聞くだけで元気を与えてくれる歌というものがある。
ここ数日、私にとってローラ・ブラニガンの「グロリア」がそれである。
風邪のせいか、あるいは花粉か何かが原因によるアレルギーなのか、やたらに咳が出ることが多く、体調も万全ではなく、なんとなく気分がすぐれないことも多かったが、車に乗ってとりあえず「グロリア」を聴くと、この歌が発散するパワーに包まれるかのように、あるいは全身の細胞が活性化されるかのように、自分の中に気力がよみがえってくるのを感じた。
「グロリア」は1982年のヒット曲なので、ちょうど30年前の歌である。
70年代と80年代のヒット曲を収めたCDの中に入っていた1曲だ。
4日ほど前に、私の家から15キロほど離れた立川市へしばらく通う用事ができたので、何年かぶりにそのCDを車のオーディオで聴いてみたところ、この歌だけが妙に私のハートを揺さぶり、落ち込み気味だった気分を吹き飛ばし、私に活力を与えてくれた。
以前から好きな歌ではあったが、その日以来、私は毎朝この歌を4回か5回ほど聴いている。
いまだに飽きることはない。
30年も前の歌とはいえ、ひとつの楽曲としての出来は素晴らしく、アレンジも各楽器のバランスも申し分ない。
何より、ボーカルのローラ・ブラニガンの歌唱が、感動的なほどに見事である。
ニューヨークで音楽一家に生まれ育ったローラの、肉食系とでも形容したくなるパワフルで濃厚でアメリカンな熱唱は、以下の YouTube 動画で聴いてもらうことができる。
(音質はCDに比べるとかなり落ちるが)
GLORIA Laura Branigan YouTube
ここ数日で30回ほどこの肉食系ソングを聴いているわけだが、聴きながら、ふと、そもそもこのすがすがしさはいったいどこからくるのだろう、と考えてみたことがある。
そして、その理由に思い当たった。
それは「自信」である。
ローラは、自信を持って、実に堂々と歌っている。
私を含め、日本人の英語学習者が英語を話すとき、ぼそぼそと自信なさげに話すケースが多いような気がする。
それではダメだ。
やはり、我々が英語を話すときは、堂々と胸を張って、力強く、自信をもって話すべきだと思う。
それが異文化コミュニケーションのあるべき姿だろう。
自信を持つとはいえ、自分の文法や発音の正しさを過信したり、うぬぼれたりするということではなく、あくまで英語を話す上での心構えとして、自分の英語を聞く相手の立場になり、その人にすがすがしさや心地よさを与えるような話し方や態度を心がけるべきだ、という意味である。
もちろん、すぐにはそんなことは身に付かないだろう。
すぐには英語をしゃべれるようにならないのと同じである。
英会話の能力を伸ばすことばかりに執心するのではなく、英語を話すときに取るべき態度や、心の在り方というものも、一緒に学んでいくべきだということである。
ローラ・ブラニガンの歌を聴きながら、そんなことを考えてしまったわけだが、それはやはり、彼女の歌が、あくまで自信に満ちているように聞こえたからだろう。
そして、そんな彼女に好感を覚え、彼女の歌声を心から楽しめたからである。
自信を持って話す、あるいは堂々と話すというのは、日本語でのスピーチやプレゼンなどにおける注意事項としてしばしば言われることだが、英会話においては、その大切なことを我々はついつい忘れがちである。
よし、これからは気を付けることにしよう、なんて、私は五十ン歳にもなって、やっとそのことに気付いたわけだが、まあ、気付かずにいるよりはマシだろう。