今回は、ガレージキット塗装での通常レジンキットと
3Dプリンタ出力キットとの処理やら注意点などを記事にしました。
自分もまだまだ勉強中なので、間違ってる箇所もあるかと思います。
実際にやってみて、参考にならない部分はバッサリスルーしてください
そこは間違ってるよと思っても仏の心でスルーしてください
自分も本格的にガレージキットの塗装始めてまだ2年ちょっとなんですが、
(お遊びレベルなら昔からやってました)
最近は3Dプリンタの価格が落ちたおかげで、個人でキットを出力して
そのままレジンガレキキットとして販売してる原型師さんも増えてきました。
で、通常のレジンキットと3Dプリンタで出力したUV硬化のレジンキットとの
分かりやすい違いは、3Dプリンタの物は積層跡と脆さになります。
*上の写真のキットは今年作った3Dプリンタ出力の物ですが、こちらは
ものすごく精度が高い良キットで、積層痕もほぼなく、パーツ精度も高かったです。
ガレージキット自体、これまであまり知識が無かったので、
ガレキはとりあえずなんでも離型剤を取ればいいと思い込んでて、
写真のキットを制作する前に、別の小型の3Dプリンタ出力キットを
なんにも考えずに煮てしまって、キットがボロボロになった初歩的なミスを
おかしていたので、このキットはいろいろ調べてから塗装に入りました。
失敗は成功のもとってことで
3Dプリンタ出力キットは離型剤が付着してませんので、
つけ置きも煮る工程も必要ありません。
出力したすぐのキットは洗浄が必要ですが、流通しているキットは
ほぼぜんぶ初期の洗浄は終えています。(でないと表面ベタベタで梱包もできないので)
じゃあいきなり塗装できるし楽じゃないかと思うかもしれませんが、
そういうわけにもいきません。
キットを出力した時に付いてくるサポート材(ガンプラでいうランナー部分)
を切り離した箇所の処理や、表面処理は通常のレジンキットと同じく必要です。
ここで問題になってくるのは、3Dプリンタ出力キットの脆さです。
通常レジンキットは、熱湯で煮ようが溶剤にドボンしようがよほど雑に扱わないかぎりは壊れることはないのですが、3Dプリンタ出力キットは個体差はあるにせよ、
通常レジンキットよりは確実に脆いです。
3Dプリンタは積層で形を成型していく仕組みなので、どんなに積層跡が目立たない物でも薄い層の積み重ねで形成されているためキットはクラックが入りやすいです。
現在販売されているキットでも、購入してから1年ほど経過して出してみたら
ボロボロになってた、もしくはネチャネチャに表面が溶けてたということもじゅうぶん有り得ます。
かといって、製作者に「不良品かよ!」とすぐクレーム入れてはいけません。
元々そういう物なのです。
技術の進歩が怖ろしく早い3Dプリンタの世界なので、すぐにそういう問題も解決するかとは期待していますが、現時点ではやはりまだまだ通常レジンキットとは別物と考えたほうがいいと思います。
↓ 下のような通常レジンキットなら失敗しても溶剤ドボン可能
↓こういう感じで煮ちゃうと3D出力キットは死にます💀
ディーラーさんのメリットは、少量をすぐに生産して売りにだせる、コストダウンできる、修正がしやすいなど、良い点が多いですが、それでも商品レベルまでもっていくにはこれまで並々ならぬ努力があったと思いますし、現時点で発売されている物で
価格が1万円を超えるようなキットは、すでにできることはやりきった商品ですので、
あとはそれを塗装して完成させる側の責任になってきます。
(さすがに最初からパーツが折れてるとかなら交換してくれると思います)
通常レジンキットでも、気泡やバリの処理は購入した側でどうにかするのが
ガレージキットの世界の暗黙のルールですので、ガンプラのような完璧な物と
同じに考えたらダメです
要するにもともとクソめんどくさい物なのです
なので、オークションなどで出品されている完成品でも高額に競り上がっている物は
それだけ手間がかかっていると思ってください。
で、具体的に3Dプリンタ出力キットはどうやって塗装したらいいのかですが、
基本はどうやって塗っても良いんですが、どうせ作るなら失敗は避けたいです。
そこで大事になってくるのは、とにかく塗装に入る前の下地処理になります。
3Dプリンタ出力キットの弱点としては、積層によるクラックが起きやすいこと。
紫外線による経年劣化も早いです。
まず、購入したキットはもう1回UV硬化させると強度が増します。
すぐに作らずに保管する場合も、この作業は先にしといたほうが良いです。
UVライトを用意してください。
最近はパーツ全体をカバーできるネイル用のUVライトでも2~3千円で買えます。
1/6サイズくらいまでならそれでいけると思います。
洗浄がちゃんとできてないキットで、表面がまだネチャネチャしている物も、
エタノール系溶剤で拭くより、UVライトで再硬化させたほうが早いです。
↓自分が使ってるネイル用UVライト、タイムセールで2000円くらいで買った物です。
安かったですが、数百円の携帯型ライトよりかなり強力です。
次に、表面処理ですが、これは通常レジンキットとそこまで変わりありません。
ただ積層跡が目立つようならなるべくキレイに表面を磨いたほうが
後々、塗装が楽になります。
3Dキットは粘土造形でなく、PCで3DCGで造形した物がほとんどですので、
モールドなどもかなり細かく入っている物が多いです。
服のシワだけでなく、材質もモールドが入ってたりしますので、削りすぎて
モールドを消さないよう注意。(これは通常レジンキットでも同じ)
あと、時間短縮とコストダウンのためにパーツ内部が空洞のキットがありますが、
むしろこの空洞があるキットは補強するチャンスです。
*2023年の追記・時間短縮のための空洞と書きましたが、少し補足します。
3Dプリンター出力のUV硬化レジンは中まで紫外線が届かなくて
ちゃんと硬化しない場合があるので、空洞処理をしていることを
後からしりました。以前購入して失敗したキットは、空洞処理が
していなかったせいで中までちゃんと硬化していなくて、塗装終わってから
小さなクラックからまだドロドロの状態のレジン液が漏れだしてきました。
これを防ぐために3Dプリンター出力キットは中が空洞になっている物が
多いです。逆にこの処置をしていないキットは注意が必要です。
これまで購入した物でも数体、この処置がしてなかったせいで
完成できなかった物がありました。お値段けっこうしたのに…。
1/6サイズくらいの物でいっさい空洞のないキットは危ないです。
こういう理由もあってか、現在はプロの塗装師も造形作家も
もともとの通常レジンに戻っている傾向が目立ちますね(2023年現在)
ヤフオク出品しても、3Dプリンター出力という理由であまり値が上がらない
場合が多い気がします。買う側もすぐに壊れるので客離れが進んでいるように
思います。やはり昔ながらのレジンのほうが塗装する場合も利点が多いです。
内部は組み立てたら見えない箇所ですのでシアノンパテなどを
塗って膜を作っておくと溶剤沁み込みによるクラックをかなり防げます。
↓こういうやつ。
本塗装前の、下地塗装はやはりラッカー系のサーフェイサーが
仕上がりもキレイですが、サーフェイサーとはいえ、ラッカー溶剤は
沁み込みリスクがあるので本当に危険回避したいのであれば、
最近はクレオスの水性のサーフェイサーも出ているので、
水性のサーフェイサーが役に立つかと。
コトブキヤのガール系プラモで多用されているABSパーツも
水性サーフェイサーの登場でかなり安全に塗装できるようになりました。
自分は、まだラッカーサーフェイサーのほうが慣れているのでそちらを使用してますが
水性サーフェイサーも今後導入してみようかと考えてます。
(塗膜がどれだけ強いのか分からないのでテストは必要ですが)
ガレージキットは塗装が剥がれやすいので、どの場合もプライマーは吹いてから
サーフェイサー塗装するようにしてます。
↓合っているか分からないですが、とりあえずミッチャクロンマルチで今のところ
なんでもいけてます。(間違ってたらすいません)
↓下地から基本塗装まで。下地はガイアカラーのエブォサフ。
ここまで来たらあとは自由に塗装していいと思います。
正直、3Dプリンタ出力キットの耐久性はまだまだ分からない部分が多いので
できるだけ長持ちするように塗装も努めてはいますが、数年後にどうなっているかは
即答はできないです…。プリンタ機器のほうの技術が向上してることを願いますぅ。
下地塗装なしでいきなりエナメル塗料をモールドに流し込むみたいな塗装だけは
止めたほうがいいです。かなりの確率でクラック起こします。
そこはレジン素材ながらABSパーツと扱いが似てますね💦
シタデルカラーやファレホカラーなどの水性アクリル塗料、アクリルガッシュなどは
筆で直接塗っても安全ですが、塗膜がすぐ剥がれるので
トップコートは必須です。これも通常レジンキットやその他のプラモと工程は同じです。
まだまだ自分でも試行錯誤してて、分からないことも多いジャンルなので
その都度気づいたことあればアップデートしていこうと思ってます。
なんせ、ガレージキットは個々の差が激しいので自分でレシピ作っても
すぐに違う問題が発生するんで。言い訳がましくてすいません。
昨今、みんなイライラしているのかすぐSNSなどでいらんクレームを言いたくなる気持ちも
分からんでもないですが、結局自分で生きづらい環境を作っていってるだけなので、
ホビーの世界くらいは大らかな気持ちでいきたいもんですね。
(仕事でやってるとそういうわけにもいかない場合も多いです)
というわけで、通常レジンキットと3Dプリンタ出力キットの違いを書いてみました。
参考にならないかもしれませんが、あくまで参考までにー。