第六章 2008年~2019年 

          (社長業第三期)

 

(83) サンリオ社とコラボ

 

公的組織や団体との新たな繋がりは

ほぼ次世代が主導と述べたが

「展示会への出展」も同様だった。

 

トキワがかつて

問屋業への販売が主体だった時代、

各問屋さんは定期的に

自社で展示会を開催していた。

そこへ我々メーカーがお手伝い。

来客への商品説明や

売り込みをかける。

他方で現在の展示会は

第三者の専門家が会場を借りて主催、

出展社を募り、

そこへ各社がエントリーする。

 

専務(息子)が

「商工会議所」、

「まちみらい千代田」、

「東京都の傘下団体」など

公的組織や団体との交流を

盛んに行っていたことから

各種展示会出展の話を

持ってきた。

遅まきながら、

トキワが展示会へ出展を

始めたのは2018年。

翌年には色々ノウハウも覚え、

装飾品や小道具なども購入、

「幕張メッセ」、

「東京ビックサイト」など

大規模会場への出展も始めた。

 

2019年2月。

とある展示会で

ビッグカンパニーからお声が掛る。

キャラクターの会社で知られる

「株式会社サンリオ」

(以下サンリオ社)

 

サンリオ社は、

トキワがサイネージによって流す

「完全防水3つのこだわり」画像に

驚きと共に興味を抱き、

来場していたサンリオ社の社員が

社内に持ち帰り報告。

社内会議や調査を経て、

トキワへのオファーに繋がった。

サンリオキャラクターと

トキワの「雨先案内人」ブランドを

コラボレーション(以下コラボ)した

「ライセンス契約」である。

 

この「ライセンス契約」とは、

サンリオ社が持つ400を超える

オリジナルキャラクターを

トキワが商品に付けて販売、

そのロイヤリティを

サンリオ社へ支払うという契約。

この契約は2019年6月に

両社の間で正式に締結された。

 

トキワ90年の歴史上初めての

キャラクターとのコラボ契約だった。

サンリオ社の持つ

キャラクターの中には

世界的認知度の高い

あのビッグキャラクター、

「ハローキティ」の存在があり、

まずはそのハローキティと

コロボすることから出発。

 

コラボ第1弾は、

2019年9月発売の

「サイクルレインコート」

 

 

第2弾は、

2021年4月発売の

「レインジャケット」

 

 

翌5月には第3弾の

「防水バック」も発売。

 

 

いずれも

ハローキティ × 雨先案内人

のコラボ企画。

 

 

そしてこの商品群を、

インターネットショッピングサイト

「楽天」の中の「サンリオゾーン」という、

サンリオ社はじめ、

サンリオ社のキャラクターを取り扱う

会社の商品がそろう

いわばサンリオファンの

「たまり場」的存在の

専門サイトでも販売を始めた。

 

トキワにとって

この「キャラクタービジネス」は、

売上のみならず「社会的信用」という

相乗効果があった。

キャラクタービジネスは

我が国において

1兆5,000~6,000億市場と

言われている。

サンリオ社の

ハローキティとのコラボは

これまでトキワを全く知らなかった

そのキャラクターファンに

トキワの存在と商品、

更に歴史を知っていただく

二次効果があった。

そしてこのファン層は

けして子供に限ったことではなく

子供の頃のキティファンが

そのまま年を重ねた今も尚、

ファンであり続けるケースが

とても多く、

それは老若にわたる。

これは1974年に

「ハローキティ」が誕生してから

既に半世紀近く経過している

ことからも理解できる。

 

又、サンリオ社から指導された

「キャラクタービジネスのノウハウ」、

商品の「デザイン」や「カラ-選定」、

それらのアドバイスは

新参者のトキワにとって、

とても心強かった。

 

このケースに見られるように

展示会への出展効果とは

思いがけない業界から声が掛り

取引や新しい販路開拓へと

進展していくことである。

 

トキワの

キャラクタービジネスへの進出も

新たな販路開拓につながった。

 

(つづく)