価になっていきます。

他の人からの評価が高くなればなるほど、自分とのギャップが大きくなってしまい、これでいいのだろうか、とさらに評価が下がっていきます。

 

 

 

自分自身を判断する材料が少ないこともありますが、当たり前にできていることが多いことから、このようなことが引き起こされてしまいます。

だからこそ、人一倍頑張ることができ、努力を惜しまずに行動することができます。

 

<得意なことはやり続け、苦手なことは鍛錬する>

初めは苦手だと思っていたことでも、ずっと続けていたら、いつの間にか誰よりも知っていて、できるようになっていることがあります。

その分野においては、人から頼まれごとをすることが多いです。

頼ってくれる人がいることを嬉しく感じることができるため、依頼されたことは確実に実施できます。

 

一方で、苦手なことに対しては、できるようになるまで努力を続けます。

・どこが良くないのか

・わからないところはどこなのか

・どうしたらできるようになるのか

 

試行錯誤して考えることができます。

できない状況が続いてしまうと、自信を失ってしまうことはありますが、それでも諦めずに探究し続けます。

その結果、苦手なことを克服することにつながったり。ある程度まではできるようになったりします。

見えないところで、努力をしているのです。

 

 

 

当たり前にできていることは実は当たり前のことではなく、たくさんの見えない努力を重ねてきた結果なのです。

もちろん、他の人も努力はたくさんしています。

きょうだい児は、一般的ではない環境の中で、それをやっているのです。

 

 

もっと自分に自信を持って、相手から言われたことを素直に受け取る練習は、これからも必要です。

表面的な言葉をかけるのではなく、そこに至るまでのプロセスにも目を向けて、話をしてもらえると、”やってきたことは間違いではなかったんだ”と感じることができます。

 

 

自己評価が低いのは、もっとやれるという気持ちの表れなのです。

信頼して、いろいろなことにチャレンジさせてもらえる環境を作っていきたいですね。

 

 

次回に続きます。

きょうだい児は「2重の感情を持っている」