「東海道新幹線開業前の東海道線」,第3回目は昭和39(1964)年9月の名古屋駅発・下り普通列車の時刻を書き出して,振り返ってみたいと思います。
現在ではJR東海の本社が所在し,「セントラルタワーズ」,「ゲートタワー」,「JPタワーKITTE名古屋」などの高層ビル群があり,将来はリニア中央新幹線の停車駅となる予定の名古屋駅です。
昭和39年9月当時の東海道線・下り普通列車は,どのようなものだったのでしょうか。
それでは,書き出してみます。
〔6時〕 広島05 美濃赤坂25 大阪37
〔7時〕 美濃太田00 大阪32 大垣47
〔8時〕 大垣17 米原33
〔9時〕 大垣01
〔10時〕 米原03 米原32 大垣52
〔11時〕 米原36
〔12時〕 米原47
〔13時〕 京都55
〔14時〕 大垣14
〔15時〕 米原02 大垣35
〔16時〕 京都23
〔17時〕 米原03 大垣30
〔18時〕 関ヶ原05 米原25
〔19時〕 米原06 米原49
〔20時〕 大垣26 米原36
〔21時〕 関ヶ原49
〔22時〕 富山05 大垣26 大垣42
〔23時〕 姫路57
名古屋駅の発車時刻を見ても発車時刻や行先は殆どランダムで,普通列車のダイヤとしては「覚えにくい」,「使いにくい」印象が否定できません。行先を見るに,普通列車でも都市間連絡の役割を担う長距離運行であることがよくわかります。
ちょっと驚くのは22:04発の富山行き,米原から北陸本線に入ります。この列車は機関車牽引の客車列車で,米原駅で大阪発・新潟行きの列車を併結します。北陸本線では大聖寺までは主要駅のみに停車する夜行列車です。
普通列車の夜行便も今では想像がつかないですが,旅客輸送の視点で言えば現在のようにビジネスホテルが数多く営業するような時代ではなかったため,夜行普通列車で夜を明かして目的地に向かい,旅行する人も多かったのだろうと推察します。これに加えて,前回の記事でも言及した荷物輸送の必要性もあったと考えられます。
【出典】
『時刻表完全復刻版 1964年9月号』(JTBパブリッシング・2020年)