空から見下ろす世界はきっと | 雑踏水族館 -Crowd Aquarium-

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またここに来てしまった

空が見えるこの場所に


僕は蹲って、下を眺めた

人が粒のように見える

空が見ている僕たちって、どれだけ小さいんだろう


きっと普段煩いと思う喧騒も、身近で起こる争いも、あそこから見れば小さな事なんだろう

僕が受けた罵声も、僕が負った痣も

きっと空から見れば小さい事なんだろう


空に行けば、もう何も怖くないのかな

そう考えると、すごくあそこに行きたくなる

ここでどれだけ跳んでも、飛んでいくことはできない


この痛い痛い世界に

この暗い暗い世界に

この辛い辛い世界に


僕が生まれた意味は何なのだろう

人間は何億人と生きている

一人欠けたところでいくらでも代わりはいる

勿論、僕もその一人


だから僕が居なくなったって、何も変わらない

世界は、回り続ける


生きることに何の意味がある?

就きたくもない仕事に就いて、仕事をして

それを繰り返して死んでいく


そこに何の意味があるの?

だったら今ここで死んだって同じじゃないか

時が経てば、誰の記憶にも存在しなくなる


この世界にこんな思いをして生きる価値があるの?


誰でもいいから教えてよ

教えてよ…教えてよ

ふと雨が降り出した

僕が顔を上げると、空は晴れている

すぐ止むだろう、僕はそう思った


空から見れば、この世界なんて小さいんだ

だから、もういいじゃないか


僕は一歩踏み出す決意をした

その時思ったんだ


僕が考えていることは、本当は小さなことなんだって

死んだ人は天に昇れるっていう話

きっとそれは精一杯生きたご褒美なんだ


この世界がいかに小さいものかを知って、そしてまた生み落とされる

小さな世界に生まれる、大きな幸せを見つけ出すために

見つからないかもしれないけど、一心不乱に探す


この雨は、こんな僕のために流してくれた涙かな

そう考えると、僕は一つ幸せを見つけられたんだね

辛い事の後に、きっと幸せは待っている


僕がまた辛くなった時は

その時は、また空を見上げることを許してね

僕が命を真っ当に終える事ができるまで