皆さん,こんばんは。

「還暦の東海道新幹線」も5回目を迎えました。今回はモデル線での試験結果を踏まえて量産された「0系」の概要と開業時のダイヤについて述べていきたいと思います。

 

【「0系」の概要】

 昭和39年3月,鴨宮モデル線にて量産先行車の試運転が開始され,同年10月の東海道新幹線開業までに量産車の導入と試運転が行われました。

 東海道新幹線は昭和62年4月からJR東海が受け持つことになり,JR東海では平成11年9月まで運用されて引退しました。以下に編成の推移と製造両数,車種構成と座席数を示します。

〔編成の推移〕

 12両編成×30本=360両(当初)

 昭和45年 「ひかり」編成16両化

 昭和47年 「こだま」編成16両化

 昭和49年 「ひかり」編成にて食堂車営業開始

 昭和59年 「こだま」編成12両化を開始

 平成元年 「こだま」編成が再び16両化を開始

 〔製造両数〕

 3216両(昭和39年~昭和61年)

 〔車両構成・座席数〕

 《昭和39年当初》

 2等車(現・普通車):8両

 1等車(現・グリーン車):2両

 2等・ビュッフェ合造車:2両

 1両あたりの最大座席数:110席

 1編成あたりの総座席数:987席

 

 

【開業時のダイヤ】

 開業時のダイヤは「1-1ダイヤ」という規格名が付けられ,「こだま」と「ひかり」が毎時1本ずつ運行可能なダイヤでした。

 当時の東京駅発・下り列車(名古屋・新大阪方面)の発車時刻を以下に示します。

〔6時〕 新大阪00 新大阪30
〔7時〕 新大阪00 新大阪30
〔8時〕 新大阪00 新大阪30
〔9時〕 新大阪00 新大阪30
〔10時〕 新大阪00
〔11時〕 新大阪00 新大阪30
〔12時〕 新大阪30
〔13時〕 新大阪00 新大阪30
〔14時〕 新大阪00 新大阪30
〔15時〕 新大阪00 新大阪30
〔16時〕 新大阪00 新大阪30
〔17時〕 新大阪00 新大阪30
〔18時〕 新大阪00 新大阪30
〔19時〕 新大阪00
〔20時〕 新大阪00 名古屋30
〔21時〕 静岡30

 赤色:「ひかり」 青色:「こだま」

 

 「ひかり」と「こだま」が片道毎時1本ずつ運行可能なダイヤ規格でしたが,10時台と19時台は「ひかり」のみ,12時台と21時台は「こだま」のみの運行でした。「ひかり」と「こだま」が1日あたり各14本,計28本の列車が東京駅を発車していました。

 上記の通り,最終便は「ひかり」が20:00発の新大阪行き,「こだま」は名古屋行きが20:30発,静岡行きが21:30発でした。

 開業当初の所要時間(東京~新大阪間)は,次の通りです。

「ひかり」:4時間(名古屋・京都停車)

「こだま」:5時間(各駅に停車)

 開業間際の工事完成で路盤が不安定で,一部区間で徐行運転を余儀なくされたため,所要時間が延びていました。これは昭和40年11月のダイヤ改正にて「ひかり」3時間10分,「こだま」4時間に短縮されました。同年のダイヤ改正では列車の増便が実施され,「ひかり」52本,「こだま」58本の計110本になりました。「ひかり」,「こだま」ともに片道毎時2本(約30分間隔)での運行となりました。

〔参照〕

須田寛・福原俊一『東海道新幹線50年の軌跡』(JTBパブリッシング・2014年10月)

富田松雄〔解説〕『新幹線車両大全2023-2024』(イカロス出版・2023年4月)

『時刻表完全復刻版 1964年10月号』(JTBパブリッシング・2019年10月)