塩原・磐梯熱海・日光への涼紀行(3)~あぶくま洞~ | 凝り性 勝之進のこだわり日記

凝り性 勝之進のこだわり日記

★Livin' On A Prayer★Once upon a time Not so long ago・・・ 
 

涼しい所を求めて移動します。
次は、福島の大鍾乳洞・あぶくま洞です。

こちらは平均気温が約15度で、
大谷資料館より気温は高いですが、
外の気温が35度近くあるので、
中は、ものすごく涼しく感じます。

最初に一番良く撮れた写真を上げます。
シールドと言われる希少な鍾乳石です。


あぶくま洞の入口から入ると、
人が一人通れるかどうかの狭い
岩の間を通り抜けて進みます。
 
探検気分でテンションが
ぐっと上がります。

洞窟を進むと、いきなり、
開けた巨大な空間に出現して、
結構、驚きます。

写真で追っていきましょう。

★滝根御殿
巨大空間です。
発見した人はさぞ驚いたことでしょう
天井からも、いっぱい垂れ下がっています
列がなかなか進みません・・・

★観音像

★クリスタルカーテン
鍾乳石の先端が透けて見えます。
勝之進には、ダモクレスの剣に見えました。

★竜宮殿

★リムストーン。
棚田のような形になった鍾乳石です。
トルコ・パムッカレの
巨大リムストーンが有名です。

 
★月の世界。
上から垂れさがる鍾乳石と
下から成長する鍾乳石がつながって
石柱ができる様子が良くわかります。
(あとで解説します)


【ここから先は、再び、マニア向けですので
地学に興味がない人は飛ばしてください】

◆まず、基本的な事項からいきます。
どうやって鍾乳洞はできるのでしょうか。

鍾乳洞ができるには、
地上周辺まで隆起した石灰岩の厚い岩盤、
すなわちカルスト地形が必要です。

世界の鍾乳洞は、全て、石灰岩が雨水で
削られてできたものです。

石灰岩は炭酸カルシウムからできており、
弱酸性である雨を受けると、
ソーダ水になって溶けだしていきます。

ソーダ水が岩の表面を流れると、
自然に水の通り道ができ、水路が岩を
深く削っていきます。

やがて石灰岩の中に空洞ができ、
空洞同士が繋がり、天井部分が
崩落して穴があくと更に雨水が流れ込み、
横や下に向かって岩が削られ、
空洞が広がって鍾乳洞ができるのです。

あぶくま洞の断面図を見ると
こんなかんじになっています。

鬼穴と呼ばれる一番高い場所から
入口に向かい、高低差150m、
長さ約3キロにわたって、
雨水が岩を削った様子が
よく見て取れますね。

◆では、鍾乳石の生成過程と
成長速度はどのくらいでしょうか

石灰岩を溶かし込み、
炭酸カルシウムを大量に含んだ水が、
岩の間を通って沁み出し、
ぽたぽたと同じ場所に落ち続けると、
二酸化炭素が抜けて、再び石灰質の
岩石を晶出します。
これが鍾乳石です。

「つらら石」は、上から垂れる水滴が
そのまま再石灰化して固まった石

「石筍」は、上から垂れた水滴が
地表で再石灰化し、上へと伸びていく石、

「石柱」は、下から伸びる石筍と、
上から伸びるつらら石が
つながってできる石です。

その成長スピードは、100年に1cmと
言われており、「月の世界」で見たような
1メートルの石筍になるには、
1万年かかることになります。
気が遠くなりますね。

◆それでは、この石灰岩層は
どのくらい昔の地層なのでしょうか。

正確には判っていないそうですが、
通説では、約4.5億年前頃の古生代後期
オルドビス紀から、約4.0億年前の
前期デボン紀ではないかと言われています。

実は、あぶくま洞の周辺は、
約1億年前の中生代前期白亜紀に
生成された花崗岩だらけであり、
あぶくま洞のある仙台平(せんだいひら)
だけが4億年前となっています。

また、大滝根山西側斜面から田村市大越地区に
かけても滝根層と呼ばれる別の石灰岩地層が
あるのですが、こちらは約3億年前とされており、
 
何故、滝根層より1億年も古い地層が、
仙台平に露出しているのかは分かっていません。

田村市大滝根山南方のある常葉(ときわ)
地区では、昭和30年代から、
三共精粉が石灰岩の露天掘りを続けています。

あぶくま洞の周辺にも、古くから
釜山採石場という採石場があったのですが、
1969年9月12日に、あぶくま洞が
(当時は「釜山鍾乳洞」)が発見されたため、
採掘は停止となり、観光資源として
「あぶくま洞」と改名されて現在に至ります。

入り口のレストランが
「レストハウス釜山」という名前なのは、
その名残です。
 
以上、涼しいあぶくま洞の話でした。
 
(続く)
 
   未開放の部分の方が長い。。。勝之進