キャリントン事象とは?
https://ja.wikipedia.org/wiki/1859%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%B5%90
1859年9月1日から2日にかけて記録上最大の磁気嵐が発生した。ハワイやカリブ海沿岸等、世界中でオーロラが観測され、ロッキー山脈では明るさのために鉱山夫が朝と勘違いして起きて朝食の支度を始めてしまうほどであった。アメリカ北東部でたまたま起きた人はオーロラの明りで新聞を読むことができた。
ヨーロッパおよび北アメリカ全土の電報システムは停止した。電信用の鉄塔は火花を発し、電報用紙は自然発火した。電源が遮断されているのに送信や受信が可能であった電報システムもあった。
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一部引用以上
今から165年前、日本では「安政の大獄」の翌年だが、記録上最大の太陽フレアが出現し、当時黎明期だった欧米の電気・電信事業に大きな被害をもたらした。
だが、日本で電気が社会的に供給されはじめたのが1887年であり、まだ太陽風がもたらす磁気嵐が影響を招く社会ではなかった。
キャリントン事象における太陽フレアの規模は、X40と推定する人が多い。これが、人類が太陽フレアを記録し始めてから最大級の現象だった。
日本における影響は、凄まじいオーロラの出現であり、これは赤道に近い地方でさえ観測された。具体的な実害は、電気のない当時なので、たぶん起きなかった。
今回、太陽活動に、キャリントン事象を上回る可能性のある巨大な黒点活動=AR3664が確認された。この黒点が、周回して再び、地球を向いたとき、どのように変化しているのかが問題で、もし成長し、キャリントン事象クラスか、それ以上の太陽フレアを起こして、もしも太陽風が地球軌道を直撃した場合、電気・電子に依存した先進国のシステムに致命的な打撃を与える可能性がある。
すでに、10日、3時20分(今朝未明)、X1.1の巨大フレアが報告された。
https://swc.nict.go.jp/report/view.html?ym=202405&ids=a2024068&type=daily+weekly+bulletin+topics#js-report-viewer
だが、黒点の成長次第では、X3桁にも及ぶフレアを出す可能性があり、もし、それが地球を直撃するなら、現代文明は壊滅する。
https://twitter.com/NNS_kishou/status/1788546767140880686?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Etweet
InDeepが詳しく報告しているので紹介する。
記録上最大の1859年の太陽嵐を引き起こした「キャリントン事象」を超えるサイズに黒点が成長中。…暴力? 戦争? そして地震? あるいは? 2024年5月9日
https://indeep.jp/carrington-sunspot-2024/
歴史的な大きさの太陽黒点が
現在(2024年5月9日)、太陽で結構な事象が進行しています。
太陽表面にある黒点群のひとつが、グングンと成長を続けていたのですが、ついに、「キャリントン事象の時の黒点と同サイズになった」ことをスペースウェザーが伝えています。
この「1859年の太陽嵐」とか「キャリントン事象」というのは何かというと、
「観測史上最大のスーパー太陽フレアが 1859年に起きた」際のことをいいます。
中略
しかし、この 155年前の世界では、それほど大きな問題は起きなかったのです。
理由は「世界の多くが、基本的に電気文明ではなかったから」です。
ヨーロッパと米国には送電網はありましたが、それでも、電気を使った通信インフラは電報くらいで、しかも当時、電報を使う人など、まだ一部だったのではないでしょうか。そのため、ほとんど影響はありませんでした。
ところが、今は「全部」電気です。1859年クラスの太陽フレアが発生した場合、「その電気システムがすべてクラッシュする可能性がある」のです。
2010年に、アメリカ国立科学財団が、スーパーフレアによる壊滅的な影響について、警告を発したことがありましたが、そこには以下のようにありました。
変圧器を含む相互接続された送電網の機能を破壊し、停電が(米国内で)最大 1億3000万人に影響し、それらによってサポートされている下水システム、電子運輸機構を破壊し、また、システムの崩壊は、飲料水、食物、薬、および燃料の配信を止めてしまう。
1859年規模の太陽嵐が地球を直撃した場合に想定されること
・電力送電網のクラッシュによる完全な停電
・携帯通信を含む、すべての通信システムの崩壊
・インターネットシステムのシャットダウン
・放送網(テレビ、ラジオ)の崩壊
・飛行機の墜落
・ほぼすべての移動手段(車、電車、船舶等)の停止
・それによる食糧、エネルギー輸送の停止
・それに伴うあらゆる物流の停止
・コンピュータシステムの停止
・コンピュータに依存する軍事システムの停止
・コンピュータに依存する政治システムの停止
・コンピュータに依存する医療システムの停止
・銀行、証券システム等の完全なシャットダウン
・デジタルに依存するあらたゆるデータの破壊
「電気で動いているすべてが止まる」ということです。
たとえば、銀行などは、そういう対応はしているとは思うのですが、あまり対応をしていなかった場合、太陽フレアによるシステムの破壊は「根本的」となりますので、完ぺきなバックアップシステムを持たない銀行や証券会社のデータは永久に失われる可能性があります。
あるいは、現在は、マイナンバーカードなどのデジタル国民管理が進められていますが、仮に政府が、それらに対しての「完ぺきなバックアップシステム」を構築していない場合、「国民のデータそのものがすべて失われる」可能性があります。
アメリカ政府などは、一応とはいえ、オバマ政権に際に、巨大な太陽フレアの発生に向けての「国家宇宙天気行動計画」という行動計画を立てていますが、日本はどうなのか。
この書類の内容を取り上げた記事は以下で翻訳しています。
・米国ホワイトハウスが巨大なフレアやCMEでの太陽嵐の「地球への直撃」に備えての行動計画を全省庁と国家機関と協調して開始
In Deep 2015年11月11日
https://indeep.jp/white-house-is-prepping-for-a-huge-solar-storm/
1859年級のスーパーフレアによる停電が、通常のいわゆる停電とはまったく異なるものであるということに留意されてほしいと思います。スーパーフレアによる停電は、「復旧できない停電」なのです。
自然災害用にモバイルバッテリーや小型発電機などをお持ちの方も今は多いでしょうが、「それらも全部壊れ」ます。電子回路からの根本的な機器の破壊となるので、まったく使えなくなりますし、修理もできません。
米国国家科学技術委員会の試算
現代社会では、そのような終末的な事象は起きてはいないが、専門家たちは、そのような「怪物レベルの太陽放射」が起きた場合のアメリカの被害額は、2兆ドル(約310兆円)を超えると想定した。
これは、歴史の中で実際に起きた最も大きな単一の自然災害の 10倍以上の被害額だ。
そして、 NASA は、次の 10年以内にそのような打撃を地球が受ける可能性が 12%あると試算している。
グリーンランドの氷床コアのデータが集められ、この規模の太陽嵐は、ほぼ 500年ごとに起こっており、少なくともこの 5分の1の規模の太陽嵐は 1世紀に何度かずつ起きているという証拠が得られた。
いつかは起きるというものではありそうです。
現在の文明に「電気」が根付いたのは、わりと歴史的にも長くなっているかもしれないですが、「今のように何もかも電気とデジタルの時代は、人類史ではじめて」ではあるわけです。
そして、今は多くの人々が携帯通信網に過度に依存しています。
いろいろな意味で(精神的なダメージを含めて)その被害は想定できないものではありそうです。
・暴力、革命、戦争、病気、そして大量死…。太陽活動と共に過激化する世界で生きる In Deep 2023年3月25日
https://indeep.jp/live-in-a-radicalized-world/
・太陽フレアは大地震を誘発する : 太陽と地震の関係を過去20年のデータ分析から「確定させた」2020年のネイチャーの論文を、黒点活動が過激化している今再び読み返してみる In Deep 2022年3月29日
https://indeep.jp/solar-flares-trigger-mega-earthquakes/
最新のスペースウェザーの記事をご紹介して締めさせていただきます。
キャリントンクラスの黒点 spaceweather.com 2024/05/09
黒点群 AR3664 は非常に大きくなり、1859年の壮大なキャリントン黒点に匹敵する大きさになった。それらの類似性を説明するために、 NASA の今日の太陽の写真にキャリントンの有名なスケッチを以下に追加した。
AR3664 は端から端まで約 20万km にわたって広がり、その幅は地球の 15倍だ。通常の日食メガネを使用すると、倍率をまったく上げることなく見ることができる。
キャリントンの黒点は、1859年 8月と 9月に一連の激しい太陽フレアと CME (コロナ質量放出)を噴出したことで有名だ。結果として生じた磁気嵐は電信局に火を放ち、キューバからハワイまでオーロラを引き起こした。
それ以来、 「キャリントン事象」は、宇宙天気の試金石となり、最近の見出しでは、同じことが繰り返されれば「インターネット黙示録」が起きるのではないかとの懸念が煽られることもある。
確かに、(いつかは)キャリントン事象が繰り返される可能性はある。
研究によると、キャリントン級の嵐は 40年から 60年に 1回発生する。しかし、現在地球へ向かている CME (※ 今現在、太陽フレアにより地球に向かっている磁気嵐で、5月11日頃にやって来るもの)は、新たなキャリントン現象を引き起こすことはない。
今向かっているものは 1859年の CME に比べれば微々たるものだ。それでも、地球がこの黒点群 AR3664 の直撃ゾーンにある間は、この成長する黒点の活動領域に注目しておくことが賢明だろう。
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一部引用以上
私も、アマチュア無線の経験から、過去に巨大太陽フレアの恐怖について、何回かブログに書いている。これは北朝鮮やロシア・中国が配備しているEMP核爆弾と同等の効果をもたらすものなのだ。
太陽風のもたらすもの 2019年01月02日
http://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6081113.html
バババンガの予言と破局的太陽風 2023年09月23日
http://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6071227.html
太陽フレアとプーチンのEMP核爆弾 2024年02月27日
http://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6115139.html
ヘーゲルの体系化した「弁証法」によれば、この世で起きるすべての事物現象には、必ず対立する側面がある。簡単にいえば、表があれば裏がある。良いことがあれば悪いことがある。うまいものは、まずいものによって成立する。
事物現象は対立し矛盾しなければ存在することができないのである。
暗闇がなければ、明るさは成立できないでしょ?
だから、人類が開発してきた、あらゆる文明の成果にも、表があれば裏がある。良いことがあれば悪いことがあるのだ。
このことを電気や原子力を引き合いに出して、私は繰り返し警告し続けてきた。
人類は、電気のもたらす文明の成果に夢中になって、それが生活を支配し、生活そのもになってしまった今、突然、電気が途絶えた場合、どういうことになるのか?
電気の恩恵を受けるのが当然と勘違いさせられている人たちの、誰一人として、そんなことは考えたことがない。
未来永劫、電気社会が続くと思い込んでいるのだ。
だが、磁気による誘導電流の原理は、ファラデー・レンツの法則として、みんな中学生で習ったはずだ。
https://rikeilabo.com/law-of-electromagnetic-induction
簡単にいえば、磁気の存在する空間に、金属を置いて動かせば、電気が湧いてくる。地球規模でも同じことで、地球軌道に太陽風によって磁力線が発生すると、磁力線の作用する空間では、すべての金属に電気が発生する。これが誘導電流=サージ電流だ。
この場合、金属が長いほど電気が強くなるので、コイル状になっているものが一番、強力なサージ電流を生成する。
したがって、X数十規模のもの凄い太陽フレアが太陽風(イオン)を地球軌道に向けて発射した場合、地上のあらゆるコイルや送電線のような長い金属に誘導電流が乗って、発熱したり火花を出したりするわけだ。
X15と評価された1989年のケベック大停電では、カナダ全土で深刻な被害が発生した。
https://ja.wikipedia.org/wiki/1989%E5%B9%B43%E6%9C%88%E3%81%AE%E7%A3%81%E6%B0%97%E5%B5%90
電気供給の変電所のトランスが火を噴き、ケベック地方で大停電を引き起こし、完全復旧まで2年近くを要した。
だが、このときは、まだ今のようなコンピュータ社会ではなかったのだ。
【終末】史上最強の太陽フレアが現代で発生するとどうなるのか?
https://www.youtube.com/watch?v=MdHLvDGjDRI
今は、日常生活の95%以上、電気・ガス・水道などの生活インフラや、あらゆる電子機器、インターネット通信がコンピュータを利用している。
マイコンIC回路は極細電線なのでサージ電流に頗る弱く、簡単に破壊されてしまい、新品に取り替える以外、修理不能なのだ。
だから、生活インフラの大半が修理不能の致命的破壊を受け、水も電気も使えなくなってしまうわけだ。
車だって無事ではすまない。今の車はほとんどコンピュータ制御になっているからだ。生活の99%にコンピュータが関与している。
そうした生活インフラが破壊されると、数年で9割以上が死滅すると、米軍が試算を公開している。EMP爆弾も巨大フレアも、もたらす結果は同じである。
北朝鮮の電磁パルス攻撃で「アメリカ国民90%死亡」――専門家が警告 2017年10月26日
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/10/90-9_1.php
今回の巨大黒点活動が、仮にキャリントンレベルのフレアを出したとしても、地球軌道を直撃しない限り、我々は美しいオーロラを堪能する程度ですむかもしれない。
しかし、もし直撃した場合は、日常生活のすべてが核攻撃のように破壊されると覚悟した方がいいかもしれない。
その影響は、北半球の高緯度地方に集中するので、カナダやアラスカ、ロシア、北欧が大変なことになる。もちろん規模次第では、南に下がってくるので日本も含まれる。
そこで、一応の準備だが、確実に起きることとして、美しいオーロラだけでなく、デリンジャー現象によって、通信が途絶する可能性は高い。まあ数時間程度だが。たぶんスマホも使えない。
もしも送電線や変電所が壊れた場合、電気供給も途絶する。復旧には、たぶん数ヶ月以上を要するだろう。
だから、ランプを持たない人は、ダイソーに走って500円くらいの電気ランタンを予備電池とともに購入し、水道が止まったときに備えて数日の飲料水は確保すべきだろう。
トイレ用の水のために、風呂水は捨てないようにしよう。
冷蔵庫の中身は腐るだろう。移動も困難かもしれない。
青荷温泉や度合温泉では何の影響も起きないだろうが、食料の供給が困難になる。
なお、大地震も含めて、こうした破局事象が起きたとき、近郊の食料品店などは数時間で食料も水も消えてしまう可能性が強い。備蓄がものをいうのだ。
こんなとき、頼りになるのが、仲間と作った別荘農地=ダーチャである。畑には馬鈴薯やサツマイモを植えておこう。