最近の管理棟(職員室や事務室のある棟)の屋上です。

たくさんの白穂が揺れています。
まるでススキ野原に来たかのようです。
でも、ススキの季節は秋ですよね。
この植物はススキではありません。

ススキと同じ、「単子葉植物・イネ科」ではありますが、チガヤ(千萱・茅)という植物です。
この時期、道路端などでも多く見られます。
日本人の生活、文化の中に古くから溶け込んできた植物の1つです。
この尖った葉が邪気を祓うとされ、「魔除」にも使われてきました。
(葉の形が「矛」に見立てられたので、「茅」という字が当てられたとされています)
夏になると、全国様々な神社で「夏越の祓」という神事が行われます。
その際に「茅の輪くぐり」として用いられるのが、このチガヤです。
夏場はとりわけ細菌が繁殖しやすく、様々な伝染病が流行しやすい時期になります。
(最近も、テイクアウトを行う飲食店が増えたため、食中毒への注意喚起が促される場面が増えましたね)
こうした厄災を払う神事が、夏場に行われているのもうなづけます。
今年3月には、このようなニュースもありました。
「流行、早く収まって」 疫病退散の茅の輪、八坂神社に
報道でみた、という人もいるかもしれませんね。
これまで、伝染病によって多くの尊い生命が奪われてきました。
細菌に由来するものもあれば、ウイルスに由来するものもあります。
様々な伝染病によって、悲しい想いをした人がいます。
苦しんだ人がいて、安寧を願う人がいました。
こうした人の暮らしのなかで、チガヤは人の願いや祈りに寄り添ってきた植物と見ることもできます。
それでは、なぜ学校の屋上にこの植物はたくさん育っているのでしょうか。
誰かが種を撒いたのでしょうか。
このチガヤは「風が運んできた」ものです。
タンポポと同じく、綿毛によって種子が風に乗り、飛んでいきます。
そうして辿り着いた先が屋上だったのです。
チガヤは繁殖力が旺盛です。
陽を浴びてぐんぐんと育ち、根を張ってなかまを増やします。
こうした生命力の強さも、邪気を祓うイメージにつながっているのかもしれませんね。
しかし、その一方で農家や園芸家の方にとってはとても厄介な植物でもあります。
繁殖力が旺盛ということは、その人たちが育てたい植物の座を奪っても、成長していくからです。
(そのため、「世界最強の雑草」とも呼ばれ、「世界の侵略的外来種ワースト100」 にも選ばれているくらいです)
人間の活動にとって、何が「善」で、何が「悪」になるのか、わからないものですね。
学校の屋上で風に吹かれている姿は、とても美しいです。
ちなみにこのチガヤにも、花言葉があります。
花言葉は、誰がどのように設定したかによって諸説ありますが、「子供の守護神」、「みんなで一緒にいたい」と紹介する書籍もあるようです。(尚)