第六章 2008年~2019年 

         (社長業第三期)

 

  (90) トキワ の C  I ⑥

    ( エントランスホール )

 

トキワ90余年の歴史上、

 C I を導入する際には

必ず「物語」が存在し、

ありがたいことに

「スペシャリスト」と呼ばれる

専門家がフレンドリーな関係から

無償提供という形で

協力していただけた事は、

トキワの「強み」であり

「誇り」でもある。

そしてそれらの作品は

永久に大切にしなくては

いけないと心している。

 

今回は、

この項でこれまで

5回にわたり紹介してきた

スペシャリストたちから

トキワへ寄贈された

CI関連が集結された

本社エントランスホールを

披露したい。

 

このエントランスホールこそ

トキワの C I そのもので、

その 歴史を物語る空間を

是非、ご覧いただきたい。

 

 〇 エントランスホール

 

 

社章パネル

 2005年8月8日。

 本社移転祝いに

 親子3代にわたる長いお付き合いの

 亀戸ゴム工業さんからの寄贈。

 

「誠信」オブジェ

 2011年4月14日。

 中国の淮安(ファイアン)へ

 生産の打ち合わせに行った時の事、

 その会社正門に立ちはだかる

 石造りの巨大オブジェ。

 

   張社長と記念撮影

 

この握手を象ったオブジェは、

まさにトキワの

「共存共栄」の精神を

表現するに相応しいオブジェだった。

そしてこれを見た私の感動の瞬間を

現地でトキワの製品の生産を

コントロールする

Mr.カール・リー

見逃さなかった。

その1年後、

2012年4月8日来日した彼は、

何と無垢の木彫りで

全く同じ象りをした

このミニチュアを製作、

持参してくれた。

ミニチュアと言っても無垢の材木、

それはかなりの重さがあり、

海外から持参するにも

容易じゃなかったと察する。

 

  Mr.カール・リーと

 

(余 談)

社章(写真1枚目)に写る

オブジェの下の

「お福さん」の置物。

飲食店などで「商売繁盛」の

ご利益がある縁起物として知られる

招き猫。

先代の父はこの置物が

とてもお気に入りで

我が家の玄関に飾っていた。

「人が集まるような家や会社で

 なくてはいけない。」

父も創業者(祖父)もそれは口癖だった。

「人寄せ好きの萩原家」の所以である。

現在私はこの置物を会社へ移動、

エントランスに飾っている。

 

正面左手には、

語り継がれたトキワの歴史が…。

 

 

トキワに残された最も古い写真

 昭和14(1939)年当時のもので

 東京都北区下十条(現在の東十条)の

 創業店舗前。

 創業時の屋号「常盤防水布商会」

 右から書かれた看板が歴史を物語る。

 

 その写真にぶら下がる社旗。

・2代目社名「常盤雨衣株式会社」社旗

  招待会を頻繁に開催していたトキワ。

  その会合での目印や集合写真に

  欠かせなかった社旗。

 

  観劇場の明治座、歌舞伎座、

    東宝劇場、新宿コマ劇場、新橋演舞場

  当時の大相撲東京場所が

  開催されていた蔵前国技館。

    福島、熱海、伊東、湯河原、有馬

    などの温泉地。

  更に京都、奈良にも立ち寄った

    大阪万博、沖縄海洋博。

    そして思い出したくもない(苦笑)

  東京ディズニーランド。

  海外は香港・マカオ、台湾、

 シンガポール、韓国、フィリピン。

これらの 数多くの場所を

お供した「社旗」である。

 

正面右手は。

 

 

坂本松壽先生による

・「誠信・トキワスタイル」書

 

タナカミノル先生による

トキワのマスコットキャラクター

・   画

 

更にエントランス左横、

商談スペースから

給湯室への入り口に掛る

萩原東邨先生筆耕、

・「熱き一善」暖簾

 

 

 

会社というのは、

それぞれ様々な形で

CIを表現するが、

これだけ多くの、

一流のスペシャリストの

手が入り、

しかも平素トキワとは、

何ら仕事で繋がっている

人達ではない。

だからそこには、

色々な物語が潜んでいる。

そんな会社も中々ないだろう。

 

そしてこのスペシャリストたちには

共通する想いがある。

それは、

「人のお役に立ちたい」

 

これはトキワが、そして萩原家が

継承してきた人間関係において、

とても重要な事。

そんな共通点が相通じて、

普通では有り得ない

このような関係の

お付き合いが成立し、

継続していると

私は確信している。

 

私は世の人々それぞれが

互いにこの気持ちを抱けば、

もっと世の中が豊かになると

思っている…。

現代はあまりに自分の事ばかり

考える人が多過ぎる。

だからこのような気持ちを持つ

スペシャリストたちから

頂戴したこれらの作品は

トキワへの「エールの印」と

私は強く受け止めている。

 

トキワでは毎週月曜日、

始業時間が通常よりも1時間早い。

それは全社で社内清掃を

行うためである。

そしてこのエントランスホールは

移転以来18年間、

ずっと私の担当。

いや、誰に任すわけにもいかない。

それはこのスペシャリストたちに、

感謝とリスペクトを

私自身が生涯忘れてはならない

という強い気持ちの表れで、

それらの品々を心を込めて磨く。

 

この C I の品々と共に

未来永劫に承継される

会社でなくてはならないと

肝に銘じながら…。

 

「100年企業」を目指して!

 

(第六章・ おわり)