京浜急行電鉄 「旧・湘南富岡駅」(現・京急富岡駅) | T+K@創作列車

京浜急行電鉄 「旧・湘南富岡駅」(現・京急富岡駅)

 今日は、京浜急行電鉄の「旧・湘南富岡駅」(現・京急富岡駅)をご紹介したいと思います。


 この駅は、京急本線の駅で、横浜市の金沢区にありますが、過去に2回ほど移転をしています。


 簡単に年表にまとめてみます。


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【初代】

 1930年(昭和5)7月10日

   「湘南富岡」仮駅として、現在の「京急富岡駅」の位置に開業

 1931年(昭和6)5月1日

   正式な駅に昇格

 時期不詳(戦時中)

   営業休止 (←理由は不明)

 1947年(昭和22)1月10日

   正式に廃止


【二代目】

 1947年(昭和22)3月1日

   「湘南富岡駅」として開業

     ・「初代・湘南富岡駅」からは、品川方向に約900mの位置(現・鳥見塚バス停付近)

     ・米軍富岡通信隊に通う定期券客のみを扱う

     ・朝夕のラッシュ時のみ列車が停車

 1948年(昭和23)春ごろ

   一般旅客の取り扱い開始

   終日、列車が停車するようになる

 1955年(昭和30)11月30日

   廃止(三代目へ移転)


【三代目】

 1955年(昭和30)12月1日

   「湘南富岡駅」として現在の「京急富岡駅」の位置に開業

 1963年(昭和38)11月1日

   「京浜富岡」に改称

 1987年(昭和62)6月1日

   「京急富岡」に改称

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 さすがに、「初代」の写真はないのですが、「二代目」の写真が、この本↓↓↓の中にありました。


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↑「京急の駅 今昔・昭和の面影」

 著者・佐藤良介 発行・JTBパブリッシング 定価・1800円(税別)

 この本は、京急の駅が昔の写真とともに紹介されており、京急の駅の歴史を知る上では大変良い本だと思います。



 この本の112ページに「二代目・湘南富岡駅」が写真入りで紹介されています。


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↑「二代目・湘南富岡駅」

 ホームは相対式で、下り線側に駅舎があり、浦賀方に構内踏切があったとのことです。


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↑かつて(1947年~1955年)「二代目・湘南富岡駅」があった位置の現在の様子です。

 京急富岡駅側から杉田駅方向へ向いています。

 残念ながら、駅があったことを示す痕跡は全くありません。


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↑一つ上の写真の位置を通過する「快特」(京急久里浜行き) 600形


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↑同じ位置を杉田駅側から京急富岡駅方向へ向きました。


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↑一つ上の写真の位置を通過する「快特」(泉岳寺行き) 2100形


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↑青砥トンネルを抜け、かつての「二代目・湘南富岡駅」付近を通過する普通列車(金沢文庫行き) 旧1000形


 今度は、走行中の列車からこの地点を見てみました。


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↑「二代目・湘南富岡駅」の地点

 下り普通列車の車内前方より写しました。

 車内からも、二代目の湘南富岡駅の痕跡は何も確認できませんでした。



 そして、三代目・湘南富岡駅(現・京急富岡駅)は、以下の写真のような駅です。


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↑現・京急富岡駅 普通列車 浦賀行き 800形


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↑現・京急富岡駅 駅名標


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↑現・京急富岡駅 右-下りホーム、左-上りホーム


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↑現・京急富岡駅 入口



 二代目から三代目へ移転された理由は、二代目が富岡の集落から離れていたこと、また京急が分譲をはじめた住宅地への利便性を考慮したためだったそうです。


 このように、「湘南富岡駅」は移転され、駅名も「京浜富岡」を経て、現在の「京急富岡」になりました。


 知らなければなんでもないことですが、私も鉄道ファンですから、昔ここに駅があったと言われると、通過する際にも気になってしまいます。

 ローカルな話で恐縮ですが、かつて「二代目・湘南富岡駅」があった場所も、現在では宅地化されており、国道16号線の「鳥見塚」バス停は、他のバス停に比べても利用客が多いように思います。


 昔の「二代目・湘南富岡駅」の写真を見ながら、ここにも駅があったら・・と、そんなことをつい夢想してしまいます。



 なお、余談ですが、2回も移転した駅の例としては、横浜駅をあげることもできます。

 横浜駅は、1872年に、日本初の鉄道として新橋-横浜 間が開業したときからの歴史がありますが、そのときの横浜駅は現在の桜木町駅であったのは有名な話です。その後、現在の地下鉄高島町駅付近に移転し、されに現在の位置に移転したという歴史を経ています。つまり、現在の横浜駅は三代目ということになります。


 日本の鉄道には長い歴史があります。駅一つをとってみても、知られざる歴史が隠されているかもしれません。