今日もアイデアが浮かばない。代わりに、2016年4月24日、あの新自由主義宣伝メディア=産経新 | tokaiama20のブログ

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https://www.sankei.com/premium/news/160423/prm1604230021-n11.html
 「富を求めるよりも人生には大切なことがある」「広島へ行くのは日本人へのリスペクトです」…

 先ごろ初来日した南米ウルグアイの前大統領、ホセ・ムヒカさん(80)は、敬意を込めて「世界でいちばん貧しい大統領」と呼ばれている。その人柄が日本でも共感を集め、関連書籍は飛ぶように売れている。

 約1週間の滞在は私的訪問だったにもかかわらず、各地を訪ねた様子がテレビ番組などで紹介された。4月6日に東京都内で開かれた記者会見と合同インタビューで語られたムヒカさんの言葉を、一問一答スタイルで詳報する。(篠原知存)

 〈記者会見は、東京都千代田区のKADOKAWA富士見ビルに約100人の報道陣を集めて行われた。登壇したのはムヒカ氏と夫人のルシア・トポランスキさん、それに『ホセ・ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領』(角川文庫)の著者、エルネスト・トゥルボヴィッツさんとアンドレス・ダンサさんの4人。司会者から来日についての言葉をうながされて、ムヒカさんは話し始めた〉

 「私はもうすぐ81歳になります(1935年5月20日生まれ)。単に観光目的で、長旅をしようなんて思いません。
 ここに来たのは日本から学びたいと思ったからです。日本でしてみたい質問がたくさんあります。人類はどこに向かっていくのでしょう。世界の将来はどこに向かっていくのでしょう。日本は、世界でも非常に優れた工業先進国です。ですからこそ、そうした質問をしてみたい。どんな世界を夢見ているのか、それを考えずして私たちに未来はないのでは」

--本には世界中の指導者と会談したエピソードが紹介されていますが、特に印象に残っている会談は

 「私はかなり年齢を経てきました。背負ったリュックのなかにたくさんの思い出が詰まっている。有名な人物とたくさん会ってきたが、1つを選ぶのはとても難しい。

 (しばらくの沈黙の後)

 圧倒的な印象を残しているのは、チェ・ゲバラです。彼はラプラタ川流域に大きな影響を残している人物だと思います。ただ、私が知った人物の中で、最も聡明な人物は、みなさん名前を知らないかもしれませんね。
 スペインが共和制だった時代の大学の先生です。文化大臣も務められました。すばらしい先生に出会うというのは、弟子の心を永遠に持ち続けることだと思います」

 「フィデル・カストロにも会いました。年は取られていましたが、頭脳は明晰でしたよ。オバマ大統領とは3度会う機会がありました。すばらしい人だという印象を受けました。頭のいい人です。おそらくアメリカ政府よりも大統領のほうが頭がいいでしょう(会場から笑い)。
 若いときには、毛沢東とも会いましたよ。写真を撮るためにほんの一瞬でしたが」

 〈著者ヘの質問などを挟んで、質疑応答に〉

--ネクタイを用いない哲学について聞かせてほしい。個人的には世界はネクタイを使わないことでよくなると思っています

 「同感です(笑)。世界を変えるために闘ってきましたけれど、私の目指しているのは、ネクタイを使いたい人は使えばいい、使いたくない人は使わなくていい。そういう世界です。
 私は個人的には質素な暮らし、抱え込まない人生というのが良いと思っています。でも、同じ考えを誰かに強制したいとは思いません。自由のために戦っていますが、自由というのは他者がしたいことを妨害することではありませんよね」

 「質問に感謝します。ネクタイをしないというのは、ネクタイよりも大切なものがあるということを象徴しています」

 --アメリカとキューバが国交を回復した背景にムヒカさんのご尽力があったと聞いている。どうして両国の間を取り持ったのか

 「私は、オバマ大統領からラウル・カストロ評議会議長宛の小さなメッセージを伝えました。キューバの刑務所に収監されていたアメリカ国籍の囚人の健康状態を、オバマ大統領は非常に心配していると伝えました。
 当時すでに、秘密裏にではありますが、両国間の交渉は存在していました。交渉中にアメリカの囚人になにかが起こるのはよい状況ではないからです」

 「私たちは常に平和を導くように、物事を解決しなくてはいけない。平和でなければ被害を受けるのは常に弱者だからです。いまだに人類は先史時代を生きていると思います。戦争を完全に放棄することができたら、人類はやっと先史時代から脱却できるのです」

--リーダーとして最も大切にしていることは?

 「私たちは矛盾をはらむ時代に生きています。多くの富を抱え、科学は発展し、技術も進歩した。そんななかで、私たちが考えなければならない大切な問題は、じゃあ私たちは幸せに生きているのかと言うことです。ひとつの側面ではすばらしい効果がもたらされました。

 たとえば150年前に比べて私たちの寿命は40年長くなっています。でもその一方で私たちは軍事費を毎分200万ドルも使っています。人類が持つ富の半分は、80人から100人の人が握っている。そういう時代です。つまり、私たちはみんなが生きられるためのリソースは持っている。
 でも、富の不均衡、あるいは格差をつくった社会的ルールに支配されています。若い人たちには私たちのこうした愚かな間違いを繰り返さないでほしいと思います」

 「命、人生ほど大切なものはありません。世界について考えるときも人生について考えるときも、あるいは貿易について考えるときも仕事について考えるときも、どうやったら幸せになれるのか、ということから考えないといけない。
 人生が重荷になるような、苦悩に満ちたものになるようなことではいけない。若者たちには、毎朝起きたときに、鳥がさえずりたくなるように、喜びが沸き上がってくるような世界をめざしてほしい」

 「誤解しないでほしいのですが、貧乏になるべきだとか、修道士のような厳格な生活をしなければいけないと言っているわけではありません。
 私が言いたいのは、富を求めるあまり絶望してはいけないということです。人生にはもっと大切なことがあります。愛情を育むこと、子供を育てること、友人を持つこと、そういう大切なことのためにこそ人生の時間を使ってほしい」

 「そういうことを意識化すること、それを文化とすることがすごく大切なことです。そういう生き方ができるような文化を醸成しなければならない。
 たとえば自分のエゴを満足させるために他者と競って、他者を破壊するような文化であってはいけない。みんながチームの一員として協力できるような教育を、奪い合うのでなく持っている物の価値を高めていくような教育をすればいい」

 「エゴイズムは競争を助長して、さまざまな科学的発展、技術的進歩をもたらしました、でも危険なぐらい激しい野心もあって、それを実現しようとすればすべてを破壊してしまいます。何度も言いますが、人生より価値のあるものはありません」

 「私たちには戦争を終わらせる義務があると思います。もちろん簡単ではありません。でもこれは世界の若者が達成しなければならない大義です。よりよい世界を目指すことは可能です。試行錯誤も必要でしょう。間違いはありますけれど、それがテロのような行為になってはいけない」

 --ムヒカさんのメッセージのどういう部分が多くの人を惹きつけるのか自己分析を

 「答えてみますが、あっているかどうかはわかりませんよ。私がさまざまな場で提言してきた考え方は、もしかしたら日本で伝統的に引き継がれてきた文化と、根底で通じているのではないでしょうか。
 日本の良い伝統文化というものが、いま、西洋化された文化によって埋もれて見えなくなってしまっている、そういう状態なんじゃないですか」

--ウルグアイはマリファナが合法化されているが、見解を

 「私たちが目指したのは、マリファナを管理することです。ドラッグに賛成しているわけではありません。取引が存在して、消費者もいた。闇取引があるという現実は見つめなければならない。
 それを管理するためのメカニズムをつくり上げました。非合法組織を排除することができました。中毒者の健康問題にも対処できるようにしました。中毒者が目に見えないかたちになっていたら、手をさしのべることはできません。なにより、若者を犯罪集団の手に渡してはいけない。麻薬自体よりも麻薬を取引している集団の方が悪い。中毒からは脱却できても、組織からは抜け出すことはできないのです」

 〈休憩時間をはさんで、午後から別室で合同インタビューが行われた。長机を挟んで数人の記者と向き合ったムヒカさんは、リラックスした様子。記者1人1人の目を覗きこむようにして会釈する。いきなり質疑応答が始まる〉

  --テロについて。ムヒカさんの考える原因と対策は

 「テロリズムは疫病だと考えている。熱狂と閉鎖性から生まれている。熱狂というのは、スポーツであっても宗教であっても政治であっても同じように危険なものです。健全なナショナリズムというのも存在しますが、度を越すと危険です。
 なぜ熱狂というのが危険なのか、それは盲目であるからです。信じるものだけが正しいと思い込んでいるからです。熱狂というのはすべての疑問を消し去ってしまう。熱狂は賢さの対極にあります」

 「弾圧を受けた若者たちが熱狂的な行為に走ってしまっている。この現象は増殖を繰り返しています。ヨーロッパでは恐怖が差別を生んでいます。
 イスラム教徒の人々は仕事を見つけるのに苦労していて、社会も底辺に近い仕事に就かざるを得ない状況にあります。これは恐怖からきていて、差別を受けた人々の中では熱狂が増幅する。深刻な現象です。感情を操作することは非常に難しい。誰もが学ぶべきことですが、違うものに対して寛容であることが大事です」

--会見で日本人が進んでいるとおっしゃっていましたが、具体的には

 「現在工業先進国で起こっている革命というのは、マンパワーを高い知能を持った機械に入れ替えるということ。テクノロジーはすでに存在しています。月や火星に機械を置いて、遠く離れた地球からそれを操作するというようなことまで可能になっています。

 私はそうした技術や知識を社会的に役立てていくべきだと思っています。資本主義は、常にコストを下げ、生産性を上げることに力を注いでいます。私たちは厳しい戦いを強いられます。
 ロボットにはメーデーも定年退職もないですからね(笑)。ロボットは人生に役立つものでなければなれません。人生を阻害するものであってはならない」

 --戦争のない世界というお話がありました。日本には憲法を変えていく動きがありますが、どうお考えですか

 「憲法の解釈を変えるというのは、日本が大きな過ちを犯しているように私には思えます。問題は世界的なものです。
 一方で武装放棄をする国があって、他方では武装を拡張する国がある。経済的な観点から見ても非常に深刻なことです。世界では、毎分200万ドルの軍事費が費やされています。軍事費を半分に抑えることができたら、そのお金でサハラ砂漠に居住地を作ることだってできるでしょう。
 人類は素晴らしい事業を行うための資源をたくさん持っているにもかかわらず、それを無駄遣いしている。はっきり言えば、和平というのは素晴らしいビジネスなのです」

--和平はビジネスですか

 「軍事費として無駄に使われているお金を、貧しい人や水、環境といったさまざまな問題をケアするために使うことができるということです」

--日本国内にも政治不信の声がある。国民と政治家の関係はどうあるべきか

 「世界全体で政治的な問題が起きています。それは人類が世界的レベルでの決断を下す段階に来ているからです。一国で解決できない問題がたくさんある。ですが、世界全体の合意というものは存在しません。

 たとえば気候変動の問題ですが、私たちの小さな国ウルグアイでは環境を汚染しないために火力発電所は作らないようにしています。でも中国のような大国が2カ月にひとつ火力発電所をオープンしているようでは、私たちの努力は何の意味もありません。
 あるいは、日本が環境を汚さないために電気自動車の使用を始めたとしても、インドで化石燃料を使った自動車が使われているようでは何も解決しません」

 「グローバリゼーションというのは金融や通信といった分野で起こったことですが、政治的な面ではグローバル化しているとは言えない状況だと思います。
 日本だけでは解決できない問題というのがあるのです。たとえば海の汚染。これは日本だけでは解決できませんね。ですから寛大な心というのが必要なんです。そうでなければいつまでたっても私たちは内輪もめするばかりでしょう」

--ムヒカさんのスピーチは多くの人の心を捉えているが、示唆に富んだ言葉はどこから

 「私がしていることは、考えの種をまくということです。そのなかのいくつかは芽ぶくかもしれない。そうでないかもしれない。価値のある考えというのが道を開いてくれるのです。私の言葉は私のものではなくて、古い時代から言われてきたことばかりです。

 たとえば、キリスト教にはこんな言葉がありますね。〈幸福な人間は服を着ていなかった〉。この人が熱帯のリゾートに住んでいたというのではないですよ(笑)。
 人間の幸せは物質的なところには存在しないと伝えてくれているわけですが、そうした考えというのは古い時代から存在しています」

 「歴史と過去は私たちに文明というものを授けてくれます。たとえば紙があってものを書くことができる、写真を撮ったり、病気を治すことができる。それは私たちより前に大きな努力をしてくれた人々のおかげなんです。
 火が消えないように番をしていた私たちの先祖、そうした人々のおかげなのです」

 --滞在中に京都と広島に行くと聞いていますが、その理由は

 「広島についてはいうまでもないでしょう。世界で起こった最も大きな悲劇の記録がそこにあるからです。人類がいかに残虐なことをできるのか、広島に行くことで見えてくると思います。

 日本に来て広島を訪れないというのは、日本の人々に対してリスペクトを欠くのではないかと思っています。京都に関しては、私は歴史を愛していますから、訪れざるを得ない。政治が大好きであるのと同じように、歴史に対しても大きな情熱を抱いています」

--日本はいい国と言っていただけるのはうれしいですが、あなたが批判している「働いて捨て去る国」でもあります

 「それは日本のせいではありません。資本主義の美しき悲劇であります。この言葉は大事です、私は『美しき』『悲劇』といったんですよ。
 野心と技術の発展によって世界は大きく進歩しました。人類の平均寿命も40年も伸びたわけです。
 ですが資本主義というのは盲目で、誰もそれを止めることはできません。資本主義という文化の中で、何かを買い続けなければならない状況に陥っている。そうでなければすべてが止まってしまうからです」

 「ギリシアの古い考え方として、ほどほどにという考えがあったはずですが、資本主義は自らを止めることができず、どんどんと消費を続けてしまっているのです。
 私の小さな国ウルグアイでは、公共福祉の仕事をしている人たちは6時間労働を長い闘争の末に勝ち取りました。
 ですが彼らが何をしたかというと、空いた時間でもう一つの仕事をするようになったのです。結局8時間働く代わりに12時間働くことになってしまった」

 --日本でも「ワーキングプア」という言葉があって、経済格差が問題になっていますが、どう思いますか。改善策は

 「それも日本だけの問題ではないですね。各国で起きています。なぜなら世界の富は日に日に一点に集中しているからです。格差は日に日に大きくなっています。
 ビル・ゲイツ氏は1日100万ドル使い続けても、持っているお金を使い切るには220年生きなければならないと言われています。それでも彼は、世界一裕福な人というわけではないんですよ。

 こうしたことが起こっている一方で、さきほどおっしゃったような状況が生まれている。人類の富には何らかの上限が設けられるべきだと思います、いったい何のためにそれだけの富が必要なのですか」

 〈質問をしないのに突然しゃべりはじめたムヒカさん〉

 「私はウルグアイで、ウルグアイ生まれのタカタさんという日系人と知り合いました。彼は素晴らしいサッカー選手でした。地元のチームのキャプテンを務めていましたが、地元の貧しい子供たちとプレーをするようになりました。

 私は日本の人々には素晴らしいサッカー選手の素質があると思っています。小さいスペースというものにそもそも慣れていらっしゃる(笑)。
 ウルグアイは広大なのでピッチのいたるところに穴を開けてしまう(笑)。サッカーというのはボール一つあれば始められるスポーツですので、子供達には最適と言えると思います。グラシアス。グラシアス(ありがとう)」

  〈質疑応答を自ら打ち切るが、退場したりはせず、記者たちの名刺を受け取ったりニコニコと握手に応じたりする。記者も名刺を渡しつつ〉

--ムヒカさん、幸せに生きるコツはなんですか

 「モチベーション(目的意識)を持つことです」

 〈ホセ・ムヒカさん〉
 ウルグアイの首都モンテビデオ郊外の貧困家庭に生まれた。1960年代に、当時の独裁政権と対立する非合法政治組織に加わり、投獄4回。最後の獄中生活は13年にも及んだ。その後政治活動を再開し、議会入り。2010~15年、第40代ウルグアイ大統領を務めた。妻のルシア・トポランスキさんも政治家(上院議員)。

 ムヒカさんを有名にしたのは12年に開かれた「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」でのスピーチだった。

 〈貧乏とは少ししか持っていないことではなく、無限に欲があり、いくらあっても満足しないことです〉。

 給料の大半を寄付して農場に暮らす清貧ぶりも加わって世界に知られるように。スピーチを日本語訳して児童向けに紹介した絵本『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』(汐文社)は23万3000部のヒット作となっている。
 来日は『ホセ・ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領』(角川文庫)の刊行に合わせて実現した。