こうして、音楽をこよなく愛した若きムシーカロボットのアルトは一挺のチェロを通して大きく成長し、家族との別れを乗り越え、さらなる夢へと駆け出した。
彼はこの先もたくさんのファーレを奏で、殿堂を支える演奏者の一人としてさらなる活躍をしてくれるだろう。
これから先悲しくなる事も、辛い事も少なくないのかもしれない。それでも
大切な人たちの記憶が彼の心にある限り
この宇宙がファーレで満ち溢れる限り、
彼の物語はいつまでも続くのであった。
ここはファーレの殿堂
惑星ムシーカで生まれ育った人間と彼らによって作られたロボット達が奏でる音楽で満たされた世界である。
そんな殿堂は今日も様々なファーレが流れている。
中でも一際たくさんの観客に囲まれて演奏を披露する男がいた。
彼は単独でヴィオラを弾いており、美しい旋律で人々を魅了している。
演奏を終えると周りの観客から拍手が起こった。その鳴り止まない拍手の中に独特なリズムを刻みながら近づいていくロボットがいた。
ヴィオラ奏者はそのロボットに見覚えがあるのか、目を見開いてじっと彼を見つめる。
「…お前…!」
「…お客さんはアンコールをお望みだ。
応えてやろうぜ、相棒。」
アルトがニッと口角を上げてあの時と同じように軽快なボディーパーカッションを披露すると、シルヴァは力強くうなずきそれに応えるように再びヴィオラを構える。
そのセッションを聴いていた人々はのちにこう語っていた。
「とても熱く、アグレッシブなものだった」と。
〜おしまい〜