堂島ホテルの波乱万丈 | 凝り性 勝之進のこだわり日記

凝り性 勝之進のこだわり日記

★Livin' On A Prayer★Once upon a time Not so long ago・・・ 
 

先日、大阪出張に行った際、
堂島ホテルで宴会がありました。

その重厚な造りに興味が湧いたので
堂島ホテルについて調べてみたところ、

波乱万丈の歴史が出てきましたので、
少しまとめてみます。

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堂島という地名は、もともと、
川の中州に薬師堂があったことから、

「お堂」のある「島」で「堂島」と
呼ばれるようになったそうです。
(今でも堂島1丁目にお堂があります)

堂島は川に囲まれて水運に適していたため、
江戸時代から、物資が集まる商業地として
栄えました。

特に、堂島は米取引の中心地として有名であり、
「堂島米市場」には、全国から年貢米が
運び込まれて大層賑わっていたそうです。

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時は下って、1984年。バブルの真っ只中、
街にヴァンヘイレンのJUMPが流れていた頃、
「堂島ホテル」は開業しました。

高級路線とバブリーな値段設定で
強気の経営を続ける中、バブルが弾けて
経済は下降していきます。

にも関わらず、1994年、当ホテルは開業後
僅か10年という短さで全面改築に踏み切りました。

そこで完成したのは、地上14階・地下2階建ての
ルネサンス調の、更にバブリーなホテル。
名前は「インターナショナル堂島ホテル」。

立派な石造りの門構えで、引き続き高級路線を
驀進したのですが、縮小しつつある経済動向に

逆行することとなり、あっという間に経営難に
陥ります。

このため、当ホテルを経営する会社は
1999年に570億円もの負債を抱えて倒産し、

同社に巨額の融資をしていた足利銀行も
連鎖破綻してしまいました。

経営権を引き継いだは米国資本の
マークスプロパティマネージメント
という会社。

同社は、米チョイスホテルズインターナショナルの
日本現地法人として設立された会社で、
マークスブランドのホテルを展開していました。

堂島ホテルは、新経営者の下、2000年2月に
「マークスGホテル大阪」として再スタートを切ります。

ところが、ホテル業受難の時代はまだまだ続いており、
堂島ホテルは再び売りに出されてしまいます。

次に経営を引き継いだのが
セラヴィリゾート株式会社という会社。

2003年3月には、「アンビエント堂島ホテル」
と改名して営業を再開しました。

セラヴィリゾートは、もともとレストランバーから
始まった飲食事業者であるセラヴィグループの1社です。

セラヴィグループは、後に、北の家族を傘下に
収めたりしますが、多角経営に積極的で、
ゴルフ場やテーマパーク(イタリア村)にも
進出しました。

しかし、いずれも経営難に陥り、堂島ホテルは
またしても売りに出されてしまいます。

次に経営権を譲り受けたのは、シンワオックス
という会社。

当社は食肉卸から始めて給食事業に参入した会社で、
居酒屋「蔵人」等も経営する会社です。

新オーナーはホテル再建に注力し、
時代に合わない成金趣味の内装を全面リニューアルし、

「オーセンティックモダン」をコンセプトに
落ち着いた雰囲気に改修し、
名前も、元の「堂島ホテル」に戻しました。

しかし、まだ経営母体は変わります。
シンワオックスは、2009年に前社長の

横領疑惑が発覚する等の事件が発生し、
りそな銀行から賃料不払いで訴えられたうえに、

ホテル事業採算も依然不調であったことから、
堂島ホテル事業から撤退することを決めました。

こうして、2010年12月に、ホテルは
再々再々度売りに出されました。

次に経営権を取得したのはヴィーナス・ファンド
という投資ファンドでした。

噂では、この時の譲渡価格は1000円
だったとか。

経営会社は変更されましたが、ホテル名は、
引き続き「堂島ホテル」を名乗っており、
現在に至っております。

なんとも苦難の道のりですが、これも、
バブル時代に造ってしまった過剰設備が
原因の一つになっているのでしょう。

そして、5回も経営主体が変わっている間に
堂島ロールの方も揉めていました。

もともと、2003年頃に、
ホテルアンビエント堂島のシェフが
作ったロールケーキが「堂島ロール」
なのですが、

これを販売していたケーキショップ
「モンシュシュ」との間で、商標を巡る
元祖争いのような揉め事が発生しました。

裁判沙汰にもなったそうですが、今も、
堂島ホテルでは「堂島ホテルロール」、

別店舗のパティスリー・モンシュールでは
「堂島ロール」が売られています。

味は殆ど同じだそうですが、勝之進は、
カロリーの高い生クリームが苦手なので

ホテルで「ロシェ・ショコラ」
という焼菓子を頂いてきました。





このとおり、堂島ホテルのお洒落なロゴの裏には
裁判沙汰や経営難がぎっしり詰まっており、

開業からわずか30数年ですが、なんとも波乱万丈な
運命を辿ってきたのです。

ホテル経営って、とても大変ですね。。。

せっかくここまで調べたので、
今度大阪に行った際には、
一度泊まってみたいと思います。

以上、堂島ホテルのお話でした。

   確かにロゴは堂の字に見える。。。勝之進


<2016.5.8加筆>

その後、2015年11月30日に、
ウェルス・マネジメント(以下WM)と
ゴールドマン・サックス日本法人(以下GS)が

共同で出資した特別目的会社(SPC)が
堂島ホテルを取得しました。

SPCへの出資額は両社合わせて約26億9500万円、
持分比率はGS61%、WM39%とのことです。

ホテル運営は現行の運営会社が継続して実施しています。
洋二さん、コメントご指摘、ありがとうございました!

   まだ宿泊できてません。。。勝之進 

 


<2016.10.2加筆>

 

最近、本稿に対するアクセスが急増しており、
何か起きたのかなと思って調べてみたところ、
堂島ホテルではなく、堂島ロールの方で
事件が起きていました。

 

本文に書いた通り、堂島ロールを最初に
考案したのは、ホテルアンビエント時代の
有田総料理長です。

 

当時、堂島ロールは、同ホテル内の
ケーキショップ「モンシュシュ」にて
販売されていました。

 

その後、ホテル経営の不調もあって、
「モンシュシュ」は閉店されるのですが、
販売員であった金さんが、別の場所で
「モンシュシュ」を開店し、堂島ロール
を販売したことから争いが始まりました。

 

有田さんは「堂島プレミアム」という
別ブランドのケーキ販売会社を

持っており、商標権を巡って両者間で

訴訟となりました。

 

2016年4月、大阪地裁は、堂島ロール
の商標は金さん側にあるとの判決を

出しました。

 

しかし、金さん側は、2016年8月26日に

「まだ類似商品が販売されている」として、

再度、類似商品の販売差止と損害賠償の

訴訟を起こしたというわけです。

 

以上、追加情報でした。

 

なお、勝之進は、新聞情報を入手しただけですので、

裁判こ関するコメント書き込みはご遠慮ください。

 

 

<2016.10.3加筆>

 

アクセスが減らないので、やはりおかしいと思って
もう一度調べ直したら、やはり、堂島ホテルで
記事が出てきました。

 

ウェルス・マネジメント社は、2016年9月30日、
同社が39%で出資している特別目的会社より、

 

「堂島ホテルを管理所有する信託銀行とホテル

運営会社である賃借人との協議の結果、

 

2016年12月31日に建物賃貸借契約を終了する

旨の報告を受けた」とのプレス発表をしていました。

 

契約終了後、同社は「事業価値の増大に向けた

計画を検討している」とのことですが、このままだと

 

年内12月31日をもって、一旦、ホテルを閉める
ことになるのでしょう。

 

ウェルス・マネジメント社は、2015年11月に

SPCへ出資していましたので、わずか1年で、

なんらかの手を打たねばならなくなった

ということのようです。

 

堂島ホテルの波乱万丈は

まだまだ続きそうです。

 

 (2017.9.18加筆)

2017年8月2日の報道発表によりますと、
2016年12月27日に閉館した堂島ホテルは、
完全に解体され、建て替えられることが決まりました。

少し前の所有者はウェルス・マネジメントと
ゴールドマンサックス(GS)でしたが、
閉館を機にGSは手を引き、

2017年6月末には、三菱UFJリースと
片山工業が作ったSPCである
アール・アンド・ケイ社が所有者に

なっていました。

今回の発表によると、三菱UFJリース、
片山工業に加えて、リシェス・マネジメント

という会社も参加することになったようです。

2018年度中に着工し、

開業は3年後のオリンピックイヤー

2020年の予定です。


建物は高さ15階、客室数約300で

宿泊中心の仕様にするとのこと。

大阪はUSJ人気もあって

ホテル需要が旺盛であり、

2025年の万博誘致まで

高稼働率が見込めますので、


1984年築の建物を直しながら

運営するよりも、

いっそ建て替えた方が儲かる

という判断が下されたのでしょう。

先日、大阪出張でホテル前を

タクシーで通過したら、ホテルは
白い塀で囲われていて、

解体を待つばかりといった風情でした。
 

立派な建物なので、

もったないとも思いましたが、
壊した方がビジネスになるのだから

仕方ないですね。

ここまで、金額に関する情報は

全く出て来ていませんので、
何か情報があればまた追記します。

 

それにしても

一体どんなビルになるんでしょうね。

個人的には、単なるビジネスホテルには

しないで欲しいと思います。