第七章 2020年~ 

       ( 新時代へ )

 

(91)  コロナ禍の90周年

 

西暦2020年のこの年は、

日本で56年ぶりに

オリンピックが開催される

記念の年で、

トキワにとっても創業90周年、

又、東京商工会議所の

在籍40年という

節目の年でもあった。

 

その東商からは、新年早々

永年会員の感謝状を授与。

 

 

そんなおめでた続きとは他所に

世の中と言えば…。

 

前年2019年12月、

中国武漢市で

「COVID-19」と名付けられた

「新型コロナウイルス」が

初めて検出され、

翌2020年2月初旬には、

クルーズ船

「ダイヤモンドプリンセス」に

その感染者が

乗船していたことが発覚。

横浜港で長期検疫体制に入り

その後、感染していた人数が

増え続けるという事態。

この現象は、

こんにちまで続く

世界的なパンデミックの

始まりとなった。

 

当初、前述のように

中国武漢市で

初めて検出された

と言われていたが、

その後スペインやイタリアの

研究発表から

武漢市で報告される前から

世界中にウイルスが

広まっていた可能性が高いと

2020年3月時点で

指摘されている。

その真偽はともかく、

まさかこれほど感染が

世界中に広がり、

しかもここまで長引くとは

いったい誰が想像しただろうか。

世の人々は誰もが、

これまでの生活様式や

サイクルを変えることを

余儀なくされた。

 

前出のダイヤモンドプリンセスに

友人が乗船しており、

当時検疫体制の中、

缶詰め状態のその友人と

ほぼ毎日連絡を

取り合ってはいたが

当時は全く他人ごとだった。

ところがその翌3月には、

国内でも感染は広がり

「マスク生活」の始まり。

イベントは自粛や無観客開催、

オリンピックの開催も

懸念され始めた。

飲食店に至っては、

死活問題にもなる「休業要請」。

人の多い東京で営業する

トキワとしても

社員の通勤帰宅時の

満員電車車内での

感染を避ける為、

始業時間を遅らせたり、

時差出勤も始めた。

 

4月10日。

創業90周年を迎えたものの

この状況下では、

数年前から計画していた

『創業90周年記念6事業』を

実行することさえ危ぶまれた。

 

その6事業とは、

1)  マスコットキャラクターの製作

前出のタナカミノル先生に

周年記念の「90」を

タスキに入れて描いていただいた

「マスコットキャラクター」

   

の誕生、

これがその原型。

 

2)  記念品の製作配付

 

 

感謝の気持ちを込めて

これまでトキワに

関わってくださった多くの方々に

広く配布する事を目的に作製した

「オリジナルクリアファイル

コーポレートフラワーである

「紫陽花」や木村朝之助さん筆耕の

トキワのキャッチ「雨の日快適宣言」、

これまでの社名と歴代社長の変革、

そして「トキソラ」のお披露目。

それこそC I が終結された

ファイルを作製した。

 

3)  1年間限定の名刺を作製

 

 

平素、トキワの社会貢献の柱は

「日本赤十字社の活動支援」。

今回の90周年は、

これまでとは異なる形での社会貢献もと。

それは、

障害者施設で働く方の収入源となる

「点字名刺の作製」

この1年間限定で

全社の名刺に点字加工を施した。

点字の加工賃が

少しでも社会貢献になればと。

 

ところが、

1年間限定予定のはずだった

この点字名刺。

思いもよらず反響が!

と言うのは、

名刺を差し出すと同時に

受け取り側が大変興味を抱き、

その話題でまず盛り上がる。

そもそも名刺を差し出す

という事は初対面。

初対面にも関わらず、

場は和み、その効果てき面。

結局3年経過した現在でも

「トキワらしさ」の一つとして

引き続き使用している。

 

4)  日本赤十字社へ記念社資を寄付

 

 

創業70周年、そして80周年同様、

今回の90周年も「記念社資」として

日本赤十字社へ活動資金を寄付。

 

5) 本社及び物流センター設備改修

 

これまで手付かずだった場所を

何ヵ所か「メンテナンス」

 

これら5つの事業は、

何とか無事、

実行する事が出来た。

 

ただ、私も楽しみにしていた

もう一つ。

それは…。

現在は退職しているものの

これまでトキワを支えてくれた

勤続10年以上で、

「円満退社」の元社員にも

声をかけた「記念食事会」

この開催だけは、

感染拡大の状況下から

残念ながら

中止を余儀なくされた。

楽しみにしていた

元社員もいたので、

いつの日か何らかの形で

改めて開催したいと

考えている。

 

この新型コロナウイルスの

感染拡大は、

トキワにとっても

平素の営業スタイルはもちろん

業績にも影響を与えた事は

否めない。

 

しかし一方で、

毎週木曜日に約3ケ月間費やして

会社内を整理整頓。

不要な資料の破棄という

平素、中々できない事に

着手することも出来た。

その一環として、

これまでの「社長室」を

大きく模様替え。

ちょっとした「博物館」に。

 

4年前の私の自宅転居によって、

お蔵入りしていた

私がこれまでお付き合いして来た

プロ野球関係者や

大相撲関係者から寄贈された

お金では買えない貴重な品々を展示。

 

 プロ野球関係者から寄贈された品々

 

  大相撲関係者から寄贈された品々

 

こんにち、

来客には大変興味を持って

いただいている。

 

そこにビッグな品が仲間入り。

それは、

この創業90周年のお祝いに

40年以上のお付き合いがある

大相撲元水戸泉の錦戸親方始め、

高砂部屋所属十両格行司(当時)

木村朝之助さん、

そして同じく十両呼出しの

呼出し邦夫さん。

このお三方から

トキワの社名を染め抜いた幟付きの

「相撲櫓(やぐら)」の模型を

サプライズで頂戴した。

 

 

この「相撲櫓(やぐら)」。

大相撲本場所開催中、

国技館など相撲場の正面に

それこそ前述の板番付と共に

設置され、

この櫓の上で呼出しさんが

太鼓を叩く。

その模型である。

 

現在の相撲界では、

今回寄贈してくれた三人の一人

呼出し邦夫さんが

唯一の作り手。

全てが手作りで、

前出の朝之助さんが

相撲字で「板番付」「取組」を

信じられないほど

小さな文字で筆耕、

それはまさに「修練の賜物」。

板番付中央には、

トキワの名も入るという

大変貴重な品。

製作に約3ケ月を要したという。

 

約50年前、

父も大相撲関係者より頂戴しており、

大相撲ファンの私としては

自分の時代にも

いただけるなどとは

思ってもいなかった。

 

そんな波乱万丈の2020年、

「コロナ禍の90周年」だった。

 

(つづく)