ちょっと気が早いかもしれませんが,もうすぐ七月。七夕のシーズンですね。

 

 みなさんは天の川の正体が一体何なのか知っていますか?

 あれは実は我々の住む太陽系を含んだ銀河,「銀河系」を横から見た姿なんです。

 銀河は円盤状に広がる星やガスの集合体なのですが,真上から見るよりも真横から見た方が厚みがあるため白いモヤ状に見えるわけです。

 

 さて,天の川を挟んでひと際輝く二つの星があります。織姫(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)ですね。

 七夕伝説によりますと,元々働き者だった二人が結婚した途端,仲が良過ぎて働かなくなり,天の神様が罰として離れ離れにしてしまった,とのことです。

 しかし,別れさせたからといって働くようにならなかったため,「真面目に働いたら年に一度だけ逢わせてあげる」ことにしたそうです。それが旧暦の7月7日。元々は晴れの多い夏の日だったのですが,現代では梅雨明けしていないことも珍しくありません。

 

 年に一度しか逢えないのに,その日のデートは雨天中止。

 恐らく,人類がこの二人を超える遠距離恋愛をすることは不可能でしょう。

 

 ところで,遠距離恋愛といいますが,この二人はどのくらい離れているのでしょうか。

 遠くにある星までの距離の測り方はいくつかありますが,代表的なものに「三角測量」というのがあります。

 

 これは,調べたい場所を二か所から観測し,三角形を作ることで(角度と相似を利用して)距離を測る方法です。

 その結果,地球から織姫であるベガまでは約25光年,彦星であるアルタイルまでは約17光年といわれています。

 

 さぁ,それでは肝心の二人の距離を調べてみましょう。

 先ほどの三角測量と逆の方法で,∠ベガ-地球-アルタイルを調べます。ベガ―地球間と地球―アルタイル間の距離は既に調べてあるので,あとは相似形を利用するだけ。

 その結果,二人の距離は約15光年ということがわかっています。

 

 ……あれ? これって,地球に光が届くより早いペースでデートしてない?(※)

 冗談はさておき,空を眺めるときにちょっとした知識があるとさらに楽しめますね。

(YPN)

 

※二つの星の距離はどちらも地球より近い。よって地球で見えるよりも会っている頻度は高いのかもしれない。確かにデートは人に見せるものじゃないしなぁ……。

先日、献血に行ってきました。

 

今年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、献血に協力する方が急減しました。

日本において、治療のために何らかの形で輸血を必要とする人は、毎日、全国で3000人いるとされています。

その人たちに、安定した血液を供給するためには、1日あたり13000人に献血に協力をしてもらう必要があります。

 

外出自粛の要請に伴い、街に出る人の数が減り、人が集まる場を避けることが求められました。感染症予防ならびに、感染拡大防止の観点で言えば、これは大切なことです。

しかし、その結果として、血液が足りなくなるという状況が生まれています。

 

血液は人工的に作ることができません。

(現在、防衛医科大学、早稲田大学、奈良県立医科大学が連携して開発に向けた研究を行っています。

人工血液による救命に動物実験で成功 早大や奈良県立医科大など 

 

 

今回の疫禍でしばしば「医療崩壊」という言葉を耳にするようになりましたが、血液が不足しても、「医療崩壊」は起きるとされています。

 

例えば、「がん」や「白血病」という病気があります。

これらの治療には「抗がん剤」という薬を使います。

抗がん剤は、その名の通り、「がん細胞」に働きかけます。ただ、がん細胞も元々は、患者さんの体の細胞です。抗がん剤は副作用として、「がん化」した細胞だけでなく、正常な細胞、血液を作る細胞にも影響を与えます。

 

そうすると、血液が作られなくなってしまいます。

そのため、抗がん剤治療を行っている患者さんには定期的に輸血を行わなければなりません。

 

「がん」や「白血病」は、新型コロナウイルス感染症の広がりに関係なく、存在する病気です。献血によって得られた血液を最も多く用いられることから、今回がんや白血病の治療に関して触れました。

しかし、それ以外にも、損傷や中毒、妊娠や分娩など血液は様々な治療などの場面で必要とされます。

 

言い換えれば、この疫禍であろうがなかろうが、治療を継続して行うためには安定した血液供給が必要なのです。

 

ただ、この血液はナマモノです。

「使用」するにも期限があるのです。

 

献血によって集められた血液は、輸血に利用できるかどうか検査されます。

血液型だけでなく、生化学的な検査や、それぞれの成分の量などが調べられます。

また、肝炎や梅毒など、血液によって感染する感染症にかかっていないかなども調べられます。その後、成分ごとに分けられるなどして、保管されます。

 

成分ごとに分けられたものの保存期間を見ると、血しょう(血液の液体成分)の場合はやや長く、適切な処置をされ、保存された場合、1年間はもつとされています。

しかし、赤血球(酸素を運搬するはたらきをもつ細胞成分)の場合は3週間、さらに、血小板(出血時に血液を止めるはたらきをもつ細胞成分)の場合は、4日しかもちません。

そのため、新鮮な状態の血液が必要なのです。

 

それでは、献血はどのように行われるのでしょうか。

まず、受付をして、現在の体の状態を元に質問項目毎に回答するところから始まります。

そのあと、血圧の測定や問診があり、献血に適した血液かどうかの確認が行われます(具体的には、ヘモグロビンの濃度や血液型、成分献血の場合は血小板の数も測定します)。

採血ベッドに横になって、採血がされます。採血の時間は、全血献血で10〜15分程度、成分献血では採血量によって変わりますが、だいたい40〜90分程度です。

 

その後、休憩場所で体を休ませながら、水分補給を行います。

(センターの場合、無料の自動販売機が置かれていて、いろいろな飲み物を飲むことができます)

こうして、献血が行われます。

 

献血が可能となる最低年齢は16歳です。

採血基準 日本赤十字社

 

学年で言えば、高校1年〜2年に当たる年齢です。

「中学生だから、まだ早い」と思う人もいるかもしれません。

中には、たとえ献血可能な年齢になっても、体の状態など、様々な事情でできないという人もいるかもしれません。

 

でも、「知る」「理解する」のは、とても大切なことです。

何かがあった時に、誰かの血液が命を助けてくれることもあるかもしれません。

また、血液を巡り、いのちを巡る営みに携わっている人の存在に気づくこともできます。

知識は「情報」として入ってくるだけでなく、自身の「糧」になります。

是非とも、そんな血となり肉となる糧をたくさん身につけてください。(尚)

 

 

参考 日本赤十字社 献血する

 

「新型コロナウイルス 『献血』が足りない!」NHK 解説委員室 解説アーカイブス

 

 

 

 

紹介 

日本赤十字社×アニメ「はたらく細胞」コラボキャンペーン

 

みんなの献血「KENKETSU TOWN」【日本赤十字社】

 

 

 夏本番にはまだ早いような気もしますが,既に熱中症が心配になる暑さですね。こうなってくるとエアコンは生活に欠かせません。

 

 ところで,エアコンの仕組みはどうなっているのでしょうか。今回は『熱力学』という考え方を使ってその仕組みを説明してみます。

 まず,温度と熱の関係ですが,熱の正体は物質を作っている原子や分子の運動エネルギーです。それに対して温度は,原子や分子の運動の激しさの「程度」を示す量となっています。

 熱は温度が高い方から低い方へしか移動しないので,人間の体温を下げようと思ったら周囲の空気の温度を下げなければいけません。ではどうやって空気の温度を下げるのでしょうか。

 さて,みなさんは断熱膨張という言葉を知っていますか?

 通常,気体は熱を加えて温度が上がると,それに伴い体積が増えます(膨張)。しかし熱を加えることなく膨張させると温度が下がってしまいます。ざっくりとしたイメージで捉えるなら「気体分子が体積を維持するだけの運動エネルギーを持たない」状態です。

 この断熱膨張を利用して周りの空気から熱を奪うのがエアコンの冷房の仕組みなのです。そして暖房はその逆,気体を圧縮することで温度をあげているのです。

 ここで何かに気づきませんか?

 そうなんです。室内の冷房は室外にとっては暖房なのです!

 今年は新型コロナと熱中症両方への対策として窓を開けたまま冷房を掛けることを余儀なくされていますが,自分で温めた空気を取り込んで冷やすという,エアコンにとっても過酷な夏になりそうですね。(YPN)

先日、このようなニュースを見ました。

 

冷やしマスク、山形に登場 自販機でいつでも購入OK

 

冷やしマスクの有用性や是非は一旦置くとして、個人的にこの発想が生まれたのが「山形」であったことを面白く感じました。

 

山形県は東北地方にあるため、「雪国」というイメージを持つ人も多いと思います。

 

しかし、冬寒いだけでなく1933年7月25日、県庁所在地の山形市で「40.8度」という日本最高気温を記録しました。

(ちなみにこの気温は、2007年8月16日、埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市の記録した40.9度によって塗り替えられました)

 

では、なぜ山形県は夏場、このような気温の上昇がみられるのでしょうか。

 

この謎を解く鍵は、山形県の特有の地形にあります。

地図を見てみると、東北の背骨とも呼ばれる「奥羽山脈」が中央部を南北に走っています。

夏になると、「やませ(山背)」と呼ばれる東寄りの季節風が太平洋側から吹き寄せます。

やませは、寒流である親潮の上を通るので、冷たく湿潤な風です。

(やませが作用して東北地方の太平洋側では、日照不足と低温から来る冷害を招きます)

 

宮城県に吹き寄せたこの冷たく湿潤な風、「やませ」は、奥羽山脈の一部、蔵王連峰に吹き付け、上昇します。

 

大気が周りを押す力(気圧)は標高が上がるほど、下がります。

スナック菓子の袋を山に持っていくと膨らむ、という現象で知っている人もいるかもしれませんね。

 

風を構成する「空気」もスナック菓子の袋と同様に、気圧が小さくなると、「膨張」します。

(「お餅が膨らむ」など、日常のなかで見ることの多い「空気が膨らむ」現象は、だいたい熱が加えられたときです。

これに対して、上の事例のように熱を加えた訳でもないのに、空気が膨張する現象を「断熱膨張」と言います)

 

断熱膨張が起きると、その空気から熱が奪われます。

この時、空気中に含まれる水蒸気は凝結し、「雲」になります。

この雲が大きく発達すると、宮城県側に雨を落とします。

 

水蒸気が凝結する際には「凝縮熱」を放出します。これにより、雲はさらに高く昇ります。

夏場、山形県から蔵王連峰越しに雲が見られるのは、こうした現象によるものと考えられています。

 

※ ちなみに山形県の生んだ歌人にして精神科医、斎藤茂吉は蔵王山にかかる雲を題材に、たくさんの歌を残しました。

 参考 茂吉歌碑めぐり

(斎藤茂吉の長男は随筆家・精神科医の斎藤茂太、次男は「どくとるマンボウ」で知られる随筆家・精神科医の北杜夫です)

 

さて、雨を落とした空気はその後どうなるでしょうか。

水分を失って乾いた空気は、今度は蔵王連峰の山形側の斜面を下ります。

 

このとき、先の「断熱膨張」と逆の現象が起きます。

標高が下がるに従って、気圧は大きくなります。

これに伴い、空気はどんどん「圧縮」されます。

(このときも、外部から熱のやりとりを行う訳ではありません。この現象を「断熱圧縮」と呼びます。)

 

先ほど、断熱膨張が起きると、その空気は熱が奪われる、という話をしました。

断熱圧縮が起きるときには、熱エネルギーが生じ、気体(この場合は空気)の温度が上がります。

 

その結果、「暖かい乾燥した風が山形県側に吹く」ことになります。

この暖かく乾燥した風をフェーンと言い、この現象を「フェーン現象」と言います。

こうした現象に見舞われる地形だからこそ、このマスクは生まれたのでしょう。

 

自然と文化と人の営みは、互いにつながり合っています。

「冷やしマスク」というと、面白ニュースの1つとして捉えがちですが、暑さを乗り切り、熱中症と感染症を抑えるために、試行錯誤の上で現れた人の営みの1例とみると、とても感慨深いものがあります。(尚)

時事ネタの四コマ漫画を描いたので紹介します。

これまでとは違った意味で人との距離感を再度考えなければいけない時代ですね。(by YPN)