目に映るもの全てを誓いへ | 雑踏水族館 -Crowd Aquarium-

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日々の出来事や創作物を展開しています
是非、覗いていってください


永遠なんてない事は、知っていた



小学生の時のこと

私はキミより背が高かった

キミはよく泣いていた

ガキ大将みたいな子に苛められて



私は結構力は強い方だったから、そのガキ大将に喧嘩を仕掛けた事があった

大体互角で、最後は先生に止められた

よく私とガキ大将は一緒に先生に怒られた

でも、先生によってキミに謝りに来るガキ大将を見ている時は、私が勝ったような気がした


君は体が弱いと聞いていた

だから、私が守らなきゃ

そう思っていた





中学生の時のこと

キミは病気を患い、入院した

大したことない、そう聞いていた


ガキ大将は柄の悪そうな奴等といつも一緒

周りの人たちもつい道を譲ってしまうような、そんな厳つい雰囲気を醸し出していた

私は退けたりしなかったけど


小学生の時と違い、喧嘩をするようなことはなかった

その代わり、向こうが舌打ちをし、私がそれを睨む

そんな事をしていた


キミは段々衰弱していった

私が心配していると、キミは、大丈夫だから、そう言って笑う

一度叫んでしまったことがあった

“何が大丈夫なのよ!”

キミは驚いていたけど、すぐ笑って口に人差し指を当てた




そして、中学三年生の冬

卒業式に、キミはいた

大変そうだったけど、無事に終えることができた


私は第一志望の高校に受かっていた

合格したよ

そう言うと、キミは喜んでくれた

おめでとう、そう言って笑っていた



“ありがとう”



キミのその一言が何故今出たのか一瞬分からなかった

でも、すぐにその意味を知ることになった


キミは、白いベッドに倒れ込んだ

近くにあった医療ドラマでよく見る機会は、キミの危機を知らせようとけたたましく叫んでいた

ナースコールを押すと、先生方が入ってきた

緊急手術が行われたが、キミと交わせた最後の一言は「ありがとう」だった




私は守れなかった

キミを、守ることができなかった





キミを送る式には、あのガキ大将も来ていた

すごく泣いていた

普段では想像もつかないほど


そんな一面もあったのね

不謹慎ではあったけれど、少し微笑んでしまった




高校生の今

私はキミの分も生きる

キミが見ることの出来なかった世界を見る

今度こそ、この誓いは果たしてみせるから