<TOKIKO NOW>『福島県楢葉町に行ってきました!』 | 加藤登紀子オフィシャルブログ「Tokiko Kiss」Powered by Ameba

<TOKIKO NOW>『福島県楢葉町に行ってきました!』

12日土曜日は、ポカポカな小春日和になり、楢葉町のコンサート会場、天竜崎スポーツ公園は夢のような美しい日になりました。
ただあちこちに除染された放射線の高い土が積まれているのが目に焼き付き、津波被害で壊れたままになっている海岸線を見ると、まだまだ震災の傷跡が癒えていないことに胸が痛みました。

福島第一原発から20キロ圏内 のこの街が、帰還できる地域になったのは去年、9月。1年経っても、戻っているのは800人弱。人口の1割にもなりません。
戻ったのはお年寄りが多く、子供達や若い世代が戻ってこられる可能性は低いようです。


でもこの日、コンサートに合わせて家族連れもたくさん会場に来てくれていました。

街への帰還を急ぐ政府のやり方に批判もあります。県外を含む避難生活への補償が打ち切られる心配や、家族分断の精神的な苦痛を考えると、私もこのや り方がいいと思っているわけではありません。ただ、どんな選択をした人にも今できる精一杯の応援をしていかなければ、の思いがあります。

金曜の夜放送された「紅の豚」を見た人からのたってのリクエストで、「さくらんぼの実る頃」「時には昔の話を」から歌い出した時、大きな拍手と笑顔で迎えてくれた一人一人の顔を見ていたら、もう胸がいっぱい!


「時には昔の話を」の三番の歌詞、「一枚残った写真をごらんよ、髭面の男は君だね。何処にいるのか今ではわからない 、友達も幾人かいるけど」と、歌おうとして声が震えてしまい、絶句しそうでした。

今も、昨日の一部始終を思い出し、もっともっと伝えたい思いがあったのに、うまく言葉にできなかったようで悶々とします。

福島の子供達はみんなで守ります!日本中の何処ででも大切にします!だから安心して!と伝えたかったな。故郷に帰れなくて、お婆ちゃんを寂しがらせても、「幸せでいる事が何よりの親孝行なのよ」と。

みなさんの表情からも、現状はとっても大変だ、という事が伝わってきます。その表情のひとつひとつにこれから答えて行かなくちゃ、と思う気持ちで一杯です。

 

日曜日の朝、NHKで「10年後のあなたへの手紙」をテーマに飯館村の人たちのことを放送してましたね。何処とも合併せず独自の村作りを目指した人たちの10年前の思いが溢れていて、泣けました。
震災の年、全村避難の直前の5月25日に、私が歌った飯館中学校もでてきて、釘付けで最後まで番組を見ました。ここも1年後に復帰を目指しているそうですが、 残念ながら帰還が本当の答えにならないかもしれない 事も、十分考えなくては行けないですね。

娘のYaeも震災前から飯館の「までい大使」をしていて、福島支援ライブをずっと続けて来ているのですが驚いたのは 、昨日のコンサートに来ていた人から、「娘さんの声と似てますね」と言われたの!Yaeの歌を聞いて、時々昔の私の声と似てる、と思ったことはあるけど、今の私も?とちょっと嬉しかったな。

Yaeの15周年のコンサートが今週末、土曜日に勝浦であります。私もほんの少し出演するのでよかったら、いらしてください!

 

さあ、その翌日の11月20日の夜7時半からNHKBSで「新BSにっぽんの歌」のスペシャルステージに出演。森昌子さんとの充実したジョイントを是非見てください。
その後の9時からは、BS朝日で美空ひばりさんの特番「心にのこる美空ひばり名曲物語」に出演。弾き語りで「愛燦燦」「さくらの唄」を歌 っています。これもお見逃しなく!

そうだ!今晩BS TBS「由紀さおりの素敵な音楽館2時間スペシャル」(19:00~20:54)があります!!まずはこちらを!


11月後半から12月にかけていろんな番組があります。そして「ほろ酔いコンサート」にまっしぐらです。今年の「ほろ酔いコンサート」はパリ公演の報告と 永六輔さんの遺作「ともだちあなた戦う心」の発売と、旬な話題もいっぱいですが、「ほろ酔い」のスタートを振り返って懐かしい歌もいっぱい歌いたいです。 楽しみにしていてください。

登紀子