ねえ、こっち向いてよ
どんなに話しかけても、キミは振り向くことはない
崩れてしまうなら、マシだったのかもね
灰色に染まった世界で生きていくことの方が
何で私の声がキミに届かないの
どれだけ叫んでも、喚いても、キミは私に微笑みかけてはくれない
確かに崩れなかった、でも治ることもなかった
白とも黒ともつかないまま、灰色に迷い込んだ
私は幸せだったの?
それとも不幸だったの?
キミは幸せだったの?
それとも不幸だったの?
それさえも分からない
もう嫌、けれどそれは許されない
灰色に幽閉された私はもうキミに触れられない
けれど、きっとキミもそうなのかもね
私と同じ、キミもまた灰色に閉じ込められた一人
私はまだキミの後を追う
無駄と分かっていても話しかける
だってこのまま終わりたくなんてない
ふと気付いた
キミはわたしの元へ来ていた
「 。」
キミの口から吐き出された白
その瞬間、灰色が崩れていくのを感じた
キミは私には微笑んでくれなかったけど、わたしには微笑んでくれたね
ありがとう、嬉しかった
キミと私の目から流れたのは、透明な水
終わりの合図のように、白も黒も灰色も洗い流されていく
私が求めたものは灰色でも黒でも、そして白でもなかった
何色にも染まっていない透明
そこから全てを再生しましょう
次は、きっと大丈夫
〝さようなら〟
そう一言キミに囁き、私は青へと続く階段を上った
透明な心をもって
その時、キミが私の方を振り返った気がした