角館・盛岡・花巻、ぶらり旅(2)~夏瀬温泉~ | 凝り性 勝之進のこだわり日記

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★Livin' On A Prayer★Once upon a time Not so long ago・・・ 
 

続いて、角館の山奥にある温泉宿、
夏瀬温泉に参りましょう。

宿の名前は「都(みやこ)わすれ」
といいます。

夏瀬温泉は、江戸時代からある秘湯ですが、
2004年に一軒宿が閉館してしまい、
 

これを残念がった妙乃湯の女将が

2005年に「都わすれ」として

再開した、という歴史があります。

まさに、名前の通り、都会の喧騒から

離れた一軒宿です。

ナビを頼りにレンタカーで進むと、
途中で舗装道路が砂利道になり、

道がどんどん狭くなり、
本当にこの先に宿があるのか
不安になるほどの細い道を進みます。

街灯やガードレールも殆ど無いので、
この道を夜に走るのは勇気が要るな、

と思いながら、ゆっくり登りました。

後で聞いたら、冬は雪が積もって、
とても危険なので、マイカーでの
来館は禁止なのだそうです。

確かに、雪で立ち往生したら、
誰も助けに来てくれなさそうな
雰囲気の山道でした。

◆ようやく宿に到着すると、
宿の中から、車の誘導のために
おねえさんが近寄ってきてきました。

こちらの名前を告げようと
車のウインドウを開けた瞬間、
2匹の大きなアブが車内に
進入してきました。

虫嫌いの家内は大パニックになり、
悲鳴を上げて車を飛び出し、
自分も、アブを車外へ追い出すのに
四苦八苦しました。

◆ロビーに入ると、ちょっと変わった

雰囲気のインテリアに驚きます。

昔、箱根で泊った萬翠楼の「疑洋風」に
似ていて、基本は和風なんだけれど、
洋風なインテリアがあちこちに

置いてある、という感じです。

◆内装はさておき、名物の貸切風呂に
入らないといけないので、早速、
予約をして夕食前に入りました。

勝之進は、この貸切風呂の入口にある
看板が非常に気に入り
何枚も写真を撮ってしまいました。


こちらです。

裸電球がいいでしょう。

◆貸切露天風呂の中は写真NGなので
パンフレットの写真を上げておきます。

(ぼけてしまった)


実際、湯の吹き出し口が、
丸みを帯びた大きな石になっていて
とても風情がありました。

打たせ湯もありましたので、
運転で凝った肩に当ててみましたが、
水圧が丁度良く、気持ちが良かったです。

石造りの湯船自体は8畳ぐらいですが、
塀で囲われたお風呂全体は

50畳以上の広さがあったでしょうか、

とても、とても開放感があります。

鬱蒼とした木々に覆われ、
風呂の上が全部、空に向かって

抜けているので、青空が妙に

近くに見えます。

夜になったら、満天の星が見えて
綺麗だろうなと思いました。

のんびりと湯につかっていると
森のすぐ近くから、蜩(ひぐらし)の
カナカナカナという儚げな声が
聞こえて来て、旅情を加えてくれます。

勝之進は、これぞ、日本の夏休みだなぁ
と深く深呼吸をしたのでした。

◆貸切風呂を出た後は
内湯の大浴場の方にも入ってみました。

熱い温泉と、ぬるめの温泉が
分かれている木製の湯船で
再び、ぬるめの方に浸かって
ふやけました。

宿のHPには、2018年に、
温泉井戸をもう一本掘って
湯量・湯温が回復したと
書いてありました。

泉質はナトリウムーカルシウム
ー硫酸塩泉で、無色透明です。

泉質はとてもいいのですが、
家内が入った女湯の方には
見たこともない大きなクモが
網戸に張り付いていたらしく、

家内は怖くて部屋に逃げ帰ってしまい、
ゆっくり入れなかったと言ってました。

この宿は、虫が苦手な人には
ちょっと厳しいかもしれませんね。。。

◆部屋にも専用露天風呂が
ついています。

すぐ目の前には、滔々と流れる
青い川面が見えますので、
非常に癒されます。



◆夜は、内庭を眺めながら
シャンパンと日本酒を頼んで
のんびりと食事をしました。

超がつく山奥ですが

旬のウニがでてきて嬉しかったです。


◆内庭には、百合に囲まれた
1本のしだれ桜があります。

そして、その隣には、

小さな石碑があります。
 

実は、この石碑は、台湾の
故・李登輝総統のお手植えを

記念したものなのです。

2007年6月5日、まだ創業2年の宿に

総統が泊まりに来られた時、

お女将の佐藤京子さんがお願いして

植えて頂いた桜で、
 

館内には、李登輝総統のサインも
飾られていました。

◆実は、李登輝総統(1923~2020)は、
若い頃、父から「岩里政男」という
日本名を授けられており、後に、


「22歳までは(実質的に)日本人だった」
と語っていた通り、知日派・親日派として
知られています。

第二次世界大戦中に日本にいた李総統は、
なんと日本陸軍の見習士官となって
千葉に配属され、東京大空襲を
見あげた経験もあるそうです。

このように、

日本について深い知識を持ち、
日本語もペラペラで、
松尾芭蕉の俳句にまで造詣が

深かった総統は、

 

いつか、奥の細道の名所を訪ねてみたい
という願いを持っていました。

そして、2007年に来日し、
夢だった東北旅行をした際、
秋田・角館にも立ち寄った
というわけです。

こんな山奥に、
台湾と日本の友好の証があるとは
夢にも思いませんでしたが、


総統は、天国から、毎年、
この桜が咲くことを楽しみに
していることでしょう。

いい話です。

◆夏瀬温泉「都わすれ」は

豊かな自然と川のせせらぎに囲まれ、

静かな雰囲気の中で、ゆっくりと

温泉に浸かることができる

素晴らしい秘湯でありました。

季節を変えて来てみたいですね。
         
  芭蕉が到達した最北点は象潟です。。。勝之進