マードック刑事の残酷な苦悩 | tokaiama20のブログ

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 GYAOで視聴できるマードック刑事シリーズ
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC_%E3%80%9C%E5%88%91%E4%BA%8B%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E6%8D%9C%E6%9F%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%80%9C

 10月7日現在の配信
 https://gyao.yahoo.co.jp/episode/%E5%88%91%E4%BA%8B%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E6%8D%9C%E6%9F%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%80%80%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%B32%E3%80%90%E5%90%B9%E6%9B%BF%E7%89%88%E3%80%91%E3%80%80%E7%AC%AC6%E8%A9%B1%E3%80%80%E3%80%8C%E7%81%B0%E8%89%B2%E3%81%AE%E8%89%B2%E5%90%88%E3%81%84%E3%80%8D/5f7c00b4-6d26-4de2-9a80-36db06ef3204

 時代背景は1890年代のトロントで、刑事マードックは、誠実で有能な捜査官。優秀な女性監察医のジュリアと協力しながら、難事件を解決してゆく。
 マードックはジュリアに恋心を育ててゆくが、上のリンク【刑事マードックの捜査ファイル シーズン2第6話 「灰色の色合い」】で、やっと相思相愛の肉体関係が成就しかける。

 1890年といえば、欧州では産業革命が勃興し、カナダはイギリス統治領となっていた。イギリスからカナダへの移民も増えている。1931年に独立を勝ち取るまで事実上、イギリスの属州扱いを受けていた。
 もちろん、政治司法もイギリスの管轄下にあったので、欧州カトリックやピューリタンの倫理観によって、女性の道徳的拘束は過酷を極めた。
 トロントの1890年代の法によれば、女性を堕胎させた者は、終身刑、堕胎した女性は死刑になる可能性があった。

 驚くべき事に、そうした女性に対する苛酷な人権侵害は、アイルランドなどで、今でも行われている。これは、アフリカ諸国の女性性器切除=割礼とどんな違いがあるというのか?
 https://www.amnesty.or.jp/news/2015/0305_5176.html

 ジュリアは、マードックに、自分は堕胎経験があると告げた。ジュリアは「私を死刑にする?」と自分を愛するマードックに突きつける。
 警察官として遵法倫理を信奉していたマードックは苦悩し、ジュリアとの恋仲が破綻する。
 これほど強烈なキリスト教価値観への問題提起を真正面から行ったドラマを、私ははじめて見た。それが、今回のブログ主旨である。

 当時のイギリスの倫理観は、英国カトリックやピューリタンともに、キリスト教を謳っていたが、事実上、旧約聖書レビ記の適用だったといえよう。
 キリストは、「堕胎した女性、不倫した女性を殺せ」なんて一度も言ったことはなく、むしろ、姦淫の罪を許す有名なエピソードが残っている。
 「この人を糾弾するあなた方には罪はないのか?」と問うているのだ。
 http://www.yamada-k-taro.com/crosstalkten04.htm

 ところが、キリスト死後、自称キリスト教が雨後のタケノコのように登場してくると、それらはキリストの説いた人間解放の論理を忘れてしまい、旧約聖書の戒律主義に逆戻りしたものばかりだった。いわばキリスト教原理主義という名の、ユダヤ教といってもよいほどだ。
 それは、人々を刑罰と残酷な死刑の恐怖で縛ろうとする旧約聖書の戒律が主流になっていた。

 そもそも、キリストの真の教義は、1945年にエジプトで発見された「ナグ・ハマディ文書」の中の『トマスの福音書』にあるイエスの言葉。
 【「薪を割れば、私はそこにいる。石をどければ、私はそこにいる。教会のなかには私はいない」 「あなたがたが、お金を持っているならば、利子をつけて与えてはならない。そうではなくて、あなたがたが(それを)取り戻さなくてよい者に与えなさい」】が代表している。

 キリストが2000年前のシオンで一大権力を確立していたパリサイ人(サバタイ派→ロスチャイルドの源流)を毛嫌いし、何度も彼らの市場に殴り込みをかけた理由は、彼らが利子を取る銀行業務を行っていたこととともに、女性に男性優位社会の過酷な倫理を強要する戒律主義を人々に押しつけていたからである。(パリサイ人の別名は戒律主義者である)

 だが、その後、キリストの名を騙りながら、世界的な宗教へと成長したカトリックも、プロテスタント・ピューリタンも、キリストの真意を無視し、旧約聖書が示した刑罰による束縛を前面に打ち出し、キリストがもっとも嫌った権威主義によって、人々を宗教的洗脳によって支配しようとした。

 女性は、男の家畜としての地位に貶められたままで、男のための子を産む道具にすぎなかった。その道具が、勝手に男の子を堕胎した場合は、殺してしまわなければならない。
 この妊娠中絶に対する倫理観は、カトリックはもとより、現代アメリカの最大宗派、アメリカ人の25%を占めるプロテスタント福音派、モルモン教、エホバまでが妊娠中絶を凶悪な犯罪と決めつけている。これが共和党のアイデンティティといってもいい。

 ちなみに、これらの「キリスト教宗派」に共通しているのは、シオニズムであり、その教義は、新訳ではなく、旧約聖書である。つまり、イエスの教義ではない。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%AA%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0

 私は、イエスが旧約聖書の否定のためこの世に登場したと信じているのだが、キリストを名乗る宗派は、すべて旧約聖書を新約より重要な教義と位置づけている。これはユダヤ教と同じ立場であり、例えばカトリック司祭の8割がユダヤ人だといわれている。
 つまり、ユダヤ教は、キリスト教を骨抜きにする目的でキリスト教を作ったのだ。

 ちなみに、旧約聖書=「旧い契約」の相手はルシファー(サタン)であるとの説が有力だ。フリーメーソンは、「ルシファーの眼」をランドマークに使っていることから、その意味をうかがい知ることができる。
   http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-397.html

 マードック刑事の当時(1800年代末)の北米では、ピューリタンと福音派の倫理的影響力が圧倒的であり、それは現在の共和党支配につながっている。
 未だに、トランプが、妊娠中絶を非合法化して、重罰を適用しようとしたことが記憶に新しい。
 https://president.jp/articles/-/42745?page=1

 https://www.vogue.co.jp/change/article/a-historic-gender-gap-1
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E5%A6%8A%E5%A8%A0%E4%B8%AD%E7%B5%B6%E6%B3%95

 翻って日本では、どうなのか?
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%95%E8%83%8E%E7%BD%AA

 刑法第2編第29章の堕胎の罪(刑法212条 - 刑法216条)に規定される。
 
 自己堕胎罪
 妊娠中の女子が薬物を用い、又はその他の方法により、堕胎したときは、1年以下の懲役に処せられる(刑法212条)。堕胎罪は母体の安全も保護法益とするため、女子自身の行為は法定刑が軽減されている。本罪は「妊娠中の女子」を主体とする身分犯である。

 同意堕胎及び同致死傷罪
 女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させた者は、2年以下の懲役に処する。よって女子を死傷させた者は、3か月以上5年以下の懲役に処する(刑法213条)。女子の嘱託又は承諾のある行為については、それがない行為と比べて法定刑は若干軽減される。

 業務上堕胎及び同致死傷罪
 医師、助産師、薬剤師又は医薬品販売業者が女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させたときは、3か月以上5年以下の懲役に処せられる。よって女子を死傷させたときは、6か月以上7年以下の懲役に処する(刑法214条)。女子の嘱託又は承諾がある場合においての医師など一定の身分を有する者の堕胎行為を重く処罰する規定である。「医師、助産師、薬剤師又は医薬品販売業者」を主体とする身分犯である。

 不同意堕胎罪
 女子の嘱託を受けないで、又はその承諾を得ないで堕胎させた者は、6か月以上7年以下の懲役に処せられる(刑法第215条1項)。堕胎罪の基本的類型である。堕胎の罪のうち本罪のみ未遂も罰する(刑法第215条2項)。
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 調べてみると、日本の場合も、マードックの時代と、それほど大きな違いはなく、「女は男の子を産む道具だから、道具が勝手に堕胎すれば厳しく処罰する」という発想の延長にあるようにしか思えない。

 女性は、男性によって妊娠させられるのだから、生活に追い詰められて我が子を堕胎したり、殺してしまった女性に対する苛酷な厳罰に比べて、より責任が重いはずの共同正犯である男性に対する罪の評価が、あまりにも軽すぎるのではないか?

 我が子を殺した母親に対する処罰は、同時に妊娠させた男=未必の故意によって堕胎させた男に対する処罰が行われなければ「法の下の平等」とはいえないはずだ。
 性交による結果は、女性の側が男の10倍以上もの責任を負わされているのだ。私は、それが、あまりにも不公平に思える。

 マードックシリーズの第七話、次の配信では、ジュリアとの残酷な破綻が待ち構えているらしいが、このドラマを視聴することで、男性優位社会における女性の地位を考え直す契機としてもらいたく、このブログとした。

 我々の社会は、女性が抑圧される社会だ。女性を解放するために何が必要なのか?
 それは、第一に妊娠中絶の自由であり、妊娠コントロールの自由である。
 女性の社会的な地位、役割の重要性を、教育的に共有確認することだ。

  
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 余談 昨夜遅く、関東でM6.1、震度5強が起きた。これは岩手地震の項目で書いた通りだが、今朝高井氏に確認したところ、まだラドン値が収束したままなので、一連の地震は終わっていなくて、もっと凄いのが発生する可能性がある。