画家自身、生涯独身であり子供を授かることは無かったが、本作には母と子の温かで緊密な関係性と、子に対する母の豊かな母性が良く示されている。
また鏡を利用した複雑な空間構成(手鏡の置くにも椅子と同じく緑色の鏡が置かれている)と、それと対応するかのような茶色の壁による平面化は、画家の並々ならぬ創意と工夫の賜物であり、本作ではそれらが優れた結果として画面の中に表れている。
さらに画家特有の暖色を多用した色彩構成や補色の使用はこの頃手がけられた画家の作品の中でも白眉の出来栄えである。
なお母親の胸に飾られる一輪の向日葵や子供(女の子)の解釈については象徴し儀的解釈など諸説唱えられているが、現在までにどれも確証を得るには至っておらず、更なる研究や議論が待たれる。