ツールドフランス2023観戦記、完全保存版 | 凝り性 勝之進のこだわり日記

凝り性 勝之進のこだわり日記

★Livin' On A Prayer★Once upon a time Not so long ago・・・ 
 

今年もツールドフランスの感想を
全ステージ書きます。

自分とマニアのためだけの記事ですので

悪しからず。

◆第1ステージ アダム・イェーツ

(UAE)

今期からUAEに移籍したアダム・イェーツ。
サイモン・イェーツは、チーム・ジェイコ・
アルウラーのエースであり、
同じ1992年8月7日生まれの
一卵性双生児。

身長も1センチしか違わず、二人は、
全く見分けがつかないことで有名。

サイモンはツール2勝ながら、

アダムは未だ未勝利。
 

その二人がラスト1キロのフラムルージュを
一緒に逃げる展開。

兄弟でツールに出ていること

自体が非常に珍しいが、

ステージ優勝を争う展開というのも

更に珍しく、110回の大会史上、
おそらく初めてではないかと、

アナウンサーが興奮気味に解説。

サイモンは「最後の坂で足が攣った」

と言うが、もしかしたら、

ステージ優勝経験のあるサイモンが
アダムに優勝を譲ったのでは、

との噂もあったようだ。

ただ、アダムが、この展開を千載一遇の
チャンスと思い、力を込めて踏み込んだのは
間違いなく、人生初のステージ優勝を
勝ち取りました。

アダムは、マイヨジョーヌとマイヨベールと
敢闘賞まで手に入れて感無量の笑顔。
UAEは絶好のスタート!

◆第2ステージ ヴィクトール・ラフェ
(コフィディス)

途中、UAEのビョーグの走りが

チーム内で争いの種になり、

分裂気味に。大丈夫か。

27歳、ツール2回目のラフェは
ラスト1キロから猛然とアタックを掛け、
単独で逃げ切って初優勝。

フランス人が勝てなくてハラハラする
大会も多いが、今年は早くも1勝。
あと何勝できるだろうか。

余力のあったワウトは、

勝てたレースだと感じ、
ケルデルマンのラフェへのチェックが

甘かったと怒り心頭。

ボトルを投げ捨てて怒るワウト。

総合争いのため、3位ポガチャルに
ボーナスタイムを与えない頭脳作戦

だったのでは、といわれたが、
果たして、この秒差が優勝争に

影響するほどの僅差になるのだろうか。

コフィディスは2008年にシャヴァネルが
勝って以来、15年ぶりの勝利に大騒ぎ。

 

ヴァスール監督と、今シーズンから

バイク提供に入ったルック陣営にも

笑顔がはじけた。

◆第3ステージ フィリップセン
(アルぺシン・デュクーニンク)

バイヨンヌのスプリントを取ったのは
絶好調フィリップセン。

このステージはレース展開よりも
宮本あさかさんの自撮り定点カメラと、
国際映像が、同時に二元生中継され、

印象に残った。

◆第4ステージ フィリップセン

今日はノガロのサーキットコースゴール。
完全なるスプリンターステージ。

マチュー・ファンデルプールの引きで
発射するフィリップセンを止められる
チームはいないのか。

マッチョベルギー人のフィリップセンは
2連勝でツール4勝目。

ユアンは手足が短いのか、今回も2位。
バウハウス3位、カブは5位。

◆第5ステージ ジャイ・ヒンドレー
(ボーラ・ハンスグローエ)

2022年のジロを制した27歳の
オーストラリア人クライマーが
ツール初出場、初優勝。

超級スデ峠の下りは、霧が出てきて
見ている方が恐ろしくて汗をかく。

最後の山岳、マリーブランク峠の登りでは、
ビンゲゴーがアタック。ポガチャルは
ついて行けず、早くも53秒の差がついた。

序盤でここまでの差が付くとは
思いもよらぬ展開だ。
ポガチャルに黄色信号点滅!

◆第6ステージ ポガチャル

今日は2115m、17キロの
ツール・マレを上り
最後は1449m、16キロの
コトレ・カンバスクに登る頂上ゴール。

ツール・マレでは、すでに
クス、ビンゲゴーのユンボ勢と
ポガチャルの一騎打ち状態。

ジャック・ゴデ記念の山頂に向かって
残り1.3キロでビンゲゴーがアタック。
ポガチャルがついていく。


「これ以上はぜってー離されない」の構え。
2人だけ、別のスポーツをやっているようだ。

ポガチャルの今日の調子がわからぬまま、
前待ちのワウトがビンゲゴーに合流。

20ステージ目のような緊張感で
カンバスクに差し掛かる3人。

残り2.8キロでポガチャルがアタック。
10%の坂を21キロのスピードで登る
ポガチャルはまさに怪物。

一旦離れるがシッティングで追うビンゲゴー。

昨日の差を取り戻さんとする気迫に溢れた
ポガチャルがステージを制し、
ボーナスタイムでも4秒差をゲット。

フィニッシュ後に力を残さない

江戸っ子ポガチャルに拍手。

差は25秒差。マイヨはビンゲゴー。
信じられないのは、

まだ6日目だということだ。

◆第7ステージ フィリップセン

ワインの産地ボルドーにゴールする
スプリントステージ。

今日こそは勝ちたいスプリンターが
位置取りで前へ出てくる。

勝ったのは、またもフィリップセンで
3勝目。強すぎる。カブは2位と大健闘。

◆第8ステージ マッズ・ピータースン
(リドル・トレック)

ついにフィリップセンを負かした
ピータースン。ツール2勝目。
2位はワウト。

今期から、セガフレードに代って
スポンサーになったリドルも
快哉を叫ぶ。

◆第9ステージ マイケル・ウッズ
(イスラエル)

今日は、1415m、13.3キロ
伝説のピュイ・ド・ドームに35年ぶりに
帰還する日。

最後の4キロは11.5%
11.4%,12.2%,11.5%,12.1%という
ちょっと頭のオカシイ登り。

力でねじ伏せたのは36歳の
ベテラン・カナダ人のウッズ。
ツール4回目にして初のステージ優勝。

モビスターの24歳の初出場アメリカ人・
マテオ・ヨルゲンソンが初優勝を狙って
必死で踏んだが、わずかゴール450m
手前で逆転されてガックリ。

ツールは、そう簡単には勝てない。
キャニオン陣営も惜敗に唇を噛む。

総合はポガチャルを行かせなかった
ビンゲゴーが8秒差でゴールし、
タイム差は17秒アヘッドをキープ。

◆第10ステージ ビルバオ
(バーレーン、ビクトリアス)

イソアールへの下り坂ゴール。
勝ったのはスペイン人のビルバオ。

初優勝の表彰台で天を指し、
先日ツールドスイスで亡くなった
同僚ジーノ・メーダ―に
勝利を捧げた。

VPの総合はタイム差つかず。

◆第11ステージ フィリップセン

現役最強のスプリンターは、
今のところフィリップセンだ。

マチューがいなくても
自力で4勝目をもぎ取る。

◆第12ステージ ヨン・イサギレ
(コフィディス)

今年のコフィディスは大躍進。
15年間も勝てなかったのに、
今大会に入って、なんと2勝目。

7年ぶり2勝目に嬉し泣きの
イサギレはバスク出身のスペイン人。

◆13ステージ クビアトコゥスキー
(イネオス)

フランス革命記念日の、
グラン・コロンビエ・1501m17.4キロの
山頂ゴールを制したのは、
ポーランドの英雄、クビアトゥスキー。

以前、トレードマークだった白いフレームの
サングラスは赤いフレームに変わっている。

イネオスを支える名アシストが
今日は自分のために走った。

イネオスは、なんと3年も
勝っていなかったとは驚きだ。

VPの総合タイム差は9秒差まで
縮まってきた。殆ど差はないと
言っても過言ではない状態

◆第14ステージ カルロス・ロドリゲス
(イネオス)

いかにもスペイン人という名前の
ロドリゲスが初優勝。
しかもまだ22歳。
将来が嘱望される。

下りに強く、ピドコックと双璧の速さ。
怖くないのか。。。

このステージの落車でバルデとチャベスは
レースを去る。

VPは10秒差。ポガチャルは
なかなかマイヨを着れない。

◆第15ステージ ワウト・プールス
(バーレーン・ビクトリアス)

サン・ジェルヴェ・モンブラン1372m
の頂上ゴール。

コート・デ・アメランの激坂を攻めて
勝ったのは初優勝の36歳プールス。

名前はワウトで、もう一人のワウトと
呼ばれていた、

バーレーンは2勝目。ジーノが
天から見守ってくれているようだ。

総合はラスト500メートルでアタックした
ポガチャルに、ヴィンゲゴーが

ピッタリついて差は縮まらず。

山岳賞は、ここでリドル・トレックの
チッコーネに移る。

◆第16ステージ 個人TT
ビンゲゴー。

乗り換えなしのTTバイクのビンゲゴーか、
ロードバイクに乗り換えるポガチャルか、

どっちの作戦が賢明か、そんな戦前予想を
全て覆し、力でねじ伏せたのはビンゲゴー。

最後から2番目のポガチャルが
ベストラップなのに、ビンゲゴーが
全て上書きして差を拡げていく
唖然とするレース展開。

プロの世界で、たった22.4キロの
TTで、1分38秒もの差が付く
なんてことがあるのだろうか。

解説陣も「全く信じられない展開」と
絶句する激走。世界中が驚いた。

ユンボは初勝利、そして、
VPタイム差は1分48秒に拡がった。

あと残されたチャンスは実質、
17ステージだけ。どうするポガチャル。

◆第17ステージ ガル(AG2R)

ツールドフランスの歴史に残る
ステージとなった17ステージ。

クールシュベル飛行場にゴールする
獲得標高3372mという、
とんでもないコース。

しかもその手前のアンリ・デグランジェ
記念の2304mローズ峠は、
28.1キロと、あり得ない長さの上り。

ポガチャルは、空気が薄いところが苦手と
言われていたが、遂にそのバッドデーが
来てしまった。

そのローズ峠で、ポガチャルが先頭集団に

ついていけなくなった映像は、長く記憶に
残ることだろう。

まだ頂上まで8キロもあるのに
遅れていくポガチャル。

アシスト陣に守られたビンゲゴーとの差は
みるみるうちに開いていき、この数分の間に
今大会の総合優勝は実質的に決定した。

助けに降りて来たソレルの眼に浮かんだ
驚きの表情が、すべてを物語る。

無線でポガチャルの声が響く。
「僕はもうだめだ!(I'm DEAD!)、
アダム行ってくれ!!」

ステージ終了時点でポガチャルは
5分40秒を失い、フラフラになって
ゴール。

かろうじて2位ながら、総合タイム差は

7分35秒差。逆転はほぼ絶望。
粘ったアダムは10分45秒差の3位。

4位ロドリゲスとの差は1分26秒。
パリの表彰台はどうなる。。。

ガルは嬉しい初優勝。相当登れる
オーストラリア人だ。

◆第18ステージ アスグリーン
(スーダル・クイックステップ)

今年はツール初優勝が多い。
アスグリーンは、まだ勝って
いなかったのかと思うほどの実力者。

それでも、本当になかなか勝てないのが
ツール。192センチと大柄な
33歳のデンマーク人にも栄光が訪れた。

なによりすごいのが逃げ切り勝ち

だったこと。

カンペナールツのおかげともいえるが
解説陣が99%ないと言い切った状態からの
逃げ切りは、最後10m差だった。

スプリントステージで久々に
めっちゃ興奮したゴールだった。

◆第19ステージ モホリッチ
(バーレーン・ビクトリアス)

最後のスプリントステージを
勝ったのはポガチャルと同郷の
スロベニア出身のモホリッチ。

2021年以来の2勝目に
嬉し泣きの涙が頬を伝い、
顔と口が歪む。

表彰式でも、まだ泣いていて
こちらも胸が熱くなった。

これでバーレーンは3勝目。

天が味方している。

惜敗アスグリーンは「投げ負け」て
悔しそう。差は、おそらく1センチも
なかっただろう。

このステージでチッコーネの山岳賞が確定。
ガッツポーズがカッコいい。

◆第20ステージ ポガチャル

このステージは
ティボ・ピノーのラストラン・ステージ
としても長く語り継がれるだろう。

ピノーはオート・ソーヌ県メリゼー出身。
今回のゴールはマルクシュタイン・

フェルランで、メリゼ―は隣の県という近さ。

このあたりに住んでいる人は、ほぼ全員、
ピノーの応援に駆け付たようだ。

ピノーが先頭を走っていた
残り30キロあたりから10キロまでは、
地面はピノの文字が埋め付くされ、
随所に「メルシー・ピノー」の
手書きの文字が並ぶ。

フランス中から愛されたピノーには、
誰もが、フランス人総合優勝の夢を託した。

その重圧に耐えながら、優しきピノは
最後まで勇敢に走り切った。

夢は叶わなかったが、これほどまでに
愛される選手は、そう簡単には
出てこないだろう。

2010年プロデビュー、
ツール出場10回、ステージ優勝3回、
最高位総合3位、という輝かしい戦績を残し、
ピノーは33歳でツールを引退した。

栗村さんも言っていたが、

勝之進も、いちファンとして。
「ありがとう、ピノー」と言いたいと思う。

マディオ監督も号泣していたそうだが、
フランス人だけでなく、

ロードレースファンにとって、
本当に感慨深いステージだった。

ステージは、ポガチャルが
まさに意地だけで勝利を勝ち取った。

敢闘賞を取ったピノーが

表彰式でみせた、なんともいえない表情を
勝之進は、忘れることはないだろう。

 

そしてまた、チームカーから

敢闘賞インタビューにかけつけた

マディオ監督とピノーの、無言のままの、

しっかりと力の入った、熱い熱い、

万感の抱擁も、忘れることはないだろう。

◆第21ステージ メーウス
(ボーラ・ハンスグローエ)

今日はシャンゼリゼへ英雄が凱旋する日。
エッフェル塔とジャンヌダルクが出迎える。

ワウトは出産に立ち会うために
18ステージを前に故郷に帰って不在。

ビンゲゴーとユンボビズマは
正真正銘に強かった。

ビンゲゴーと、除くワウトの
アシスト達は、揃って勝利を祝っている。

ビンゲゴーおめでとう。
2年連続総合優勝は、偉大な戦績だ。

その他のジャージは
マイヨベールはフィップセン
山岳賞はチッコーネ
マイヨブランは今年で最後のポガチャル。
総合敢闘賞はカンペナールツが受賞。

来年はユンボがスポンサーを
降りることが決まっており、
新スポンサーが知りたいところだが、
それはまた来年のお楽しみ。

 

メーウスはミリ差で勝って

興奮さめやらず。シャンゼリゼ勝利は

スプリンターの夢のまた夢だ。

◆総評

こうして110回のツールドフランスは
終了しました。

正直言って、

観戦とブログ記載も疲れましたが、
選手達の疲労とキツさは
こんなものではありませんので、
これ以上は言わないことにします。

来年に向け、練習を積んだ選手達が、
一回り大きくなって現れることを
期待して本稿を終わりにします。

超大ブログをお読みいただいた方、
まことにありがとうございました。

あとは音楽とスローモーション映像を

バックに、窪田等さんに次の

エンディングを読んでもらいましょう。
 

◆♪♪果てしない上り、
木々も生えない頂上に向かって
水をかぶりながら、登る。

柵の無い、霧に煙る

ダウンスロープを、

ブレーキ音を軋ませながら
命がけで下る。

全てはチームとエ―スのため、

全力で行く。

アシストの献身、
エースの意地、
発射台を務める者のプライド、

 

全てがぶつかっる火花で

ボルテージが上がる。

調子が出ないバッドデーは、

ダメージが残る体を鼓舞し、


道を覆い尽くす人の波をかき分けて、

気持ちだけで前に進む。


そして、英雄たちは、

ただ、ひたすらに、
ゴールを目指して走る。

その煌めきこそが、
応援する者の力になる。

 

シャンゼリゼにゴールした

世界最高の選手達に、

 

そして、引退する選手達に

感謝と敬意を伝えよう

 

ツールドフランス、万歳。
来年、またパリで会おう。

 

※Jスポーツ総集編の最後に流れる

「デスペラード」バックの3分映像も

忘れずに見よう。


   自転車、いいなぁ。。。勝之進