ある年、ビンソンはクエートへ任務のため行ってしまった。
いつものように黒い便箋にカラフルなペンで気持ちを綴った。
しかし、待てど暮らせどビンソンからの返事がこない。
胸騒ぎがしながらも、私は手紙を書き続けた。
一月くらいした頃か、電話がかかってきた。
久し振りに声を聞く事ができて嬉しかったが、ビンソンの声は暗い。
「君、浮気したね!」
と、訳のわからないことを言い出した。
「いきなり何?」
としか言えない。
ビンソンは、私から性病をもらった、と言うのだ。
私は、船の中での生活において、シャワールームで人のタオルを使わない事、裸で色んな所に座らない事、ドクターに診てもらう事、etc、と彼に伝えた。
そして何より、私は性病を持っていない、私は必死になって自分の身の潔白を伝えるしかなかった。
ビンソンは納得していない様子のまま電話を切った。
今思えば、浮気をしたのはビンソンだ! とわかる。
恋愛感情は4年程度しか持たないらしい。その後は、相手への尊敬の念や、優しさ、思いやり、信じる気持ちによって、本当の愛に変わるのかなぁ〜と思う。
結婚は忍耐だ、と母は言うが、恋愛も時に忍耐が必要だ。忍耐は人生どんな時にも必要なのだろう。
話はそれたが、彼が性病をもらった後でも、私はビンソンを信じた。
手紙はもらう頻度が少なくなっていたが、私は彼の様子はどうか?気分はどうか?元気にしているか?と手紙で問い続けた。
クエートには3カ月くらい行っていただろか、現地では休暇を取り少しいいホテルに泊まったと言う。
「 I miss you.」
と書かれたハガキには、ホテルの名前や所在地がゴールドでプリントされた上質なものだった。
少し彼の気分も晴れ、性病も良くなったのか、以前と変わらない手紙が届くようになっていた。
いつ日本に戻るかと言う情報は、極秘なので直前まで家族や恋人にさえ伝えられない。
それに耐え忍ぶ若いカップル。
そして日本に帰ってきた。
<続く>