きょうだい児とは、障がいのある兄弟姉妹をもつ子のことです。

 自分が生まれた時、もしくは障がいのある弟や妹が生まれた時から、きょうだい児としての生活が始まります。

 

 

 前回の記事は、こちらです。

 

 

きょうだい児は、不安やストレスがあっても、なかなか口に出すことができません。

その理由は、以下のことが考えられます。

 

 

・忙しい親に、これ以上負担をかけてはいけない

・小さなことで心配かけてはいけない

・これくらいは自分で解決できるようにならないといけない

・障がいのある兄弟姉妹よりもできることが多いからしっかりしないといけない

・なんでも話ができるような雰囲気がない

・話しかけても、きちんと話が聞いてもらえない

 

 

障がいのある兄弟姉妹と一緒に生活していることで、周囲の状況に敏感になっています。

親は、何かあるたびに、障がいのある兄弟姉妹の世話を中心に行います。

 

 

そんな姿を日常で見ているため、”しっかりしないといけない”と自分自身に負荷をかけてしまいます。

 

 

 

”ちょっとしんどいなぁ”

と考えたとしても、「これくらい平気だ!」

 

 

”これ相談したいなぁ”

と感じても、「まだ自分で考えられるかもしれない!」

 

 

”嬉しいことがあったから伝えたい”

と思ったとしても、「伝えても、聞いてもらえなかったら悲しいからいいや・・・」

 

と、自分のことを話すことをやめてしまいます。

 

 

 

親は、時間を作って「心配なことはないか?大変そうに見えるけど大丈夫か?」などと声をかけてくれることもあります。

その時に、思い切って話ができたらいいのですが、どうしても、話すことができません。

 

 

無意識に、「話しをしてはいけない」「我慢していないといけない」と思ってしまうのです。そのため、「別に何もないよ。」とケラケラしながら返事をします。

 

 

 

そうしていくうちに、心の中に、ずっしりと目に見えない重りが溜まっていきます。

 

・嫌なことがあったけど、相談できなかった

・辛いことがあったから聞いて欲しかったけど、言えなかった

・本当は、やりたいことがあるけど我慢した

・わがまま言ったら怒られちゃうから言わない

・こんなに何にもできない自分、嫌いになる

 

 

 

目に見えない重りは、心や体に表れてきます。

 

・朝起きるのが辛い

・夜眠れなくなってきた

・頭がいたい

・泣きたいのに泣けない

・食欲がない

・胃がいたい

・毎日怖い

・何をしても楽しくない

・生きているのが辛い

 

 

 

言葉にできないことが、体や心の不調として表れてくるのです。

こんな日々が毎日続くと、親も心配になってきて、病院に連れて行ってくれます。

 

でも、検査をしても”異常なし”

『季節の変わり目だから、体調悪くなりがちだよね』

という判断で、終わってしまいます。

 

 

 

 

実は、もっと深いところに原因があるけれど、そこまでたどり着きません。

小学生の時などは、特に言葉に表すことが難しいため、原因を追及できないのです。

ほとんどは不安感が強いことも、ストレスがかかっていることも、自覚できていないことが多いからです。

 

 

学校に行けなくなったり、ストレスが原因なんじゃないかと誰かに言われたりしないと、本人も家族も気がつくことができません。

気が付いたとしても、『そんなことはない!』と否定してしまいがちです。

 

 

 

家庭環境が原因で、ストレスになっているなんて、誰も思いたくないですよね。

それが当たり前と思って過ごしているから、ストレスだったのか、と認めるのも時間がかかります。

 

 

 

それでも、一人でゆっくりする時間を多くしたり、好きなことに没頭できる時間が増えたりすると、心身の不調は、少しずつ良くなっていきます。

その時に「やっぱり、ストレスだったのか」と実感するのです。

 

 

家の中がピリピリしていることを、敏感に感じやすいきょうだい児は、外に出てからも敏感に感じる力が強いです。

その影響により、学校生活や社会人になってからも、生きづらさを感じてしまうことがあります。

 

 

 

でもそれは、環境の変化に気が付きやすいことで、自分の身を守るための行動について考えるきっかけにもなります。

 

 

”なんかいつもと雰囲気が違う”

と思ったら、機嫌が悪い人が近くにいた。喧嘩したばっかりでタイミングが悪かった。

など、原因をすぐに見つけることができます。

 

 

 

場合によっては、仲介役となり、その場を丸く収める役割を担うこともあります。

自分自身の身を守るために自然と身についている”敏感なアンテナ

 

 

 

厄介だなぁと感じることも多いですが、このアンテナがあることによって、周りの人から頼りにされやすいです。

だって、大変だと感じている状況や雰囲気を静かに中和させて、良い方向に導くことができるのですから。

 

 

精神的な不安を抱えやすかったり、ストレスを吐き出せなかったり、悪い部分に目を向けるとキリがありません。

でもそれは、周りのことを見ることができる力が他の人よりも強い証拠、敏感に察知するアンテナを張れている証拠であり、周りの人から大切にされる存在になります。

 

 

 

実際に、大変だな・しんどいな、そう思っていても言えない時に、声をかけてくれる人が多いです。

いつも無意識に周りのことを見ているからこそ、心配してくれる人も多くなります。

友達をたくさん作ろう!と思っている人よりも、はるかに多い人が周りにいます。

きっと、きょうだい児だからこその能力であり、それだけ、信頼されているということなのです。

 

 

心配してくれた人や声をかけてくれる人を大切にしていき、その人たちに自分のことを少しでも話すことができるようになったら、お互いの仲がもっと深まっていきます。

ありのままの自分を出せるようになることで、楽しい毎日を、もっと輝く人生を歩むことができます。

 

 

次回に続きます。

きょうだい児は「自分のことは自分でできるようになるのが早い」