第六章 2008年~2019年 

          (社長業第三期)

 

(87)トキワ の C  I ③

  (書家:坂本松壽先生)

 

トキワ90余年の歴史上、

 C I を導入する際には

必ず「物語」が存在し、

ありがたいことに

「スペシャリスト」と呼ばれる

専門家の方々が

フレンドリーな関係から

無償提供という形で

協力していただけた事は、

トキワの「強み」であり

「誇り」でもある。

それらの作品は

永久に大切にしなくては

いけないと心している。

 

  坂本 松壽 先生。

 

坂本松壽先生(以下、松壽先生)は

トキワの元社員坂本勝康君のお母様。

新卒で14年間在職した 坂本君は

柔道整復師の国家試験を目指し

9年前に退社。

その後、試験に合格した彼は

現在、私の橋渡しで

介護施設(デーサービス)に

勤務している。

 

その彼のお母様の

書家・松壽先生が

かつて銀座で開催した

個展に伺った際、

私はその独特な

「感性豊かな書」と出会い、

その場で早速、

作品を購入させていただいた。

 

    購入した書(松壽先生と)

 

それから何年も経過したある時。

トキワが持つ

「雨先案内人」の商標を

今後「カジュアルブランド」として

位置付け、

そのブランドに限って使用する

商標にしようと、

社内で話し合いがもたれた。

この商標を申請、登録した時には

標準書体でしていた事から

改めてこのブランドに相応しい

書体を定めようという事になり、

私は松壽先生の独特な筆耕が

すぐに頭に浮かんだ。

 

そこで早速、

元社員の坂本君を通じて

お願いした作品が、

 

 

これまでのトキワには見られない

この書体。

対外的にも好評で

ある時、私がゴルフ場で

一緒にラウンドした

その日初対面の方が

このネーミングと書体を

知っていたほどだった。

松壽先生は、

「 社長、

    書き物で私がお役に立てるなら

    いつでもおっしゃって下さい 」

口癖のように発するその言葉に

私はついつい甘えて

色々お願いをしている(苦笑)

 

トキワの本社エントランスに

毎年掲げる新年の書。

 

 

又、つい先日

完成したばかりの

新しいトキワの「会社案内」を

送らせていただいたところ

その文中にある「誠信」という

トキワのあるべき姿を言語化した

「トキワスタイル」の文章を筆耕、

パネルにして

プレゼントしてくださった。

 

早速、本社エントランスに

掲げさせていただいた。

 

現在のトキワでは、

「トキワスタイル」と題する

この文章。

33年前、あの艱難辛苦の

社長就任時、

私が試行錯誤しながら作成した

当時は会社の「基本理念」と

唱えていたもの。

感慨もひとしおである…。

 

又、会社のみならず、

私個人にもこれまで多くの書を

筆耕いただいた。

 

中でも私のお気に入り…、

 

一読してから

自宅を出発するのが

毎朝、私のルーティンのひとつ。

 

既に退職した社員が

自分の母親をかつて勤めた会社へ紹介、

その母親は、

かつて息子が勤めた会社へ

ボランテアの尽力。

この繋がりこそ

「トキワらしさ」だと

私は思っている。

 

又、柔道整復師の坂本君は、

現在月に1度、

私の自宅に来てくれて

たっぷり90分間、

私の身体をケアしてくれている。

しかも施術代は受取れないと…。

 

残念ながらトキワで

花を開かせてあげる事は

出来なかったが、

彼のこの第二の人生が

豊かなものになるよう

私は出来る限りの

フォローを心掛けている。

 

親子揃って

大変お世話になっている

スペシャリストである。

 

(つづく)