<TOKIKO NOW>『お盆の初日、こんな日に伊方原発再稼働!』
オリンピックにワクワクの毎日。お盆の帰省ラッシュで沸き返る日。
こんな時に「粛々」と進められた伊方原発3号機の再稼働。
残念で、悔しくて、怖ろしい。
<2016.4.29 朝日新聞朝刊掲載>
熊本地震の震源地は本震の震源地、熊本県益城町から南西にも伸びた。その延長上にある鹿児島県の川内原発も止められず、現在稼働している。
1ヶ月前の知事選で選ばれた鹿児島県三反園知事は、この原発を一時停止し、点検することを、電力会社に申し入れている。
一方、この猛暑の中で、川内原発の他はほとんど原発が稼働していなくても電力量は足りている。去年までは夏の間、消費電力量が発電量の何パーセントに達しているか、という数字を出して省エネを呼びかけていたが、今年はそれもない。
危険であることを承知で、原発を動かしてしまう日本。世界から見ても、摩訶不思議な国に見えることだろう。地震地域に原発を建設しているのは、日本だけだ。
1970年代から反対してきたのに、いつの間にか54基もの原発建設を許してしまったのか、今改めて唖然とする。
2011年3月11日の東日本大震災で福島原発が大事故に至った事で、安全神話に騙されていた事を知り、社会全体が原発反対に向かった。なのに今は、その危険性を知った上での原発再稼働だ。
国と言うものの怖さ、暴力性、非条理を、まだ骨身にしていない若者たちには、少しでも現実に触れてほしい、と思う。
沖縄では高江のヘリパット建設で国が猛威をふるっている。人々の思いや生身を踏みにじる姿を、メディアは報道しないけど、知らない、では済まない事だと思う。
無力感はいつもある。でも無力だからと言って、投げ出して良い、という事にはならない。
毎日オリンピックを見て、最後の最後まで戦うアスリートの姿に胸打たれる。
勝つものがあれば、そこに敗れるものがある、という事もしっかり胸に焼き付けておかなければない。
国を向こうに回して簡単に勝てるわけがない、けど闘った事には大きな意味がある事を、沖縄の人にも伝えたいし、多分メディアには出ないけど、伊方原発の再稼働に反対している人にも伝えたい。
みんなそれぞれの場所で、決して力を失わないように、未来を見失わないように踏ん張っていこう!
「山の日」の8月11日には岐阜県の木曽川のほとりの八百津町での野外イベント「RAINBOW CHILD 2020」で歌いました。外遊びをできないでいる福島の子供達の保養を進めてきた若者たちが2年前から始めた素敵なイベント。小さい子供連れの家族がのび のびと陽を浴びている姿は本当に気持ちよかった。野球場の芝生の上で、思い切り歌った素晴らしい1日でした。
そして、いよいよ鴨川での「ラブ・ファーマーズ」のレコーディングです。
16日から18日まで、大友良英さん、フアンキストのみんな、そして声で参加するたくさんの人が来てくれます。楽しみだ!
来週末の20日には「立山山麓音楽祭2016」で歌います。
登紀子