皆さん,こんばんは。

「還暦の東海道新幹線」第6話は,昭和43年10月ダイヤ改正における東海道新幹線の東京駅発車時刻を取り上げてみたいと思います。このダイヤ改正は,「ヨン・サン・トオ」と呼ばれる白紙ダイヤ改正です。

 既に昭和40年11月のダイヤ改正で徐行運転が解除されて東京~新大阪間は「ひかり」で3時間10分,「こだま」で4時間の運行となり,「ひかり」と「こだま」が毎時2本ずつの運行体制になっていました。

 その後,昭和42年10月のダイヤ改正では「3-3ダイヤ」という規格に拡大され,片道最大で「ひかり」と「こだま」が毎時3本ずつ運行できるダイヤになりました。

 

〔6時〕 00 05 25 40 45
〔7時〕 00 05 ▲20 名25 40 45
〔8時〕 00 05 20 25 ●熱30 40 45
〔9時〕 00 05 20 名25 40 45 ●熱50
〔10時〕 00 05 25 40 ●45
〔11時〕 00 05 45
〔12時〕 00 05 ○熱10 名25 40 ◇45
〔13時〕 00 05 ◇20 25 40 45
〔14時〕 00 05 ○熱10 20 25 40 45
〔15時〕 00 05 20 ○名25 45
〔16時〕 00 05 ○熱10 25 40 45
〔17時〕 00 05 △20 ○25 40 45
〔18時〕 00 05 20 25 40 45
〔19時〕 00 05 25 40 45
〔20時〕 00 名05 30 熱35
〔21時〕 名05
〔22時〕 静05

 

〔記号説明〕

無印・・・新大阪行き

名・・・名古屋行き

静・・・静岡行き

熱・・・熱海行き

 

●・・・休日運転

○・・・土曜・休日運転

◇・・・土曜運転(ただし11/23は運休)

▲・・・休日運休

△・・・土曜運休

赤色:「ひかり」(名古屋・京都停車) 

青色:「こだま」(各駅に停車)

 

 開業から4年が経過した東海道新幹線では,土曜・休日にのみ運転する列車,休日のみ運転の列車,特定の期日に運転する列車(季節・臨時列車)などが設定されていました。この時代でさえ,現在のような曲芸じみた列車ダイヤを彷彿とさせるものを感じます。

 このダイヤで特筆すべき列車は,熱海行きです。8時30分,9時50分,12時10分,14時10分,16時10分に発車し,休日もしくは土曜・休日運転の列車として設定されました。8時30分発と9時50分発は休日運転,12時10分発と14時10分発,16時10分発は土曜・休日運転の列車です。

 これら熱海行き列車の設定について考えられることは,次の2点です。

①午前の2便は日曜日や祝日に日帰りで熱海へ行く観光客の利用

②午後の3便は土曜日の午後から熱海へ向かい,1泊して日曜日に東京へ帰る需要

 日本が高度経済成長の頃,土曜日は職場や学校が「半ドン」と言って午前中だけで終わる時代でした。そう考えると,午後の3便が土曜日と休日に運転されていると考えても不思議ではありません。

 土曜の昼に仕事が終わり,東京駅から新幹線に乗って熱海で1泊。温泉に入って美味しい料理を食べて,お酒を飲んで,日曜日の夕方までに帰って来ることができれば,当時のサラリーマンにとっては楽しかったことだと思います。

 この東海道新幹線「熱海行き」の列車に関して設定理由を御存知の方,御意見をお持ちの方がいらっしゃいましたら,コメント欄にて御教示いただけますと幸いです。

 

 

〔参照〕

須田寛・福原俊一『東海道新幹線50年の軌跡』(JTBパブリッシング・2014年10月)

『時刻表復刻版 1968年10月号』(JTBパブリッシング・2021年11月)