今、第二期よしもとばなな(吉本ばなな)ブームがきている。

私の個人的な、である。

『キッチン』『TUGUMI』『白河夜船』
あたりをリアルタイムで読んだがその後、
どこか“ピン”とこなくなり、この10年くらい離れていたのが、

『体は何でも知っている』
という短編集を昨年、
装丁に惹かれて読んだところ、
一番好きな、よしもと作品になった。

どの短編も好きで、
何度読んでも好きで、
この本は、いつも本棚から私に呼びかけているような
(いつでも私をお読み。元気になるよ。と)
存在になっていた。

それくらいの満足感があると、
新作がでたからって、すぐに飛び付くこともないな、
みたいなことにもなっていた。


昨年暮れ、NHKの『TR』に出演していた
よしもとばなな を観て、また別の作品を読んでみたくなった。

『デッドエンドの思い出』

これまた美しい装丁だ。


TRの中で彼女は、

子供を産む前に、「悲しい人たち」の話を書いておこうと思った。
それは苦しいことで、胎教に悪いな、と思いながら書いた。

みたいな事を言っていた。


それからさらに、

-ご自身がベストセラー作家ということについて、どう思いますか?
という質問に対し、

自分の書くものは、ベストセラーになるような、たくさんの人に読まれるものというよりはむしろ、
ある少数の人たちが、「あ、わかる」と感じるような類のものだと思う。


という趣旨のことを話していて、

ああ、本当にそのとおりだ。
この人は、とても頭がよくて、
ちゃんとした人だ。

と思った。

この人の文章に触れると、
だから背筋がしゃんと伸びて、
体が楽に呼吸できるように感じるのだろう。